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【美肌菌の専門医解説】美肌菌の働きとは?潤いが復活し肌荒れ菌を撃退。すっぴん美人に

解説 ミルディス皮フ科医師
出来尾 格

「化粧水があなたの素肌をボロボロにしています」

今、皮膚科医が警鐘を鳴らしています。
女性は「キレイでいたい」「かわいくいたい」「若々しくいたい」といった願いをお持ちの方も多いでしょう。薄々気づいているかと思いますが、実現するにはメイクだけでは限界があります。
一番のポイントは、土台である素肌をいかに美しく保つか。

キメが整っていて、透明感があって、毛穴は目立たずで、シミ、シワもなくて……そんな夢のようなお肌、実は誰の顔にも棲(す)んでいる「美肌菌(びはだきん)」を増やせば実現できる可能性があるのです。

ところが、化粧水をつけると美肌菌が肌から減って、肌がボロボロになる可能性があります……でもご安心ください。美肌菌を簡単に増やすスキンケア法もわかっています!

カラダネでは、今話題の美肌菌情報を6本の記事に分けてくわしく紹介します。

1本めのこの記事では、
●美肌菌てなに?
●美肌菌なしでは美肌は実現しませんよ
といった内容を、美肌菌研究の第一人者である皮膚科医の出来尾格(できお いたる)先生にご解説いただきました。

出来尾先生、お願いします!!!

スキンケアしてるのに、肌の老化が早く進む!?

出来尾 格です。
突然ですがみなさんは次のようなスキンケア、していませんか?

●化粧水&美容液をいつもつけている…
●朝の洗顔で、洗顔料を使って洗う
●夜はメイク落としで顔をゴシゴシ

●熱めのお湯で長風呂しちゃう
●美容ローラーでいつもお肌をコロコロ or 顔のマッサージをしている

1つでも○がついたあなたは自分でお肌の老化を早めているかもしれません。

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なぜなら、上記のスキンケアでは、あなたのお肌の上で美肌づくりのために日夜働いている「美肌菌」が減ってしまうから。すでに乾燥肌やキメの粗さ、シミ、シワが目立つ人は美肌菌が減っている可能性大です。

逆にいえば、スキンケアを改めれば美肌菌が自然に増えて、いわゆる「すっぴん」が圧倒的にキレイになります。みなさんのお肌は、美肌菌による「キレイになる能力」がもとから備わっているのです。

美肌菌のことを知らずに自己流のスキンケアをするなんて、私には「キレイになるチャンスをみすみす逃している」ようにしか思えません!老化を早める可能性もありますよ。
まずは、美肌菌とはなんぞや?についてお話ししましょう。

美肌菌とは、何か?

「あなたのお顔には、無数の菌がすんでいるんですよ」


皮膚科の診療のかたわら、こんな話をするとみなさん驚かれます。

でも、これは事実です。
菌はとても小さいため、肉眼ではもちろん見えませんが、19種もの菌が計1000万〜10億個もあなたのお顔のお肌の上で日々生活しているのです。

特に、キレイをめざすみなさんに覚えていただきたい菌は次の3種類。

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美肌菌(表皮ブドウ球菌)……肌に潤いをもたらす
肌荒れ菌(黄色ブドウ球菌など)……肌トラブルの原因になる
中間菌(アクネ菌など)……美肌と肌トラブル、そのいずれにも働く

美肌菌の正式名称は、「表皮ブドウ球菌」といいます。

美肌菌写真.png表皮ブドウ球菌は昔から知られていましたが、私はこの菌が美肌づくりに役立つことを特定し、その働きを広めるために2010年から「美肌菌」と呼んでいます(同じように、黄色ブドウ球菌やアクネ菌にもわかりやすくするために「肌荒れ菌」「中間菌」と呼んでいます)。

キレイになりたいみなさんには、まずは美肌菌について知っていただかなくてはいけません。美肌菌は肌のどの部分で、どんな働きをしているのでしょうか。

美肌菌コラム①私たちの体は「菌のマンション」
肌の上で生息している菌は専門用語で「皮膚常在菌(ひふじょうざいきん)」といい、全身では約200種類、数十億個もいます。私たちは、皮膚常在菌だけでなく体の内側にもにもたくさんの菌をすまわせています。例えば腸内細菌は、腸内の常在菌のこと。いわば、私たちの体全体が「菌のマンション」である状態を思い浮かべてください。

なぜ私たちは菌をすまわせているのでしょう?
秘密は、地上で人類の祖先が生活するようになった数億年前にあります。当時、有害な病原菌から体を守ることは重要な課題でした。そこで、人類の祖先は仲良くできそうな菌に体にすんでもらい、病原菌から体を守ってもらうことにしたのです。
つまり、常在菌は私たちの体のボディガードなのです。

たった0.02ミリの角質層に美肌菌がびっしり!をめざそう

美肌菌のすみかは、みなさんの肌の上。具体的には「表皮」にいます。

表皮はお肌の最も外側にあって、わずか0.2ミリの厚さしかありません。表皮はさらに4層に分かれており、一番外側の角質層は厚さたった0.02ミリ。美肌菌はこの0.02ミリの角質層の表面と角質細胞のすき間にすんでいるのです。

つまり、たった0.02ミリの角質層に美肌菌がいかにたくさんすんでいるかが美肌のポイントなのです。

美肌菌コラム②皮膚の構造
私たちの皮膚は外側から表皮・真皮・皮下組織の3層に分かれています。
そして、表皮はさらに角質層・顆粒層(かりゅうそう)・有棘層(ゆうきょくそう)・基底層の4層に分かれています。
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美肌菌の3つの働き

たった0.02ミリの世界で日夜働いている美肌菌。具体的な働きはイラストのように主に3つあります。
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①肌に潤いをもたらす

私たちの肌は、いつも皮脂(皮膚の脂分)や汗が分泌されています。美肌菌は、この汗や皮脂を食べては分解し、グリセリンやグリセロール−1—リン酸といった保湿成分を分泌します。

つまり、美肌菌は皮脂や汗を食べて、潤い成分という「フン」を出しているわけです。美肌菌がないと肌は乾燥してカサカサになり、やがて老け見えにつながってしまいます。

②肌のpHを弱酸性に保つ

健康なお肌は弱酸性です。
肌のpH(ペーハー)は7が中性で、7より小さいのが酸性、大きいのがアルカリ性です。弱酸性は、pH4.5〜5.5くらいです。弱酸性を保つ理由は、肌荒れ菌や病原菌の多くは酸性が苦手で中性に近い環境を好むため。逆にいうと、弱酸性に保たれないと肌荒れ菌が増えたり病原体に感染する可能性があります。
例えばアルカリ性になると肌荒れも起こりやすくなります。

美肌菌は有機酸や脂肪酸を分泌し、肌のpH(ペーハー)を弱酸性に保ってくれるため、肌を病原菌から守ってくれるのです。肌の健康を保ってくれますよ。
ちなみに、私たちの肌のpHは環境で微妙に変わります。気温が高いと酸性に、低いと中性に傾きます。時間帯では夜間は中性になり、年齢を重ねることでも中性に近づきます。

③肌荒れ菌を退治する

美肌菌は、抗菌ペプチドという“武器”のようなものを作り出し、肌荒れ菌(黄色ブドウ球菌)を攻撃して破壊します。肌荒れ菌が少なくなることで、肌には透明感が戻り、すっぴんがきれいになります。

以上3つが、美肌菌の基本的な働きです。そして、この3つの働きが、シミやシワ、くすみ、さらにはニキビ、アトピー性皮膚炎の予防にも、毛穴ケアにも肌のキメを整えることにもつながります。
これについては、「美肌菌に期待できる効果」として別の記事でくわしく解説します。

美肌菌コラム③肌荒れ菌とは
肌荒れ菌.png肌荒れ菌の正式名称は、黄色ブドウ球菌。黄色ブドウ球菌は全員ではなく、2割の人の肌にあります。アトピー性皮膚炎の人は、黄色ブドウ球菌を持っている率が高いと知られています。
この菌の特徴は、「悪いことしかしない」点にあります。
黄色ブドウ球菌は、食事で体内に入ると食中毒の原因になるし、気管に入ると肺炎、他にも敗血症など命を危険にさらす病気の原因になるタイプもあります。
肌にあると、肌荒れや黄色いニキビの原因になります。切り傷などで治りが悪く、黄色い膿がたまって化膿するのも、黄色ブドウ球菌が大繁殖している証拠です。

NO 美肌菌 NO BEAUTY

美肌菌は、私たちの肌の上で一生懸命働いてくれています。
美肌菌を増やすための1番のポイントは「肌を刺激しすぎない」こと。冒頭でも述べたように、化粧水をペタペタつけたり、洗顔しすぎたり、美容ローラーでコロコロしたりというスキンケアは、すっぴんをわざわざ汚しているようなものです!

また、「この成分は肌にいい」「有名人が使っているから」といった理由で化粧品を選んでキレイになろうとするのも、かなり難しい話だと私は思っています。

「美肌菌の力を借りずに、本当にキレイになるのは難しい」というのが、私がこれまで皮膚科医として研究者として得た答えです。

さあ、みなさんも美肌菌を増やして素肌からキレイになりませんか?
みなさんが簡単にできるスキンケア法など、美肌菌について今わかっていることのすべてを、この特集でお伝えしますね。

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【美肌菌①】
【美肌菌の専門医解説】美肌菌の働きとは?潤いが復活し肌荒れ菌を撃退。すっぴん美人に

【美肌菌②】
【美肌菌に期待できる効果】肌のキメが整い毛穴をケア。シミ・シワやくすみも予防し透明肌に

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【美肌菌チェック】あなたの顔には美肌菌が少ないかも!? 質問に答えるだけでわかる

【美肌菌④】
素肌が圧倒的に美しくなる【美肌菌の増やし方】化粧水を控え乳液を少量使おう

【美肌菌⑤】
【美肌菌の増やし方②】洗顔は固形石けん、ファンデはパウダー、食事は肉食がベター

【美肌菌⑥】
ヨーグルトを使って【美肌菌増やしパック】をやろう。週1回で素肌がキレイに!


更新情報はこちら→@カラダネ美容部


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記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© カラダネ © Fotolia

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