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【焼き梅干し】ダイエット以外で期待できる効果は?耳鳴り・頭痛や高血圧、糖尿病の人に

解説 和歌山県立医科大学准教授
宇都宮洋才

焼き梅干しに期待できるのは、ダイエット作用だけではありません。

耳鳴りや高血圧、高血糖の人にもおすすめだとか。一見、血圧を上げそうですが、その点もあまり心配もしすぎないで大丈夫だと和歌山県立医科大学准教授の宇都宮先生は話します。

くわしくお話しをお聞きしました。

もちろん、梅干しは薬ではないので、梅干しだけで病気や不調が改善するわけではありません。健康的な食生活の一助として参考にしてください。

焼き梅干しに期待できる効果

早速ですが、焼き梅干しに期待できる働きは以下の通りです。

血流改善作用

梅干しを加熱することでできるムメフラールは、血液の凝固を抑え、血流を改善して血栓(血液の塊)ができるのを防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞の予防に役立ちます。

血糖値の上昇を抑える

糖尿病の治療では、小腸で糖質を吸収する酵素(体内の化学反応を助ける物質)の働きを抑制する薬が使われますが、梅干しに含まれる「オレアノール酸」にも、この酵素の働きを抑える作用があります。
糖質の消化吸収を遅らせることで、血糖値の上昇を抑えるのに役立つと考えられます。

耳鳴りやめまい、頭痛の予防に

自律神経(意志とは無関係に血管や内臓の働きを支配する神経)の乱れは、耳鳴りやめまい、頭痛などを招きます。
そこで注目したいのが、梅干しに多いカルシウムです。カルシウムには、自律神経を整える働きがあります。カルシウムは体に吸収されにくい成分ですが、梅干しには、カルシウムの吸収を助けるクエン酸が含まれているので、効率よくカルシウムをとることができます。

香りが頭痛を緩和する?

昔の人は頭痛がすると、こめかみに梅干しをはっていましたが、これは単なる迷信ではありません。梅干しの香り成分「ベンズアルデヒド」には、痛みを鎮静・軽減する効果が期待できるので、香りをかぐことで頭痛が緩和する可能性があります。

高血圧の人におすすめ

みなさんは、梅干しは塩分が多いので、高血圧の人は食べないほうがいいと思い込んでいませんか?
実は梅干しには血圧の上昇を抑えて、動脈硬化を防ぐ作用が期待できます。

ラット(実験用のネズミ)の実験では、塩と水を与えたラットよりも塩と水と梅を与えたラットのほうが、血圧が低いという結果が出ました。
また、培養細胞を使って実験を行ったところ、梅干しが「アンジオテンシンⅡ」というホルモンの働きを80〜90%抑えることが確認されたのです。

アンジオテンシンⅡは、血圧の調整に大きくかかわるホルモンです。多すぎると血管内の細胞を大きくして、血管を狭めるため、血圧が上昇します。また、心筋梗塞や脳梗塞の原因になる動脈硬化の危険を高めます。梅干しには、このアンジオテンシンⅡの働きを抑制する効果が期待できるとわかったのです。

実際に和歌山県田辺市で行った調査では、毎日梅干しを食べる人とそうでない人の血圧に大きな差はありませんでした。
さすがに高血圧の人に塩分濃度が高い梅干しはおすすめできませんが、減塩のものなら食べ方によって血圧のコントロールや健康増進に役立てることができるのではないでしょうか。

焼き梅干しは熱中症や食中毒対策にも

私はいつも「梅干しは頭で食べましょう」と話しています。例えば成分表示で、7個入りの梅干しの内容量が70gとあったら、梅干し1個は10gです。
塩分3%なら梅干し1個あたりの塩分量は0.3g。ほかの食事の塩分量と調整しながら食べれば、塩分のとりすぎを予防できます。

梅干しには、ほかにも多くの健康効果が科学的に証明されています。
研究の結果、梅干しにはたくさんの健康効果があることが科学的に証明されました。私は現在も研究を続けており、最近は「梅干しとお米」の組み合わせによる特別な健康効果に注目しています。

梅干しを焼く焼き梅干しは、これからの時期の熱中症・食中毒対策にもピッタリです。食欲増進効果もあるので、暑さで食欲がない日に食べるのもいいでしょう。実際に介護老人保健施設での調査では、梅干しを献立に入れた日は食べ残しが少ないという結果も出ています。

梅干しの有効成分は生の梅や梅酒、梅ジャムなどにも含まれています。しかし、毎日の食事に最も取り入れやすく、老若男女が誰でも食べられるのは、梅干しだと思います。
ぜひ、毎日の健康作りに梅干しを役立ててください。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/©カラダネ

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