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緑内障の予防法〜眼科医が教える目にいい食事、生活習慣改善〜
日本人の失明原因1位の病気をご存知でしょうか。それは「緑内障」です。
実は、緑内障の患者数は、年々増えています。しかし、どのような病気かあまり知られていないのが実情です。
緑内障は、自覚症状がないままに進行してしまい、気づいたときにはすでに失明寸前だった人も、少なくないといいます。大切なのは、日々の異変をチェックし、眼科の診断を受けること。そして、食事や生活習慣を改善し、予防を心がけることです。
まずは、緑内障の基礎知識からチェックしていきましょう。
緑内障の症状、原因と治療法
緑内障とは?
緑内障になると、視野の一部に見えない部分(暗点)ができたり、視野が欠けて狭くなる(狭窄)などの症状が起こります。徐々に、見えない部分が大きくなり、放置すると失明に至る可能性もあります。
日本では毎年2000人以上が、緑内障がもとで失明しています。先天的な視覚障害を除けば、日本で最も多い失明の原因です。
緑内障の原因とは?
緑内障の予防と改善を考える時、「眼圧」は外せないキーワードです。眼圧とは、眼球の中の圧力です。眼圧が高いほど、眼球が硬い状態であると言えます。眼圧が高まることで、眼球の奥にあって見えた物を脳へと伝える「視神経」が障害されるのが緑内障の主な原因となります。
眼圧が高くなるのはなぜ?
眼球の形を保つためには、一定の眼圧が必要です。目の中を循環し、栄養も運ぶ「房水」が眼圧を保つ役割をしていますが、うまく排出されないと眼球内にたまりすぎてしまいます。眼球が内側から圧迫され、眼圧が高くなるのです。
急性緑内障の症状
緑内障には、急性緑内障(閉塞隅角緑内障〈へいそくぐうかくりょくないしょう〉)と慢性緑内障(開放隅角緑内障)があります。急性緑内障は、眼圧が急上昇するので目の激痛や頭痛、吐き気などの症状が現れます。
失明のリスクが高く、脳の病気との判別も難しいので、救急で受診してください。
急性緑内障は、房水を排出する「隅角」が急に閉じてしまい、眼圧が上がることが原因となります。
慢性緑内障の症状
慢性緑内障は年月をかけて視野の暗点や狭窄が大きくなっていきます。片方の目の視野が欠けても、もう一方の目が補うため、症状に気づかない人が多いと言われています。
眼圧をチェックすれば発見しやすいはずですが、実は眼圧が正常範囲(10〜21ミリ)でも、慢性緑内障の視野の欠けが現れる場合があります。正常眼圧緑内障といい、原因はよくわかっていません。
眼圧は人によって異なるため、10〜21ミリの正常眼圧の基準内でも、その人にとっては眼圧が高いと考えられ、視神経に異常をきたしている可能性があります。
緑内障の治療方法
緑内障の治療は眼圧を下げることが基本です。正常眼圧緑内障でも、眼圧を下げれば緑内障の進行が抑えられることが確認されています。
一般的には、眼科医が処方する点眼薬で眼圧を下げることが基本となります。薬で十分な効果が得られない場合、レーザー治療や手術などの治療を検討することになります。まずは、眼科で治療を受けて継続的に通院することが何より大切です。
緑内障についてさらにくわしくは下記の記事をご覧ください。
視神経乳頭陥凹拡大とは?
緑内障の可能性があるとされるのが「視神経乳頭陥凹拡大(ししんけいにゅうとうかんおうかくだい)」。
会社や地域の健康診断などで、「疑いあり」と診断される人が多いと思います。
網膜の視神経が束ねられた「視神経乳頭」の中心にある小さなへこみを「視神経乳頭陥凹」といいます。へこみが拡大すると、視神経に障害が起こります。
早期発見のために、三次元画像解析装置OCT(光干渉断層計)による検査が、さまざまな眼科で導入されています。数年に一度の受診をおすすめします。くわしくは下記の記事をご覧ください。
視野の欠けを自分でチェックする
日本では緑内障の推定患者の1割しか治療を受けていない
日本では、推定400万人が緑内障を発症しているといわれます。うち、治療を受けているのは1割しかおらず、残りの9割は知らない間に症状を悪化させている可能性があります。
日本緑内障学会が40歳以上の約3000人を対象に行った疫学調査(多治見スタディ)によると、緑内障にもかかわらず、自分が緑内障と気づいていない人の割合が89.5%にも及んでいたそうです。
また、日本人の大半は正常眼圧緑内障とされています。健康診断で異常がなくても、実は緑内障が発症していることは珍しくないのです。
眼科医が考案した視野検査シート
緑内障を早期発見するためには、健康診断と同時に、視野の欠けを日常的にチェックすることがおすすめです。そのために中目黒眼科院長の杉本由佳先生がカラダネに提供してくれたのが「視野検査シート」です。
チェックはパソコンやスマホで行わず、100%の大きさでB4以上の紙に印刷してお使いください。
くわしくは、下記の記事をご覧ください。
緑内障の予防法
眼圧を上げない生活習慣「スマホの水平使い」「いびき止め」「ネクタイゆるめ」
緑内障の原因となる眼圧の上昇は、眼球の中に房水がたまることで起こります。眼圧を上げないようにするには、房水が眼球内で滞らないように水はけを良くすることがポイント。
目のまわりの静脈で血流が滞ると、排出されるはずの房水が眼球内にたまって眼圧を上げると考えられます。基本的には、目の周囲の血流を上げることが重要です。
そのために今すぐできる習慣として、杉本先生は「スマホの水平使い」「いびき止め」「ネクタイゆるめ」「禁煙」をすすめます。
●スマホの水平使い
うつむいた姿勢になると、頭部への血流が低下します。首を30度傾けると血流が半分以下になるという報告もあるほど。
緑内障予防のために、スマホを見るときはうつむかずに地面に対して垂直になるくらい立てて持ってください。視線が水平になるよう心がければ、目の周囲の血流が滞るのを防げる可能性があるため、房水の排出がスムーズになります。
●いびき止め
いびきの原因で多い睡眠時無呼吸症候群の人は、緑内障になるリスクが10倍高いというデータがあります。睡眠時無呼吸症候群は太っている人に多いので、緑内障予防のために該当する人はまずはやせてください。さらに、口呼吸の人は鼻呼吸を心がけることが重要です。
●ネクタイゆるめ
首をしめ付ける服装は、頭部への血流を悪化させて、眼圧が上がりやすくなると報告した米国の研究があります。首まわりのきついシャツを避け、ネクタイもきつく締めすぎないようにしましょう。できることなら、緑内障予防のためにシャツの第一ボタンを外して仕事ができれば、なおいいでしょう。
●禁煙
タバコは血流を悪化させるとともに、活性酸素が目の組織を痛めつけます。海外の調査では、喫煙者は緑内障のリスクが2.8倍にもなるという報告もあります。緑内障予防のためには禁煙してください。
くわしくは下記の記事をご覧ください。
眼圧を下げる毎日20分の「ガムかみ」
北里大学医療衛生学部視覚機能療法学の浅川賢先生がすすめる緑内障予防法は「ガムをかむ」。
浅川先生が行った基礎試験では、ガムをかむことで明らかな眼圧の低下が確認できたといいます。また、一時的なものではなくしばらくの間持続することがわかりました。
正確な因果関係を解明するのは難しいといいますが、浅川先生の推測は次のとおりです。
●房水の産出と排水にかかわっていると考えられる自律神経のバランスが改善された。ガムかみにはリラックス作用があり、自律神経が整うのでないか
●または、ガムをかむことで目の血流が改善されたのではないか
いずれにしても、ガムかみが目によい作用、すなわち緑内障予防に役立つ可能性があるようです。浅川先生は1日20分程度のガムかみを推奨しています。くわしくは下記の記事をご覧ください。
視神経強化に役立つ食事「カシス」
札幌医科大学の大黒浩教授は、緑内障の予防食として「カシス」をすすめています。その秘密は、「アントシアニン」というポリフェノール(植物の色素成分)。網膜や視神経、毛様体の血流を促す働きがあると考えられるそうです。
目にいい食べ物で有名なブルーベリーも、アントシアニンを豊富に含んでいます。その仲間のカシスは、ブルーベリーの3倍以上のアントシアニンを含むのです。
大黒教授の実験では、正常眼圧緑内障の患者さんが、毎日点眼薬を使いつつカシスから抽出したアントシアニンをとると、眼圧を低く保てることがわかりました。
ほかにも、大黒先生はカシスの緑内障予防作用について研究を重ねています。もう少しくわしく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
緑内障の方が自分でできることはまだまだあります。ぜひ、眼科での治療を受けつつ、自分でもできる緑内障の予防法を実践してみてください。
もちろん、食べ過ぎやセルフケアのやりすぎは禁物です。
記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。
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