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眼圧が下がると試験で確認!1日20分、ガムをかむことが緑内障予防に役立つ期待大

解説 北里大学医療衛生学部講師
浅川 賢

緑内障の人は眼圧を下げるために、眼科専門医の治療をきちんと受けることが重要です。
そのうえで、緑内障の予防や悪化を防ぐために、ぜひ日課にしていただきたいことがあります。

その方法とは、ガムをかむこと。単純かつ日常的に行えるセルフケアですので、試してみる価値はあるでしょう。

北里大学医療衛生学部視覚機能療法学の浅川賢先生にお話をお聞きしました。



ガムかみで12眼中9眼の眼圧が下がった。その作用はしばらく続く

緑内障の治療の目的は、視野が狭くなるのを防いだりその進行を遅くしたりすることです。

現在、眼圧(眼球内の圧力)を下げることが、最も確実な治療法と考えられています。眼圧を下げるには、点眼薬による治療が基本となります。

そうした中で、治療とは別に日常生活において眼圧を低くする自力ケアになりえるかもしれない意外な方法が見つかりました。それは「ガムかみ」です。

ガムかみと眼圧の変化の関係は、私たちが行った基礎試験で明らかになっています。その試験では、21~46歳の目に疾患のない健康な女性6人に、毎分80回のペースで20分間、ガムをかんでもらいました。
そうして、ガムをかむ前、ガムをかみ終えた直後、さらにその20分後と3回にわたって眼圧を測定しました。

その結果、ガムかみを行う前の6人(12眼)の平均眼圧が14.8ミリメートル水銀柱(以下ミリ)だったのに対し、ガムかみの直後には13.8ミリと明らかに眼圧が低下していることが確認されました。

値だけ見れば、わずか1ミリですが、具体的に調べると、対象となった12眼中9眼で眼圧が下がり、2眼は変化なし、眼圧が上昇したのは1眼だけでした。
中には、前後の変化率で15%以上も眼圧が低下した人もいました。

しかも、ガムかみを行って20分後の眼圧測定では、平均眼圧が13.5ミリで、ガムかみ直後とほぼ同じ値を保っていました。
つまり、ガムかみによる眼圧低下作用は一時的なものではなく、その後もしばらくの間は持続することもわかったのです。
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ガムかみのリラックス作用で房水に影響を及ぼし眼圧が下がる?

では、なぜガムをかむだけで、眼圧が下がるのでしょう。眼圧の変化には、多くの要因が複雑にかかわっているため、正確な因果関係を突き止めるのは難しいといえます。

そこで、ガムかみで眼圧が下がるしくみを以下のように推測しました。第一に、房水(角膜や水晶体に栄養を運び、眼圧の調整に重要な液体)への関与です。
房水の産生と排出には主に自律神経(意志とは無関係に血管や内臓の働きを支配する神経)の働きがかかわっています。

自律神経の乱れが、ガムかみで改善されたことが考えられます。
ガムかみには、交感神経(活動時に働く自律神経)が優位になる覚醒作用と、副交感神経(休息時に働く自律神経)が優位になるリラックス作用があります。

この2つの作用のうち、ガムかみのリラックス作用で自律神経の調整が促され、房水の産生・排出になんらかの影響を及ぼしたと推測できます。

目の血流が促されて眼圧が下がった可能性も

第二に、目の血流を促す作用です。
ガムかみで目の血流が促されることは、私たちが行った別の試験でも確認されています。

その試験では、10人の男女(平均年齢21歳)に、ガムを10分間かんでもらいました。すると、ガムかみ後の目の血流量は、ガムをかむ前に比べて70%も増加していたのです。

眼圧には、目の血流も大きく影響しています。ガムかみによって目の血流が促されることで、眼圧が下がったと考えられます。
実際に、私も大学院での実験やレポート作成、パソコン作業などで目を酷使していた時期にガムをかんでいたら、目がスッキリしていた経験があります。
やはり、ガムかみには、目にいい影響を与えるなんらかの作用があるのは間違いないでしょう。

もっとも、ここで紹介した試験は健康な人を対象にして行ったため、この結果がそのまま緑内障の人に当てはまるかは、まだわかっていません。ただ、1日20分程度のガムかみを毎日行えば、緑内障の人でも眼圧の低下が期待できるかもしれません。もちろん、眼科での治療を受けることは忘れないでください。

なお、ガムが苦手な人は、普段の食事でよくかんで食べることを心がけるといいでしょう。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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