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体調不良の重大原因【骨盤のゆがみ】が招く症状は、開く・閉じるなど「ゆがみ方」でこんなに違う

解説 やまだ治療院顧問
山田晶

あらゆる体の不調を招くとされる骨盤のゆがみ。実は、一口にゆがみといっても、「右に傾く」「左に傾く」「前に傾く」「後ろに傾く」「開いている」「閉じている」の6種類があることを、やまだ治療院顧問の山田晶先生は指摘します。山田先生は、歯科医として治療するかたわら、1990年代から骨盤のゆがみと体の不調について研究し、本も執筆されてきた骨盤のスペシャリストです。この記事では、骨盤の「開く・閉じる」が体に与える影響について、山田先生に解説していただきます。

骨盤のゆがみは、あらゆる病気や不調の原因になる可能性があります。ゆがみの予防や改善のために、普段の姿勢や動作に注意をしたり、骨盤を支える筋肉を鍛える運動に取り組むことを意識するようにしてください。

骨盤の開閉には一定のリズムがある

骨盤が不自然に開きすぎたり閉じすぎたりすることは、体の不調の原因になる可能性があると私は考えています。

骨盤は、1日のうち一定のリズムで開閉をくり返しているといわれます。その理由は、骨盤には内臓を守る役割があり、必要に応じて骨盤内の容量を変えなくてはならないため。自律神経(意志とは無関係に内臓や血管の働きを支配する神経)とも関係しているといわれます。

夜寝ているとき、骨盤は内臓を休めるために開きぎみになるといいます。つまり、骨盤の関節(仙腸関節)が少し動いて内側の空間が広がるのです。そのときには、骨盤全体がやや後ろに傾くので、背骨のカーブもゆるやかになり、リラックスした状態になると考えられます。

一方、日中の活動時には、骨盤は閉じて中のスペースを小さくして、内臓を支え、活動に備えると考えています。このときには骨盤が前傾ぎみになり、背骨はしっかりとS字力ーブを作り、緊張状態になるわけです。

なお女性の場合、1日のリズムのほか、1カ月の生理周期でも、骨盤の開閉をくり返していると考えられます。生理の直前になると、骨盤が開いてゆるむわけです。

骨盤の開きぎみ・閉じぎみが自律神経の乱れを招く可能性がある

一般的に、こうした自然のリズムでの開閉とは別に、骨盤に偏った負担が加わると、骨盤はゆがみやすくなると考えられます。

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骨盤が開きぎみの人は、骨盤が後ろに傾き(骨盤後傾)、ネコ背や垂れ尻など体型のくずれを招きやすくなります。骨盤後傾の人は、自律神経のうち副交感神経(体を休ませる神経)が優位になるため、体は不活発になって、だるさや疲労を感じたり、肩こりになったりすると考えられます。

骨盤が閉じぎみの人は、骨盤が前に傾き(骨盤前傾)、自律神経のうち交感神経(体を活発に働かせる神経)が優位になりやすいため、活動的な傾向があります。しかし、心身が緊張して、不眠や頭痛などを招きやすくなると考えられます。

ところで骨盤は、女性と男性で形が異なります。正常な骨盤は逆三角形をしていますが、女性の骨盤は、子宮や卵巣など特有の臓器を守るために横に広がった逆三角形(または台形)で、全体に丸みを帯びています。一方、男性の骨盤はやや縦長の逆三角形をしています。

ところが近年、特に10~20代の若い世代では、骨盤が開いて、全体に四角形にゆがんでいる人が増えている印象を持っています。

骨盤が四角形にゆがむと、胃や腸・膀胱(ぼうこう)ばかりか、女性の場合は子宮・卵巣などの臓器が下垂して圧迫される可能性があります。その結果、生理不順や子宮筋腫(きんしゅ)などの婦人科系の病気や、頻尿・尿漏れといった不快症状が生じやすくなることがあるのです。

以上のように、骨盤のゆがみ方によって、さまざまな病気や症状を招く可能性があります。骨盤のゆがみを防ぐために、ふだんからいい姿勢を心がけ、ゆがみを正す運動を行うよう意識することをおすすめします。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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