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【骨盤のゆがみ】は万病と老化の温床。ゆがみを招く要注意生活一覧(歯科医師解説)

解説 やまだ治療院顧問
山田晶

日常生活でなかなか意識をする機会がない骨盤のゆがみ。しかし、やまだ治療院顧問の山田晶先生は、骨盤のゆがみは万病の温床になると話します。山田先生は、1990年代から骨盤のゆがみと体の不調について研究し、本も執筆されてきた骨盤のスペシャリストです。くわしいお話を聞きました。

骨盤のゆがみは、あらゆる病気や不調の原因になる可能性があります。ゆがみの予防や改善のために、普段の姿勢や動作に注意をしたり、骨盤を支える筋肉を鍛える運動に取り組むことを意識するようにしてください。

骨盤は全身の骨格を支える土台になっている

みなさんはふだん、足を組んでイスに座ったり、バッグを片方の肩ばかりにかけたりしていないでしょうか。悪い姿勢や偏った体の使い方は、骨盤に負担をかけ、ゆがみが生じる原因となります。

骨盤のゆがみは、下半身太りや、腰痛・ひざ痛などの関節痛、便秘の重大原因となるほか、内臓疾患を引き起こしかねないと私は考えています。

まずは、骨盤のしくみから説明しましょう。骨盤とは、腸や子宮などの大切な臓器を包み込むように形作られている、人体最大の骨の集合体のこと。体の中心で上半身と下半身をつないでおり、骨格の要として機能しています。

下の図のように、骨盤は一つの骨ではありません。仙骨・尾骨、そして寛骨と呼ばれる腸骨・坐骨・恥骨という5個の骨が結合した立体構造になっているのです。なお、仙骨と腸骨は仙腸関節でつながっています。

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このうち仙骨は、背骨の最下部がくさび状につながっている部分で、5個の仙椎(せんつい)によって構成されており、その下端に尾骨があります。そして、仙骨の上には背骨が、S字型に湾曲しながら積み上げられているのです。

一方、腸骨・坐骨・恥骨で構成される寛骨は、チョウが羽を広げたような形をしています。寛骨の果たす大きな役割は、内臓の受け皿となることと、大腿骨(だいたいこつ。太ももの骨)とつながって股関節を形成することです。

つまり、骨盤は全身の骨格を支える土台であり、人間が立って歩くためにとても重要な役割を担っているのです。

正常な骨盤は、ほぼ左右対称で、恥骨の中心部がピッタリと結合(恥骨結合という)。そして、横から見るとやや傾斜し、正面から見ると逆三角形をしているのです。

こうした骨盤の立体形は、まわりを覆っている筋肉がしっかりしていないと維持できません。上半身とつながっているのは腹直筋と脊柱(せきちゅう)起立筋、下半身とつながっているのは大殿(だいでん)筋と内転筋。これら4つの筋肉が巧みに連携し、骨盤を支えているのです。

骨盤のゆがみは万病の温床になる

骨盤は、底のない鉢のような形をしています。底の空いたところは骨盤底筋群という筋肉によって覆われ、この筋肉が内臓を支えています。

しかし、年を取るにつれて、これらの筋肉は衰えていきます。若い人でも運動をあまりやらなかったり、悪い姿勢を長く続けたりすると、筋肉が衰えて骨盤にゆがみが生じると考えられます。最近の若者に姿勢の悪い人が目立つのも、成長期の10代のころに座り方が悪かったため、骨盤が変形してしまったからであると私は考えています。

本来、骨盤はそれぞれの骨が協力し合ってバランスを保つようにできています。しかも、仙腸関節や恥骨の中心部は強固な靱帯(じんたい。骨と骨をつなぐ丈夫な結合組織)でつながっているため、簡単に骨盤がゆがむことはありません。

ところが、悪い姿勢や偏った体の使い方をしていると、骨盤周辺の筋肉が圧迫されて、仙骨と腸骨をつなぐ仙腸関節にズレが生じます。その結果、骨盤の全体の形がくずれて、骨盤が前後左右に傾いたりねじれたりすると考えられるのです。

例えば、イスに座るときに足を組んだり、机に片ひじをついたりする姿勢は、体の片側に負担がかかります。片足をずらして横座りをするのもよくありません。また、両ひざをくっつけてお尻を床にペタッと落として座る「アヒル座り(ペタンコ座り)」も偏った姿勢だといえるでしょう。

ほかにも、女性の場合は出産に備えて骨盤をつなぐ靱帯がゆるみやすくなっています。それが、骨盤のゆがみの原因になることもあると考えられます。

こうして骨盤がゆがむと、姿勢が悪くなり、下半身に負担がかかって、腰痛やひざ痛を招く可能性があります。

さらに、骨盤のゆがみは背骨にも悪影響を及ぼし、上半身を支えている腹筋や背筋にも大きな負担がかかります。すると、周辺の神経が強く刺激されたり、筋肉が圧迫されて血液循環も悪くなったりして、さまざまな病気や不快症状を招く可能性もあります。

もちろん、姿勢も悪くなって老けて見られる原因にもなります。

骨盤のゆがみは、万病と老化の温床であると、私は今までの治療の経験から考えています。日ごろの生活習慣を見直して、正しい姿勢を心がけてください。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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