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【耳管開放症のセルフ対策】上半身を90度以上深く曲げる「10秒おじぎ」を医師が推奨
耳管開放症は、姿勢と深い関係がある病気であることをご存じでしょうか。
つまり、姿勢を工夫すると不快な耳管開放症の症状を軽減できる可能性があるのです。慶友銀座クリニック院長の大場俊彦先生にお話を聞きました。
とはいえ、姿勢の工夫で耳管開放症の症状が軽減するのは一時的で、根治できるわけではありません。耳管開放症で悩んでいる人は、この病気にくわしい耳鼻咽喉科の専門医の治療を受けることを忘れないでください。
横になる姿勢や深いおじぎは、耳管開放症の症状を軽減できる可能性がある
耳管開放症の症状は頭を低くすると軽減する
耳管とは、耳の鼓膜の奥の中耳と、鼻の奥の上咽頭をつなぐ約3.5センチほどの管です。通常は閉じていますが、つばを飲んだり、あくびをしたりしたときに開いて、速やかに閉じます。その耳管が開いたままの状態になるのが耳管開放症です。
立ち姿勢のときは耳管が開きやすくなり、逆に寝たり前かがみになったりして頭を低くすると耳管が閉じやすくなります。
耳管開放症の検査でも、立ち姿勢と寝た姿勢で自声強聴(自分の声が大きく聞こえる症状)や耳閉感などの症状がどのように変わるのかを調べて、診断の目安にします。そして、寝た姿勢で症状が軽快した場合は、耳管開放症の疑いがあります。
頭を低くすると耳管周囲の静脈の血液量が増えて耳管が開きにくくなる
なぜ寝た姿勢で症状が軽快するのかといえば、耳管の周囲にある静脈の血液量が重力の影響で増減するためです。
寝た姿勢だと、耳管の周囲にある静脈叢(そう。静脈の集合体)に血液がたまってふくらみ、耳管を圧迫するため、耳管が開きにくくなります。逆に立ち姿勢になると血液が頭から体の下のほうに移動し、静脈叢の血液も少なくなって耳管が開きやすくなります。
このように、立ち姿勢と寝た姿勢で症状が変化する場合は、耳管開放症の恐れがあるので、まず耳鼻科医に相談することをおすすめします。
耳管開放症の症状を軽減するには深いおじぎがおすすめ
当院を訪れる耳管開放症の症状を訴える患者さんのほとんどは、軽度の患者さんです。軽度の耳管開放症の場合、急激な体重減少が原因で一時的に耳管が開いているに過ぎないことが大半です。
そのため、バランスのいい食事をとって体重を適正値まで増やせば、自然に治りやすいものです。しかし、軽度で治りやすいとはいえ、不快な症状が何日も続くのはつらいことです。
そこで、症状を和らげるためにおすすめなのが、深くおじぎをすることです。深いおじぎも、重力の作用で耳管の周囲に血液が集まり、耳管が閉じやすくなって症状が軽減する可能性があるからです。
耳管開放症の症状を軽減するおじぎのやり方
耳管開放症の症状を軽減するおじぎのやり方のコツは、上半身を90度(直角)以上深く曲げて、頭頂部を床に向かって下げておじぎをし、その姿勢を10秒程度しっかり保つことです。
症状が出てから行ってもいいですが、1日に3回くらい規則的に行うといいでしょう。
このとき、フラフラして転倒しないように、片手をイスの背に置いたり、壁についたりして、体を安定させてください。
なお、高血圧で血圧のコントロールがうまくいっていない人や、脳動脈瘤(りゅう)の疑いのある人は行わないでください。
このような人は、症状が出たとき、家や会社のソファで少し横になるだけでも、十分な作用があると思います。
この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。
写真/© Fotolia ©カラダネ
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