自分の症状のことが少しでも理解できたら、次に鼻水・鼻づまりを改善させるべく、簡単なセルフケアを試してみませんか?
1.ほお骨プッシュ
きたにし耳鼻咽喉科院長の北西剛先生は、鼻づまりなど副鼻腔炎の症状のある患者さんに、「ほお骨プッシュ」をすすめています。北西先生が、「鼻づまりの改善に導くツボの刺激と、顔の骨のゆがみを正す作用が得られる」と期待を寄せる「鼻ヨガ」の一種です。
●ほお骨プッシュのやり方

❶小鼻(鼻のふくらんだところ)の上端のへこんだところで、そのやや外側に右鼻なら右手、左鼻なら左手の人さし指の腹を当てる。
❷強い力で押し上げて、次にほお骨を外側に向かって2秒間押し広げる。これを3回くり返す。
「ほお骨プッシュは、自分の手で簡単にできて副作用の心配もなく継続的に行えるのがメリットでしょう。病院で正しい診断や治療を受けることを前提に、ほお骨プッシュなどを行うことはとてもおすすめです」(北西先生)
くわしくは下の記事をご覧ください。
2.鼻水や鼻づまりを和らげる鼻のかみ方
ほりクリニック院長で耳鼻咽喉科医の堀雅明先生は、「正しい『鼻のかみ方』のできない人がおおぜいいる」と指摘します。鼻をかむときは次のように行ってください。
正しい鼻のかみ方
❶鼻から十分に空気を吸い込んで口をしっかり閉じ、下を向く。
❷片方の鼻を押さえて、適度な強さで息を吐ききるように長く最後までかむ。
❸鼻水がすべて出るまでくり返す。

また、鼻をかんだあとに鼻水をすするのは危険。残った鼻水が中耳腔まで逆流し、中耳炎を起こす可能性があるからです。くわしくは下の記事をご覧ください。
なお、堀先生が特に注意喚起するのが、「鼻をかんだ後に鼻水をすすらないこと」。鼻をすすると、副鼻腔内に残っている鼻水が耳の器官である中耳腔まで逆流し、中耳炎の原因になる可能性があるからです。
3.強化版鼻うがい
鼻をかむだけでは、つらい鼻水・鼻づまりの原因になる鼻腔内の細菌やウイルス、膿などを出し切るのは難しいもの。
きたにし耳鼻咽喉科院長の北西剛先生は、慢性副鼻腔炎や花粉症などのアレルギー性鼻炎、上咽頭炎への対策に、鼻うがいをすすめています。
100円ショップなどで売られているドレッシング容器など液体容器にシリコン製のイヤホンパッドをつけるだけでで、鼻うがい器ができあがります。

●鼻うがいのやり方
❶水を沸騰させて30〜35度Cまで冷ます
❷鼻うがい器の中にぬるま湯330ミリリットル、塩小さじ2分の1(3グラム)を入れて振り混ぜ、塩を溶かす
❸洗面台に顔を突き出してあごを引き、鼻うがい器を鼻の穴に当てる
❹「あー」と声を出しながら、容器を押して鼻腔内を洗う
❺同様にもう一方の鼻も洗い、ティッシュペーパーで鼻を押さえて鼻腔内の水気を取る
●鼻うがいの注意点
・鼻奥まで水を入れようと顔を上に向けると、のどに流れてむせたり、耳に入ったりするので、下を向いた姿勢を保ってください。
・水は無理に吸い込まずに、容器を手で押して出てくる水の量で十分です。無理に吸い込もうとすると中耳炎などになる可能性もあるため、注意してください。
・鼻腔内に水があるときに、つばや注入した水を無理に飲み込まないでください。
・1日に行う回数は1~2回まで。やりすぎは禁物です。
さらに、ドロドロとした鼻水や膿がなかなか出せない人には、重曹入りの強化版鼻うがいがおすすめ。
●強化版鼻うがい水の作り方
❶鼻うがい器に水を沸騰させて冷ましたぬるま湯を入れる
❷重曹2.5グラム、塩5グラムを入れて混ぜる。重曹はスーパーなどで市販されている食品用を使用
あとは、通常の鼻うがいと同じように、鼻腔を洗い流します。くわしくは下の記事をご覧ください。
4.鼻カイロ
「鼻づまりは、私たちの寿命をも左右する症状」と警告するのは、日本医科大学耳鼻咽喉科の大久保公裕教授です。
鼻がつまって口呼吸になると、基礎代謝が下がって太りやすくなる可能性があるそうです。肥満は生活習慣病の大きな原因です。また、心臓の鼓動が早くなることで、循環器系に負担をかけて老化を早める恐れもあります。
大久保先生がすすめるのは、朝起きたての鼻カイロ。温かいタオルを鼻に乗せるだけの簡単セルフケアです。

●鼻カイロのやり方
❶ハンドタオルまたはミニタオルを40〜50度Cのお湯につけて軽く絞る。またはタオルを水道水で濡らして絞り、丸めた状態で電子レンジに30秒〜1分かける。やけどに注意
❷タオルを折りたたんだ状態で、鼻の穴から鼻のつけ根まで覆うように鼻に乗せ、鼻で呼吸をする。
❸タオルが冷めたらはずし、ゆっくり鼻をかむ
途中、鼻の中がムズムズしてきたら固まっていた鼻水がほぐれてきた証拠。タオルが冷めるころには、軽くかむだけで出てくるでしょう。くわしくは下記の記事をご覧ください。
5.タマネギ深呼吸
最後に、就寝時のユニークな鼻水・鼻づまりセルフケアを。日本医科大学耳鼻咽喉科の大久保公裕教授が推奨するタマネギ深呼吸です。
タマネギ深呼吸は、タマネギを皮がついたまま薄切りにして器にのせ、においが届くように枕元に置きます。そのまま、朝まで眠るだけです。

タマネギ(特に皮)には、強い抗酸化作用のある「ケルセチン」という成分が含まれています。ケルセチンは、アレルギーの原因となるヒスタミンを抑え、鼻づまりを改善する働きがあります。
また、硫化アリルという鼻づまり改善に有用な成分が含まれています。タマネギを切った時に涙が出るのは、硫化アリルのせいです。
寝る直前に、切ったタマネギを鼻に近づけ、思い切り息を吸い込むだけでも変化を実感できる人がいます。くわしくは下の記事をご覧ください。
以上、鼻水や鼻づまりの人が自分でできることもたくさんあります。ぜひ、病院での治療とともに試していただきたいと思います。
記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。
写真/© Fotolia ©カラダネ
この記事が気に入ったらいいね!しよう