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副鼻腔炎(蓄膿症)の対策④頑固な鼻づまりや花粉症などアレルギー性鼻炎対策には「鼻カイロ」がオススメ
大久保公裕
副鼻腔炎(蓄膿症)や花粉症の人は、朝起きた瞬間からつらいという人が多数。鼻がつまって、呼吸もままならないと目覚めもよくないことでしょう。
鼻がつまったら、口で呼吸するしかありませんよね。実は、口呼吸は体にさまざまな害を及ぼすとされますが、そのせいで太りやすくなる人もいると言われます。
では、いったいどうすればいいのでしょうか。
とっておきのセルフケアを、日本医科大学耳鼻咽喉科の大久保公裕教授に教えていただきました。
鼻がつまると口呼吸になって太る。心臓への負担が増えて老化が早まる!?
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)や花粉症などのアレルギー性鼻炎、カゼなど、長引く鼻水・鼻づまりで悩む人は実に多く、病医院に通っても薬を使ってもなかなか改善されない人がいます。
中には「たかが鼻づまり」と考えて、病院へ行かない人もいるようです。
しかし、鼻づまりを軽く見てはいけません。鼻づまりは、私たちの寿命をも左右する症状なのです。
理由の一つは口呼吸が増えること。鼻がつまっていると自然と口呼吸になりがちです。
口呼吸になると基礎代謝(安静時にも使われるエネルギー消費量)が下がり、太りやすくなります。そして肥満になれば、糖尿病などの生活習慣病を招きやすくなります。
二つめは、心臓の鼓動が速くなることです。鼻がつまっているせいで呼吸がしづらい人は、酸素不足になります。
そのため、酸素を全身へ運ぼうと血流が速くなり、心臓の鼓動も速くなるのです。その結果、循環器系に負担をかけて老化を早めてしまいます。
このように、健康に長生きするためには、鼻がすっきり通っていて鼻呼吸をできることが大切なのです。
鼻カイロは鼻を温かいタオルで温めるだけ。簡単で人によっては早い改善も期待できる
朝起きたときに鼻がつまっている、仕事中に鼻がつまって集中できない、鼻づまりで寝苦しいなど、鼻づまりの人は日常の中のさまざまな場面で不都合が生じます。
そこで、今日からすぐに実行でき薬もいっさい使わず、人によっては早い改善も期待できる鼻づまり改善のセルフケア法を、日常のさまざまな場面に沿って紹介しましょう。
まず、朝起きたてにおすすめなのは「鼻カイロ」です。鼻カイロとは、温かいタオルを鼻にのせるだけの簡単なセルフケア法です。
朝起きたとき、鼻をかんでも鼻水がなかなか出てこないといった頑固な鼻づまりに悩む人はおおぜいいます。
これは、自律神経(意志とは無関係に血管や内臓の働きを支配する神経)が関係しています。寝ているときは、副交感神経(体を休めるときに働く神経)が優位になるので、血流はゆっくりで血管も太くなったままです。
そのため、鼻粘膜に血液がたまって腫れや炎症を起こします。その結果、鼻の中の通り道が狭くなって、鼻づまりが起こるのです。
この症状は、鼻カイロで鼻を温めるだけで簡単に改善します。温めることで血行がよくなり、たまった血液が流れて血管が引き締まり、鼻の中の通り道も広がるのです。
また、花粉症などのアレルギー性鼻炎の場合、温めることでアレルギーを引き起こすヒスタミンという化学伝達物質の放出が減ることもわかっています。
つまり、鼻カイロで鼻を温めれば、鼻づまりばかりか、クシャミやかゆみといったアレルギー症状も軽減できます。
鼻カイロのやり方は簡単で、ハンドタオルやミニタオルをお湯につけて軽くしぼり、たたんだ状態で鼻の上にのせるだけ。
鼻カイロは、鼻の穴から鼻のつけ根まで鼻全体を覆うようにのせてください。
鼻カイロをしていると、鼻の中がムズムズしてきます。それは、鼻の中でたまって固まっていた鼻水がほぐれてきた証拠です。
タオルが冷めたころには、硬くなっていた鼻水も軟らかくなって、軽くかむだけで出てきます。
なお、鼻づまりに悩んでいる人の中には、実際には鼻づまりを起こしておらず、鼻の穴が閉ざされたように感じる鼻閉感があるだけの場合が少なくありません。
これは、ドライノーズなど、鼻前庭(鼻の穴の入口)が乾燥することで起こります。夜、乾燥した部屋で寝ることで、鼻閉感は増してきます。これに対しても、鼻カイロで蒸気を鼻腔の中に送り込めば、鼻腔に適度な湿り気が出てきて改善に役立ちます。
記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。
写真/© Fotolia ©カラダネ
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