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【子宮筋腫の治療】手術や薬物療法が必要な場合は?手術の種類も専門医が解説

解説 いけした女性クリニック銀座院長
池下育子

実は女性の3〜4割の人にあるといわれる子宮筋腫。症状が強く現れた場合には治療を行う必要があります。子宮筋腫の薬物療法や手術にはどのようなものがあるのか、いけした女性クリニック銀座院長の池下育子先生にお話を聞きました。

子宮筋腫は、ほかの病気でも同じような症状がみられるケースが多いため、発症に長期間気づくことができない人が多い病気です。自覚症状に気づいたら速やかに産婦人科で検査を受けてください。

子宮筋腫の薬物療法

もしも子宮筋腫ができていたとしても、大半は無症状であるため、病院にかかってもたいていは経過観察となります。とはいえ、不妊や早産などのトラブルを招いたり、筋腫が肥大化して不正出血(月経以外で出血すること)・腹痛・腰痛・頻尿・便秘などの症状が強く現れたりすることがあり、その場合は治療が不可欠です。

子宮筋腫の主な治療法は、薬物療法と手術です。

症状の軽減を目的とした対症療法と、コブの発育を止めるホルモン療法

薬物療法には、症状の軽減を目的とした対症療法と、体を閉経と同じ状態にしてコブ(筋腫)の発育を止めるホルモン療法(偽閉経療法)があります。

いずれも根治治療ではなく、偽閉経療法は保険の適用が6ヶ月までなので、それ以降は女性ホルモンが戻り、すこしずつ小さくなった筋腫が元のサイズに増大しはじめます。また、偽閉経治療の副作用として、ほてりなどの更年期障害に似た症状が現れることがあります。

子宮筋腫の手術

最も確実なのは「子宮全摘術」

子宮筋腫の手術にはいくつかの方法があります。その中で、最も確実といえるのは「子宮全摘術」(子宮をすべて取り除く手術)です。

ただし、手術後は当然ながら妊娠・出産ができなくなります。患者さん自身も、子宮がなくなった喪失感に悩まされる人もいます。

「筋腫核出術」や「筋腫切除術」なら子宮を温存できる

それに対し、子宮を温存できる手術もあります。コブ部分のみを取り除く「筋腫核出術」(行われる頻度は少ないが「筋腫切除術」もある)なら、多くは術後に妊娠・出産が可能です。

しかし、コブの大きさや数、発生部位によっては手術後に回復が遅れたり、傷口が癒着したり、病気が再発したりすることがあります。

現在、子宮筋腫の手術は、患者さんの体に負担をかけないように開腹せず、小さな穴から腹腔鏡(内視鏡)を挿入して行うのが一般的です。これなら、傷は目立たず、手術後の回復も早くなります。

ほかにも、粘膜下筋腫 の場合は、子宮鏡という内視鏡を膣のほうから入れて患部を取り除く方法もあります。これなら、腹部に傷が残る心配はありません。

その他の新療法

最近は、足のつけ根からカテーテルという細い管を挿入し、コブに栄養を与えている動脈をふさぎ、コブを小さくする「子宮動脈塞栓術」や、超音波でコブの細胞を焼く「集束超音波療法」(FUSという)などの新療法が注目を集めています。どちらも体に傷は残らず、入院期間は短くてすむのが利点です。

ただし、子宮動脈塞栓術は子宮全体を小さくするため、妊娠を望む人に向きません。また、いずれも健康保険が適用されないので、費用は自己負担となります。

どの治療を選択するかは、患者さんの病状や出産希望の有無で大きく違ってきます。医師とよく相談し、納得したうえで治療を受けてください。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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