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専門医が【子宮筋腫】の種類・原因・症状を解説。なんと女性の7割超に見つかる国民病

解説いけした女性クリニック銀座院長
池下育子

月経異常や不正出血を引き起こす子宮筋腫。なんと、女性全体の70%以上が子宮筋腫を抱えているという報告もあり、若い世代での発病も目立っていることをご存じですか?

そんな子宮筋腫の原因や症状について、いけした女性クリニック銀座院長の池下育子先生にくわしいお話を聞きました。

子宮筋腫は、ほかの病気でも同じような症状がみられるケースが多いため、発症に長期間気づくことができない人が多い病気です。自覚症状に気づいたら速やかに産婦人科で検査を受けてください。

子宮筋腫の種類

産婦人科医の私は、これまで数多くの女性の患者さんを診療してきました。ひと口に婦人病といっても、さまざま種類があります。中でも多くの女性が悩まされているのが「子宮筋腫」です。

子宮筋腫の9割は、子宮の上部3分の2の「子宮体部」にできる

子宮は骨盤の中にある臓器で、上部3分の2を「子宮体部」、下部3分の1を「子宮頸部(けいぶ)」といいます。このうち、子宮頸部の一部は膣に出ています。

子宮筋腫は、こうした子宮の内膜や筋肉層などにコブのような良性の腫瘍(しゅよう。異常な細胞の集まり)ができる病気です。子宮筋腫の約9割は子宮体部にでき、残りは子宮頸部にできます。

子宮体部にできる子宮筋腫は、筋層にできる「筋層内筋腫」が7割を占める

子宮体部にできる子宮筋腫は、大きく3タイプに分けられます。

その第1は子宮の筋層にできる「筋層内筋腫」、第2は子宮の外側を覆っている漿膜(しょうまく)にできる「漿膜下筋腫」、そして、第3は子宮の内側を覆っている子宮内膜のすぐ下にできる「粘膜下筋腫」です。このうち、筋層内筋腫が全体の約7割を占めています。

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小さいものを含めれば、女性全体の70%以上に子宮筋腫がある

現在、30代の女性の20〜30%、40代以上の女性の40%に子宮筋腫があると推定されています。また、小さなものを含めれば、女性全体の70%以上に筋腫が見つかるという報告もあり、若い世代での発病も目立っているため、まさに国民病ともいうべき様相を呈しています。

子宮筋腫の原因

子宮筋腫は月経の影響で発生すると考えられている

子宮筋腫は多くの女性に起こる病気ですが、原因はまだよくわかっていません。諸説ある中で有力なのは、毎月くり返される月経の影響で発生するという説です。

月経があると、出血で子宮が虚血(血液が足りない状態)になったり、出血が止まって再び血流がよくなったりします。すると、活性酸素(攻撃力の強い悪玉の酸素)が発生して遺伝子に異常が起こり、筋腫ができるのではないかと推測されているのです。

月経が順調な女性ほど子宮筋腫が増大しやすい

また、子宮筋腫は2大女性ホルモンの1つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)由来で増大し、もう1つのプロゲステロン(黄体ホルモン)が同時に作用してさらに大きくなることがわかっています。このことからも、月経の順調な女性ほど子宮筋腫が増大しやすいといえるのです。

反対に、閉経して女性ホルモンの分泌が減少すると、子宮筋腫はたいてい自然に縮小します。また、子宮筋腫は良性の腫瘍なので、悪性化する恐れはありません。

そのため、特に強い症状が現れなければ、経過観察でようすを見るのがふつうです。

子宮筋腫の症状

子宮筋腫の症状が強く現れた場合は治療が必要になります。子宮筋腫の症状には、次のようなものがあります。

過多月経(生理の出血量が異常に増えること)や過長月経(生理の期間が長くなること)などの月経異常、下腹部痛や腰痛、不正出血(月経以外で出血すること)、出血多量による鉄欠乏性貧血、子宮筋腫がほかの臓器を圧迫して起こる頻尿や便秘、不妊症などです。

実は、こうした子宮筋腫の症状は、先述の3タイプごとに現れ方が違ってきます。

筋層内筋腫の症状

筋層内筋腫は、コブがある程度の大きさになると子宮が拡張し、子宮内膜の表面積が広がって、過多月経や貧血が起こります。

漿膜下筋腫の症状

漿膜下筋腫は、コブがかなり大きくなると腹部に違和感が現れたり、膀胱や直腸が圧迫されて頻尿・便秘が起こったりします。

粘膜下筋腫の症状

筋層内筋腫と漿膜下筋腫は、コブが小さいうちは症状をほとんど自覚できません。しかし、粘膜下筋腫は、コブが小さくても症状が強く現れます。

粘膜下筋腫になると、過多月経や過長月経、貧血のほか、濃黄色のおりものや不正出血が現れます。また、粘膜下筋腫がいくつもできると受精卵が着床できなくなり、不妊や流産の原因になります。

閉経後に子宮に大きなしこりが見つかった場合は「子宮肉腫」の可能性がある

子宮筋腫は、命にかかわるわけではなく、ほかの病気でも見られる症状が多いので、長い間、気づいていない人が少なくありません。閉経後、女性ホルモンの分泌の低下とともに筋腫は小さくなりますが、まれに肥大化するケースもあります。

もし、閉経後、子宮に大きなしこりが見つかった場合は、子宮筋腫ではなく子宮肉腫という悪性腫瘍の可能性があるので要注意です。

日ごろから、子宮筋腫のサインを見逃さず、自覚症状に気づいたら速やかに産婦人科を受診しましょう。子宮筋腫は、超音波(エコー)検査で簡単に見つかります。

なお、子宮筋腫が見つかった場合は、悪性か良性か鑑別するため、画像検査や血液検査(腫瘍マーカー)などを併せて受ける必要があります。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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