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認知症の原因には睡眠不足が関係していると聞いた。本当なの?【認知症Q&A⑨】

解説慶應義塾大学病院講師・日本認知症学会専門医
伊東大介

認知症の発症と眠りについては、なんとなく関係が深い印象があります。睡眠時間が短かったり睡眠の質が悪かったりすると、脳に悪影響があるような気がしませんか?
実際のところ、どうなのでしょうか。

認知症専門医の伊東大介先生に話を聞きました。

睡眠不足が認知症の原因になる?

認知症の代表格であるアルツハイマー病は、脳の老廃物であるアミロイドβが脳に蓄積することで発症が促されると考えられています。このアミロイドβは就寝中に脳から除去されるので、近年、「良質な睡眠は認知症の予防に役立つ」といわれるようになりました。

そのため、睡眠不足になると、「認知症のリスクが高まるのではないか」と不安になる人がいます。

しかし、現在のところ、睡眠の時間や質が認知症の発症に影響を及ぼすことを明確に示す研究はありません。
寝つきが悪かったり目覚めが早かったりするだけで日常生活に支障がなければ、認知症について過剰に心配する必要はないでしょう。

就寝1時間前の入浴がおすすめ

睡眠不足で日中にボーッとしたり、疲れが取れなかったりする場合は、いい眠りにする対策が必要です。
そこで、まず、寝つきが悪い人は、就寝の1時間前に38〜40度Cの湯を浴槽にはって、5分〜10分ほど入浴することをおすすめします。入浴後、上昇した体温が下がると、自律神経(無意識のうちに血管や内臓を支配する神経)のうち副交感神経(心身をリラックスさせる神経)が優位になって寝つきがよくなります。

また、最近は就寝の直前までテレビやパソコン、スマートフォンを見ている人がいますが、こうした習慣は自律神経の働きが乱れる原因になるため、睡眠に悪影響が及ぶことも考えられます。
そのため、こうした習慣は改め、就寝の1時間前にはテレビやパソコン、スマートフォンは見ないようにしてください。

「睡眠薬の服用で認知症のリスクが高まる」というデータは今のところ、ない

なお、どうしても眠れずに悩んでいる人は、睡眠薬を利用するのも一つの方法です。
「睡眠薬を飲むと脳に悪影響があるのではないか」と考える人がいるかもしれませんが、睡眠薬の服用で認知症のリスクが高まるというデータは確認されていないので、さほど心配しなくてもいいと思います。

ただし、睡眠薬が強すぎると効果が朝まで残ってしまい認知症のような症状が現れます。また、高齢者では、夜間にトイレに起きたときなどに転倒し、思わぬ事故を招く危険があります。こうしたことから、睡眠薬を服用するさいには、必ず医師に相談してから処方してもらうようにしましょう。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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