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最近物忘れが増えたが、これは認知症の初期?or単なる物忘れ?【認知症Q&A①】

解説 慶應義塾大学病院講師・日本認知症学会専門医
伊東大介

物忘れが増えると、急に不安になります。
ここでは、物忘れに悩む人が最も知りたい「自分の物忘れは、認知症なのか否か」を判断する目安について伊東先生に話をお聞きしました。

自分の物忘れが認知症かどうかは、正確にはやはり認知症専門医に見てもらうことが重要です。記事はあくまでも目安にしていただき、認知症の場合は医師の治療を受けることが重要である点を忘れないでください。



自覚がある物忘れの人の大半は、認知症とはいえない

●人や物の名前が出てこない
●同じものをいくつも買ってしまう
……以上のようなことが続くと、「自分が認知症ではないか」と心配になる人が多いようです。しかし、結論からいえば、こうした物忘れがあっても大半の人は認知症を発症していない可能性が高いと思われます。

認知症専門医である私のクリニックには、物忘れに悩む人が数多く訪れますが、自覚がある人の大半は認知症にはいたっていません。むしろ、認知症を発症している人の多くは物忘れを自覚していないのです。

「単なる物忘れ」「認知症による物忘れ」の違い

そこで、心配のない加齢による物忘れと、認知症による物忘れの違いを説明しましょう。

例えば、「昨日の夕食に何を食べたか」を、思い出せない場合、「魚を使っていたよ」「肉料理だった」などヒントがあったり、時間をかけたりすれば思い出せるなら、加齢による物忘れです。
それに対し認知症の場合は、記憶を作る海馬という部位が衰えているので、夕食を食べた体験自体を忘れてしまい、ヒントを与えても答えられません。そのため、家族から物忘れを指摘されても本人は自覚することさえ難しいのです。

自覚のある物忘れでも頻発すれば危険

とはいえ、物忘れの自覚のある人も安心は禁物です。
自覚のある物忘れでも、頻繁に起こっている人は本格的な認知症に進行する可能性があるので、ふだんから運動やバランスのいい食生活などを心がけて認知症予防に努めてほしいと思います。

なお、急に物忘れの症状が出たという場合には、脳血管性認知症を発症している可能性があります。その場合は、病院を受診して脳や脳出血を起こしていないかを調べてください。
そのほか、
●物忘れの頻度があまりに多い
●顔の判別ができない
●判断力が低下してパニックを起こす
●物忘れのために生活にトラブルが出てくる
……上記の場合も、認知症が疑われますので、必ず認知症専門医に診てもらってください。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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