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COPDで息が吸えなくなる【息切れパニック】の緊急対処法「口すぼめ呼吸法」のやり方

解説 南越谷健身会クリニック院長
周東 寛

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の慢性症状はせき・たん・息切れですが、病気が進行して悪化すると呼吸困難に陥ることがあります。患っている人の中には、突然、呼吸ができなくなってパニック状態に陥る人が少なくありません。ですから、COPDの治療では、「息切れパニック」をいかに防ぎ、対処するかが重要になってきます。

しかし、吸入用気管支拡張薬などの長期管理薬を使っていても、息切れパニックはいつ起こるかわかりません。では、どのような対策を取ればいいのでしょうか。南越谷健身会クリニック院長の周東 寛先生にお話を聞きました。
すでにCOPDが疑われる症状がある人は、呼吸器科、呼吸器内科などの専門医に診てもらうことが重要です。そのうえで、記事で紹介する自力対策も試してみてください。



吸い込んだ息をしっかりと吐き出すことが重要

息切れパニックは、末梢気道が狭くなり過呼吸が起こっている状態です。末梢気道が狭くなると、吸い込んだ息をうまく吐き出せなくなります(気流制限という)。そして、吸い込んだ息を十分に吐き出せないうちに、次の呼吸が始まると、肺の中にどんどんと空気量(残気量という)がたまり、新しい空気が出入りするスペースが減り、最後には息ができなくなるのです。

こうした危険な事態をさけるためには、吸い込んだ息を十分に吐き出すように心がけることが必要です。実は、息切れパニックを鎮めるのに、高い作用をもたらす方法があります。それは「口すぼめ呼吸法」という対処法です。

「口すぼめ呼吸法」のやり方

口すぼめ呼吸法では、その名のとおり口をすぼめながら、吸ったとき(吸気)の3〜4倍の時間をかけて息を吐き(呼気)、呼吸を正常な状態に整えます。そのように息を吐くと、気管支の圧が高くなって末梢気道が広がり、肺から空気をしっかりと出せるのです。これなら、気流制限が速やかに解消して吸気、呼気が正常になり、肺の中の残気が減ってきます。

口すぼめ呼吸法を心得ていれば、急に息苦しくなってもパニックを起こすことなく冷静に呼吸を整えられるでしょう。息切れパニックを鎮めるこの対処法は、腹式呼吸でやれば、より高い作用があります。腹式呼吸は、鼻から息を吸い込み、おなかをへこませるようにしながら口からゆっくりと息を吐き出す呼吸法です。こうすることで、胸(肺や心臓が収まっている胸部の空間)と腹腔(胃腸などが収まっている腹部の空間)の境にある横隔膜がよく動き、肺の働きもアップします。

口すぼめ呼吸法は、息切れパニックが起こったときの対処法として役立ちますが、できれば、ふだんから口をすぼめて息を吐くことを習慣にしてください。そうすれば、息切れパニックの起こる頻度がぐっと減少するでしょう。いずれにせよ、息苦しさを感じたら、すぐに口すぼめ呼吸法を行ってください。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© カラダネ © Fotolia

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