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【認知症予防の習慣】入浴後に玉露を飲もう!アルツハイマーを気にする人に

解説 阿部メディカルクリニック院長
阿部 聡

生活習慣病というと、高血圧や糖尿病などを思い浮かべる人が多いかと思います。そうした中で、最近は認知症も生活習慣と深く関係のあることがわかりだしました。

実際、生活習慣を変えることで認知症を防ごうという取り組みが始まっており、カラダネでも記事で多数取り上げています。
さらに、簡単な方法がないかと探したところ、「入浴後に玉露1杯を飲む」という習慣が予防に役立つ可能性があるそうです。
とはいえ、あくまでも可能性の話です。玉露で誰もが認知症を防げるわけではない点はご理解ください。

脳専門医の阿部聡先生にお聞きしました。

血液中のホモシステインが原因の一つ?

認知症で最も多いアルツハイマー病は、アミロイド(毒性の強いたんぱく質の一種)が脳にたまったり、脳の血流が低下したりすることが原因として指摘されています。
そうした中で、近年、アルツハイマー病の発症に深く関係しているといわれているのが、体内の血液中にホモシステイン酸が増えることです。

ホモシステイン酸とは、心身に強いストレスがかかると増える悪玉アミノ酸(アミノ酸とはたんぱく質の構成成分)の一種のこと。
年を重ねるとともに脳の神経細胞の働きが悪くなると、増えたホモシステイン酸が脳の神経細胞にアミロイドβなどの有害物質をためてしまい、細胞死を促すことがわかったのです。

実際、米国で実施された研究結果では70歳以上の高齢者で血液中のホモシステイン酸値が高い人は、アルツハイマー病を発症する危険性が8年間で約2倍にもなることが報告されています。 

ホモシステインの害を緑茶で防ごう

こうしたホモシステイン酸の害を打ち消す可能性があるのが、緑茶を飲むことです。
私たちの体には、ホモシステイン酸が増えるとそれを無害化する酵素(体内の化学反応を助ける物質)が備わっています。緑茶にはこの酵素の働きを助ける「PQQ(ピロロキノリンキノン)」という補酵素が多く含まれているとされます。

緑茶を飲むタイミングはいつでもいいのですが、ホモシステイン酸のことをいえば、私は夜の入浴後をおすすめします。
なぜなら、ホモシステイン酸を無害化する酵素は40度C前後で最も働きが高まるとされ、入浴後の体が温まったタイミングで緑茶を飲むと、PQQとの相乗作用で効率よくホモシステイン酸を無害化できる可能性があるからです。

緑茶の中でも玉露を。入浴後にいい理由

また、緑茶には、煎茶や番茶、玉露など、いくつかの種類がありますが、認知症予防を目的に飲むなら、玉露を選ぶといいでしょう。

玉露は日光を遮断して栽培する緑茶で、脳の神経細胞を保護したり心身をリラックスさせたりする「テアニン」というアミノ酸が、緑茶の中でも多く含まれています。
実際、国内で行われた研究で、高齢者にテアニンを多く含む緑茶粉末カプセルを7カ月以上飲んでもらったところ、認知機能の低下を防げたことが報告されているのです。

以上のことから、認知症の予防のためには、夜の入浴後に湯飲み一杯の緑茶を飲むことを習慣にするといいでしょう。
なお、緑茶は温かいものを飲むのがベストですが、入浴後など体が温まっているときなら、冷たいものでもかまいません。

とはいえ、緑茶は日本人にとって最も一般的な飲み物。とにかく、緑茶にはすごい健康パワーがありますので、時間も場所も選ばず頻繁に飲むことをおすすめします。
最後に、物忘れや認知症を気にする人は必ず専門病院で診てもらうことが肝心です。そのことは大前提として忘れないでください。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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