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【認知症予防体操②】認知機能アップを試験で実証!脳の血流アップが期待できる2大ツボ刺激

解説 明治国際医療大学 特任教授
矢野 忠

脳の血流量や酸素量を増やすことで、認知症予防に役立つ「ツボ」があるんです。実際に、科学的な研究により実証されているので、その点でもおすすめです。

今回は、脳の血流を増やし認知機能の改善に役立つと試験で実証の2つのツボ、いわば脳活2大ツボともいえる「合谷(ごうこく)」と「手三里(てさんり)」について紹介します。明治国際医療大学特任教授の矢野忠先生に話をお聞きしました。

もちろん、認知症の心配がある人は専門医の治療を受けてください。また、必ず予防できるわけではありません。セルフケアの一環として、試してみてください。



認知症の発症を防ぐには、MCIでの対策が不可欠

「買い忘れや置き忘れが多くなった」「同じことを何度もいったり、聞いたりする」…65歳以上で、こうした物忘れが起こるようになったら、「軽度認知障害(MCI)」の疑いがあります。

MCIとは、認知機能が衰えているものの、日常生活は正常に保たれている状態のこと。将来的にアルツハイマー病をはじめとする認知症になる危険が大きく、いわば認知症の前段階です。

ひとたび本格的な認知症を発症したら改善の手立ては、今のところありません。そのため、MCIの段階で認知機能の衰えに歯止めをかけ、認知症の発症を防ぐことが求められます。

「合谷」「手三里」が脳の血流アップの2大ツボ

認知症の発症予防を期待できる方法はいくつかありますが、近年は「ツボ刺激」にも予防作用があると考えられています。

ツボ(経穴)とは、体内の臓腑(いわゆる臓器のこと)とつながっている急所のこと。そこを刺激すると、経絡(生命活動に不可欠なエネルギーや物質の通り道)を行き来する「気(東洋医学でいう生命エネルギー)」、「血(血液など)」、「津液(体内の水液)」の流れが円滑になり、体に備わった自然治癒力が改善して、脳や臓腑の働きが元気になります。

特に、脳の血流アップ作用が高い、脳活2大ツボとして注目されているのが、「合谷」と「手三里」です。
本来、これらのツボには低周波治療器などを用いて皮膚の上から電気刺激をしますが、家庭にそうした装置がない場合の簡易法として、手で行うやり方をすすめています。

脳活2大ツボの位置

brain-pot.jpg合谷は、手の人さし指と親指の骨が合流する所からやや人さし指寄りにあります。手三里は、腕のひじを曲げたときにできるシワから指3本分くらい手側に位置します。

2大ツボ刺激のやり方(左腕・左手のツボの場合)

pot-stimulus.jpg合谷、手三里の両方ともですが、右手の親指を当て、適度な圧力でリズミカルにツボを刺激していきます。
1回3分ほど、1日4回を目安に行ってください。午前中に2回、午後に2回といったように間隔をあけて行いましょう。やりすぎは禁物です。

MCIの疑いのある高齢者の認知機能が向上

脳活2大ツボを刺激すると、脳の血流が増えたり、脳のリラックス脳波(α波)が増えたりして、認知機能の改善に役立つことが基礎研究で確認されています。

そこで、私たちは、MCIが疑われる49人の高齢者を対象に、❶生活指導(ウォーキング・脳トレ・日記)のみを行うグループ、❷生活指導に加えツボ療法(自宅で毎日、合谷と手三里へ低周波治療器の一種であるTENS〈経皮的神経電気刺激〉をやってもらい、週1度、全身調整の鍼治療を行う)を併用するグループに分けて、試験を行いました。

その中で、MMSE(簡易版の認知力検査)やアクティグラフ(睡眠・覚醒状態を測定する機器)などで認知機能の変化を調べる研究も行いました。
その結果、3カ月後に、❷のグループではMMSEの点数が有意に上がって認知機能の改善が認められ、アクティグラフで睡眠状態の改善が認められたのです。認知機能の維持には質の高い睡眠が欠かせないので、睡眠状態の改善は重要な意味を持ちます。

ツボ刺激で脳の血流がアップ

brain-blood.jpg合谷と手三里のツボを鍼通電療法(1ヘルツを10分)で刺激すると、脳の血流が増えることが研究で確認されています。

ツボ刺激で認知機能が改善

cognitive-function.jpg軽度認知障害が疑われる49人の高齢者を生活指導のみを行うグループと、生活指導に加え合谷と手三里へのツボ療法を併用するグループに分けて比較した結果、ツボ療法を併用したグループは認知機能を調べるテスト(MMSE)の点数が優位に改善しました。

ほかの試験でも、認知機能の改善は確認されています。その試験では、京都市内のある病院に入院している70歳以上の患者さん93人に協力してもらい、ツボを刺激する鍼治療で認知機能がどれくらい改善するのかを調べました。

具体的には、93人を、❶運動療法のみ行うグループ、❷運動療法と合谷・手三里へのツボ刺激(2ヘルツの電流を15分間経皮的に通電するツボ療法)を併用するグループに分けました。

4週間後と8週間後に認知機能を比較したのです(長谷川式簡易スケールを使用)。その結果、ツボ刺激を併用したグループのほうが認知機能はアップしており、ツボ刺激が認知症の予防に作用する可能性が示されました。しかも、ツボ刺激によって脳の血流量や酸素量が増え、リラックス脳波の増加も認められたのです。

もちろん、誰にも同じような変化が現れるわけではありません。脳にいい食事や運動とともに、試してみてください。


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記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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