読者のみなさんは、最近おからを食べましたか。

いうまでもありませんが、おからとは大豆を煮てすりつぶした汁から、豆乳を絞ったときに出る絞りカスのこと。豆腐や豆乳と同様に大豆食品なので健康によく、しかも安価で手に入る魅力的な食品ですが、食卓に上る機会が減りつつありました。

ところが最近、おからが「ドライおから」として、特にダイエットをしている人に大人気になっているのです。

ドライおからとは、生のおからをフライパンでいって、水分を飛ばして乾燥させたものです。
ダイエットをするときは、食事量を腹八分めにして揚げ物や甘い物を我慢するなど、食事制限に取り組むことが多くなります。しかし、食事を我慢するのがつらくて断念したり、そのストレスによる反動でつい食べ過ぎたりして、ダイエットに失敗しがちです。

ドライおからが人気の理由は、ごはんやおかずに少しかけるだけ混ぜるだけで、こういった食事制限の失敗を防いで、ダイエットを成功へと導いてくれるところにあります。

このドライおからのダイエット作用は、テレビでも特集されたことがあります。ある健康番組では、芸能人がドライおからダイエットに挑戦したところ、たった２週間でウエストが約７センチ、体重が３キロ減って大反響となったのです。

このドライおからのダイエット作用は、いったいどこからくるのでしょうか。最初にあげられるのが、豊富な食物繊維の働きです。

白澤卓二先生（白澤抗加齢医学研究所所長、お茶の水健康長寿クリニック院長、米国ミシガン大学医学部神経学客員教授）にくわしいお話を聞きました。

「おからはもともと食物繊維が多い食材ですが、乾燥させることで水分量が減って食物繊維量の比率が増えます。その量はゴボウの10倍、レタスの50倍にもなり、１日にたった大さじ一杯とるだけで現代人の食物繊維の不足量が補えるのです」

食物繊維の摂取が多くなると、まず便秘が改善していくそう。

「ドライおからには、水に溶けない不溶性食物繊維が多く含まれており、腸内の水分を吸収して便のカサを増やし、大腸の壁を刺激して便通を促す作用があります。すると、たまっていた便が出て、おなかからスッキリしていくのです」

便秘の人は、腸内で有害物質が発生したり、不要なものの排出が滞ったりして、代謝（体内の化学反応）が悪くなるといわれています。その結果、太りやすい体質になるのです。実際に、腸内環境と肥満の因果関係を指摘する専門家も増えており、ダイエットをする人は便秘を解消して腸内環境を整えることが重要だといわれます。

「現代の女性は、腸の動きが弱くなって便秘になる人がおおぜいいます。また、ダイエット中は食事量が減って便秘になりがちなので、便のカサを増すドライおからは、ダイエット中の中高年女性にピッタリな食品です」（白澤先生）

このようにドライおからは、さまざまな点からダイエットに役立つ食品なのです。

「さらに、ドライおからに含まれている大豆たんぱくや大豆サポニン（大豆のえぐみとなる成分）もダイエットに役立ちます。大豆たんぱくと大豆サポニンは脂質代謝を改善し、脂肪がたまるのを防ぎます」（白澤先生）

大豆たんぱくや大豆サポニンのダイエット作用は、研究でも確かめられているそうです。

「武庫川女子大学国際健康開発研究所の家森幸男所長は39人の男女を、大豆たんぱくと大豆サポニンを含む食品を食べるグループ、大豆成分を含まない食品を食べるグループに分け、８週間の試験を行いました。その結果、大豆成分を食べたグループは、摂取前よりも内臓脂肪面積や体重の減少が認められたのです」（白澤先生）

このようにドライおからは、さまざま点からダイエットに役立つ食品なのです。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/©カラダネ