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【見た目が若返る食事法】魚油のEPAがおすすめ。イワシ缶やサバ缶でも簡単にとれる

解説 愛媛大学附属病院抗加齢・予防医療センター長
伊賀瀬道也

見た目の若さは、実は体内の血管年齢の若さと深くかかわっています。
つまり、見た目を若返らせるためには、血管の若さを保つことが重要なのです。

愛媛大学大学院医学系研究科の特任教授で、抗加齢・予防医療センターのセンター長でもある伊賀瀬道也先生は、食事の重要性を指摘しています。くわしく教えていただきました。

腹八分食を心がける。甘いお菓子やお酒のとりすぎも注意

見た目を若返らせるには、血管年齢の若返りが重要。そのためには、毎日の食事で「何を食べるか」は大切です。

食事でとった悪玉(LDL)コレステロールは、血液中に増えすぎると血管壁に入り込み、それが固まってこぶのように膨らんでいきます。すると、血管の内腔が狭くなって血流が悪くなり、動脈硬化(血管の老化)を引き起こします。また、血液中に中性脂肪が増えすぎた場合も、悪玉コレステロールが酸化するため、動脈硬化をいっそう進めてしまいます。

こうしたことを防ぐため、私が診療をする抗加齢・予防医療センターでは、まずは基本的なこととして、「腹八分食を心がける」「栄養バランスの整った食事をとる」「塩分や動物性脂肪のとりすぎに注意する」といった指導をして、守ってもらいます。
また、糖質やアルコールをとりすぎると中性脂肪が増えるため、甘いお菓子やお酒のとりすぎにも注意を払わなければいけません。

血管の若返り作用が明らかになった食品とは

上記の基本的なことを守ったうえで、次は具体的に何を食べたらいいかを解説しましょう。

ニンニクがおすすめ

私は、当院の抗加齢ドックを受診した人や外来の患者さんたちに、血管を若返らせる働きが研究で明らかになっている食品をとるようにすすめています。例えば、世界的に有名な『サーキュレーション』という循環器系の専門雑誌では、ニンニクに血管の弾力性を高める働きがあることが発表されています。

コラム①血管の若返りに役立つと論文で紹介された食品
まずは、ニンニクから。ニンニクパウダーを1日300ミリグラムとるグループととらないグループに分け、約2年間の追跡調査を行ったそうです。その結果、ニンニクをとっていたグループは、とっていないグループに比べて血管の弾力性が大幅に高まっていたと報告されています。
ほかにもクルミや大豆には、悪玉コレステロールを減らし、血管の弾力性を高める作用があるとわかっており、世界的に著名な医学雑誌に発表されています。

イワシやサンマ、アジ、サバ、マグロなど

血管を若返らせる食品の中でも、私が確信を持って患者さんたちにすすめているのが、イワシやサンマ、アジ、マグロ、サバなどの青背の魚です。その理由は、青魚には魚油のEPA(エイコサペンタエン酸)という不飽和脂肪酸が豊富に含まれているからです。

コラム②不飽和脂肪酸とは?
油はすべて脂肪酸という分子からできており、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大別できます。飽和脂肪酸はバターやラードなどに多く、中性脂肪やコレステロールを増やす作用があります。一方、不飽和脂肪酸は植物や魚類に多く含まれ、コレステロールの善玉は減らさずに悪玉だけを減らす働きがあります。

見た目年齢が32歳分、若返った人も

魚油のEPAがすすめられる理由

不飽和脂肪酸の中でも、オメガ3系の不飽和脂肪酸である魚油のEPAには、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らして、善玉コレステロールを増やす働きがあります。EPAは医薬品として認可されており、ペルー産のカタクチイワシから抽出されたイワシ油のEPAが、高コレステロールや閉塞性動脈硬化症の治療に処方されています。

コラム③魚油の働きを調べた試験
血液中のコレステロール値を下げる薬には「スタチン」があります。これは、主に肝臓における悪玉コレステロールの合成を抑える薬です。
世界的に有名な『ランセット』という医学雑誌に発表された日本人を対象とした臨床試験では、約2万人の人たちを、スタチンのみ摂取するグループと、スタチンとEPAを摂取するグループに分け、数年間の追跡調査を行いました。その結果、後者のグループは、前者のグループに比べて脂質異常症の発症リスクが約20%低くなっていたといいます。

実際、私の患者さんにもEPAの医薬品を摂取してもらうこともありますが、血管年齢が10歳も若返った人がいました。
また、EPAをとった人は、肌の弾力や美しさを保つ「皮膚内部のコラーゲン」の老化が抑えられるという論文も発表されています。また、私の患者さんの中には、EPAを毎日とったことで顔のシミが消えて、見た目年齢が32歳も若返った人もいました。

イワシ3匹分、1日180ミリグラムが必要

見た目年齢の若返りのためにEPAをとるなら、1日当たりイワシ3匹分程度の量(1800ミリグラム)のEPAをとるのがベスト。青魚は焼いて調理すると魚油が流れ出て失われます。刺し身にして生で食べたり、煮る調理法で煮汁もとったりすれば、EPAを余すことなくとれるでしょう。

とはいえ、魚を毎日調理して食べつづけるのは難しい人もいるはず。そこで、イワシ缶やサバ缶などといった缶詰も上手に利用して、1日1回は青魚をとる習慣をつけるようにしてください。毎日食べ続ければ、きっと肌に変化が現れるはずです。

AGEを増やさない食事が重要

食事でもう一つ大事なことは、老化物質ともいえるAGE(日本語で「終末糖化産物」という)を体内に増やさないこと。そのためには、食べる順番が重要です。

私たちは、血管年齢と見た目年齢の老化に大きくかかわる原因として、AGEに注目しています。
AGEは、ブドウ糖がコラーゲンなどのたんぱく質と結合してできる最終形の物質で、いわば糖質のなれの果てです。最近の研究によれば、動脈硬化が進んで内臓脂肪や血液中の中性脂肪が増えるほど、AGEも増えやすいことが報告されています。

食べる順番は、ベジタブルファーストがおすすめ

AGEは、血液中で過剰になった糖とコラーゲンが結びついてできる物質のため、血糖値が高くなると発生しやすくなります。とりわけ、食後に血糖値が急上昇すると、その後も高血糖の状態が続くようになり、体内にAGEが激増してしまうのです。

食後の血糖値の急上昇を抑え、AGEの発生を防ぐためには「ベジタブルファースト」という食事法が最適です。

ベジタブルファーストのベジタブルは野菜、ファーストは最初という意味。
つまり、食事の最初に食物繊維の豊富な野菜や海藻、キノコなどを食べます。その次に肉や魚などのおかずを、そして最後に糖質の多いご飯やパン、麺類などの主食をとるというものです。
 
食事の最初に食物繊維の豊富な野菜や海藻を食べることで、糖が腸から吸収されるのが遅くなり、食後血糖値の急上昇が抑えられ、一日じゅう血糖値を低く安定させることができるのです。その結果、体内で発生するAGEの量を減らすことができるでしょう。

AGEを増やさないために、焼く揚げるより、蒸す煮るがおすすめ

さらに、AGEはほとんどの食品に含まれています(程度の差はあります)。そこで、AGEを増やさないためには、まず、体内に取り込まれるAGEを極力減らすことも重要となります。

AGEが特に多いのは、食べ物が焦げて茶色になった部分。食材を油で揚げたり、火であぶったりして調理を行うと、食材のたんぱく質がメイラード反応(褐色物質を生み出す反応)を起こし、AGEが大量に発生します。

一例をあげると、フランクフルトソーセージを焼いたものは、AGEが多い食品の筆頭です。フランクフルトソーセージは加工の段階で、すでに生肉よりAGEの量が多くなっています。それを焼いて焦げ目をつけるため、AGEの量が大幅に増えてしまうのです。
そのため、焼く・揚げるといった調理法よりも、蒸す・煮る・炊くといった調理法のほうがAGEの発生を抑えることができるはずです。
それが血管の老化を防ぎ、ひいてはシミの予防、見た目の若返りにも役立つと考えられます。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© カラダネ © Fotolia

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