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【脳動脈瘤の手術】5ミリ以上なら推奨。コイル塞栓術なら負担が軽い

解説 山口クリニック院長 脳神経外科医
山口三千夫

クモ膜下出血の予防や再発防止には、手術が有効だといいます。クモ膜下出血の治療で行われる手術について、山口クリニック院長で脳神経外科医の山口三千夫先生にくわしいお話を聞きました。

もちろん、脳卒中の心配がある人は、すぐに脳神経外科や神経内科で診てもらうことが大切です。

カラダネでは、脳卒中の発症と再発の防ぎ方、もしものときの対処法や治療法など、知りたいことがすぐに見つかる記事を多数用意しています。関連記事からご覧ください。

脳動脈瘤は5ミリ以下なら年間破裂率が1%

脳ドックなどの検査を受ければ、破裂するとクモ膜下出血を引き起こす「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」があるかないかがわかります。では、検査で脳動脈瘤が見つかった場合、どうしたらいいのでしょうか。

脳動脈瘤は必ずしも破裂するものではないので、手術が必要になるとは限りません。日本脳ドック学会のガイドラインでは「脳動脈瘤の最大径が5ミリ前後より大きく」「年齢がほぼ70歳以下」「その他の条件が手術の妨げにならない場合」は手術的治療がすすめられる、とされています。

しかし、脳動脈瘤が5ミリ以下なら破裂しないかといえば、それはわかりません。5ミリ程度の動脈瘤の年間破裂率は約1%と少ないのですが、自分が100人のうちの99人になるか、1人になるかはわからないのです。

では、手術をしたほうがいいかというと、手術には後遺症というリスクが少なからずあります。脳動脈瘤が小さければ、しばらく様子を見るという選択もあります。

脳動脈瘤対策の手術は2種類。体の負担が少ない「コイル塞栓術」が主流

それでは、クモ膜下出血の手術にはどのような種類があるのでしょうか。

脳ドックなどで発見された脳動脈瘤を予防として除去するときや、クモ膜下出血を発症したあとに患者さんの1〜2割に起こるという脳動脈瘤の再破裂を防ぐ治療として、現在、2つの手術法のどちらかが選択されています。

1つは「クリッピング術」。これは手術で頭蓋骨(頭の骨)の一部を外し、破裂した脳動脈瘤の根元に専用のクリップをかけて破裂や再破裂を防ぐ手術法です。もう1つは「コイル塞栓術」で、足のつけ根の動脈からカテーテルという細い管を入れ、脳動脈瘤の内部に細いコイルをつめて血液の流入を防ぐ手術法です。

クリッピング術は再発を確実に防ぐことができますが、頭蓋骨を開ける開頭手術なので、患者さんの体への負担が大きいのが難点です。コイル塞栓術は体への負担は少ないのですが、最近、急速に進歩してきた治療法なので長期的な手術成績が明らかではないなどの問題もあります。

最近はコイル塞栓術による手術が増えていて、予防としての第一選択はより安全なコイル塞栓術となり、この術式が難しいときはクリッピング術になることが多いようです。

なお、こうした治療のあと正常圧水頭症(脳脊髄液が異常にたまる病気)などの合併症が起こることもあります。手術後は生活習慣を見直すとともに、合併症にも十分に注意してください。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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