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家族に認知症の疑いがある。病院へはどのように連れて行くべき?【認知症Q&A⑥】

解説 慶應義塾大学病院講師・日本認知症学会専門医
伊東大介

最近、どうも家族の物忘れが激しい……そうした場合、病院に連れて行く場合はどうしたらいいのか、不安を覚えている方も多いと思います。
いきなり、家族を病院へ連れて行こうにも「どうやって連れ出そうか」と悩むはずです。

こうした悩みについて、認知症専門医の伊東大介先生に話をお聞きしました。

「脳の健康診断を受けましょう」といって連れ出そう

家族に物忘れがあったり、注意力・集中力が衰えたりしていても、本人はなかなかそれを認めようとしないものです。
そのため、「認知症が心配だから病院に行きましょう」「最近、ようすが変だからお医者さんに診てもらいましょう」といって家族を病院に連れ出そうとしても、本人が嫌がったり受診を拒否したりするケースが少なくありません。

それに、このように病人扱いするような言葉で連れ出そうとすると、自尊心を傷つけてしまい、なおさら病院から足が遠のいてしまうことも懸念されます。

病院の受診をすすめるときは、まず、物忘れや認知症にはふれず、「脳の健康診断(脳ドック)を受けてみましょう」といって受診を促すことが有効です。
また、かかりつけ医がいる場合は、医師と相談してあらかじめ物忘れ外来の紹介状を書いてもらい、本人に受診を促すとうまくいくことがあります。

認知症の進行はゆっくり。半年をめどに受診を促そう

早期に病院で治療を始めれば、認知症の進行を遅らせたり、周辺症状を改善させたりできますが、本人がどうしても拒否しているようであれば、受診を急ぐ必要はありません。なぜなら、認知症は多くの場合、進行がゆるやかな病気だからです。
半年をめどに、本人の機嫌がいいときや、落ち着いて話に応じてくれそうなときを見計らって、受診を促すようにしてください。

表向きは「自分はまだまだ大丈夫」と思っている人でも、高齢だったり認知症が進行したりしていると、内心では自分の健康状態について「どこかおかしい」と感じているものです。そのため、なんらかのタイミングで「頭が痛い」「食欲がない」などと不調を訴えてくることがあります。そうしたタイミングを利用して、「心配だから、一度、先生に診てもらいましょう」と提案して、物忘れ外来や精神科、神経内科などに連れていくといいでしょう。

ただし、脳による脳血管性認知症の場合、急激に症状が進行するので、早期に病院を受診する必要があります。物忘れが急激に進行したように見えたり、めまいやしびれが併発したりしている場合は、速やかに救急車を呼んで病院を受診するようにしてください。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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