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【突然死の予防法】心臓のポンプ作用の衰えを「血管ストレッチ」で改善しよう

解説 すぎおかクリニック院長
杉岡充爾

心不全になって心臓の機能が低下した人は、心臓のポンプ作用が衰えているため、全身の血流が悪くなっています。

血流が悪くなれば、血管壁の付近にコレステロールや脂肪などがたまりやすくなり、血管壁にプラーク(こぶ)ができ、血液の通り道が狭くなってしまいます。つまり、動脈硬化(血管の老化)が起こりやすくなるのです。

動脈硬化が進行してプラークが破れると、そこに血栓(血の塊)ができてしまいます。血栓によって血管が詰まってしまうと、突然死を招く心筋や脳梗塞を引き起こす危険が大きくなります。

そうならないためには、血管を強めるとともに、全身の血流アップを心がける必要があります。そのためにおすすめなのが、ふくらはぎの運動です。
心不全について悩みをお持ちの方は、循環器科などの専門医の治療とあわせて、参考にしてみてください。



「第二の心臓」であるふくらはぎの筋肉を刺激すれば全身の血流がよくなる!?

ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれています。というのも、ふくらはぎの筋肉は、まるで乳搾りをするように伸縮することで、静脈に圧力をかけて血液を心臓へ押し戻すポンプの役割を果たしているのです。

下半身の血流は、全身の約70%を占めるといわれます。しかも心臓から遠いため、なかなか心臓のパワーが下半身まで到達しづらくなっています。その心臓のポンプ機能を補ってくれるのが、ふくらはぎなのです。

つまり、ふくらはぎの筋肉を刺激すれば、そのポンプ機能がアップするため下半身の血流がよくなり、それが全身の血流をよくすることにつながります。血流がよくなれば、血管に余分なコレステロールや脂肪もたまりづらくなるでしょう。

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全身に行きわたった血液は静脈を通って心臓に戻るが、静脈の流れには勢いがないので、血液を逆戻りさせないための弁が備わっている。
ふくらはぎの筋肉が動くと、この弁が開いたり閉じたりして、血液を上部に押し上げていく。
こうした筋肉の弁の働きは乳搾りの動きに似ていることから「ミルキングアクション」と呼ばれる。

また、運動には、血管を拡張させ柔軟性を保つ物質「NO(一酸化窒素)」を増やす作用もあります。

血管は三層構造になっており、最も内側にある薄い膜(内膜)は、血管内皮細胞という細胞で構成されています。血管内皮細胞は、血管の収縮・拡張を調節する役割を持つ、いわば血管の司令塔です。運動をして血管に刺激を与えると、この血管内皮細胞からNOが分泌されやすくなります。

さらにNOには、血栓を作りにくくして血液をサラサラにする働きや血管の炎症を抑える作用、抗酸化作用など、血管を若く保つために役立つさまざまな働きがあります。

NOの分泌量は30歳くらいを境に低下していきます。血管の柔軟性を保つNOを増やし全身の血流をアップするため、ぜひふくらはぎを動かす運動を習慣にしてください。

ふくらはぎを動かして血管を刺激する「血管ストレッチ」のやり方

では、ふくらはぎを動かして血管を刺激する「血管ストレッチ」のやり方を紹介しましょう。

❶ふくらはぎストレッチ
ふくらはぎの筋肉をほぐすと同時に、血管の緊張を和らげる運動です。

両足を前後に開いて立ち、前に出した足のひざを曲げます。そして、後ろの足のかかとを地面につけたまま、上半身を前に倒します。この運動を行えば、後ろの足のふくらはぎが伸びているのを感じるでしょう(画像参照)。
image.jpgふくらはぎを十分に伸ばしたら、次に前に出す足を逆にして同様に行い、反対側のふくらはぎも十分に伸ばします。

❷かかと上げ下げ運動
ふくらはぎの筋肉を鍛える運動です。

足を肩幅くらいに開いて立ち、1秒かけてかかとを上げたり、下げたりする動作を30回くり返します。かかとを下げたとき、かかとが床につかないようにするのがポイント。可能なら、片足立ちの状態で、左右のかかとの上げ下げを交互に行うのもいいでしょう(画像参照)
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最初から30回続けられない人は無理をせず、徐々に回数を増やしていくようにしましょう。支えがないとからだのバランスが取れない人は、壁などに手を当てて行ってもかまいません。
こうしたふくらはぎの運動を毎日行えば、血管を健康に保つのに役立つため、突然死の予防にもつながると考えられます。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/©カラダネ © Fotolia

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