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橋本病など甲状腺機能低下症は「入浴法」を変えよ。だるさや冷え、むくみが改善する人も

解説(一社)HSPプロジェクト研究所 所長・医学博士
伊藤要子

甲状腺機能低下症で起こる橋本病や体の不調にお悩みの方に、ぜひ試していただきたい入浴法があります。
それが、ヒートショックプロテイン(HSP)を増やす「マイルド加温療法」です。

今回の記事では、「マイルド加温療法」のやり方など、HSPプロジェクト研究所 所長・医学博士の伊藤要子先生に話をお聞きしました。

甲状腺の病気の人は必ず専門病院で治療を受けることが何より肝心です。そして、自分でもできること(HSP入浴法)は実践しましょう。

炎症やストレスを抑え橋本病の治療に貢献

ヒートショックプロテイン(HSP)とは、体をストレスから守るたんぱく質の一種。マイルド加温療法を行うと体内でHSPが増え、ストレスを受けて傷ついた細胞のたんぱく質を修復し、体を元気にしてくれる働きがあります。

甲状腺ホルモンの働きは、HSPの働きとよく似ています。甲状腺ホルモンもマイルド加温療法で増加するHSPも、代謝(体内で行われる化学反応)を活発にし、体を元気にします。そこで、甲状腺機能低下症の原因である甲状腺ホルモンの減少を、マイルド加温療法で体を温める作用とそれによって増加するHSPの働きで補おうというわけです。

ヒートショックプロテイン(HSP)の働き

甲状腺機能低下症の約80%を占める橋本病は、「慢性甲状腺炎」ともいわれるように、甲状腺に慢性的に炎症が起こって、甲状腺機能が低下する病気です。

炎症反応は細菌やウイルスから体を守るために必要な反応ですが、この炎症反応が暴走して過剰に反応したり、だらだらと炎症が継続したりすると、免疫が自分自身を誤って攻撃する自己免疫疾患に陥ります。橋本病では、免疫細胞が自分の甲状腺の細胞を敵として攻撃するので甲状腺ホルモンの産生が減少します。

また、甲状腺機能低下症は、炎症・免疫システムの異常に加え、病気そのものの遺伝ではないが橋本病になりやすい体質(遺伝要因)の遺伝が原因といわれています。

遺伝要因としては、年齢・性別・環境等の要因がありますが、最大の環境要因はストレスです。過剰なストレスによって自律神経(意志とは無関係に内臓や血管の働きを支配する神経)が乱れ、免疫力が低下するため、自己免疫の異常が生じやすい環境になります。

HSPには、炎症を起こす因子の暴走を止める抗炎症作用を発揮し、甲状腺の慢性的な炎症である橋本病の原因治療に貢献すると考えられています。さらに、ストレスから体を守る強力な働きもあるため、環境変化による免疫力の低下を防ぐと考えられます。

HSPを手軽に増やせる入浴法

マイルド加温療法は、加温装置を利用してHSPを増加させる治療法で、医療機関で使われて甲状腺ガンをはじめ、多くのガン治療にガン免疫力を増強することから、化学療法との併用(または単独)で利用されています。さらに、シェーグレンなどの自己免疫疾患にも適用しています。

甲状腺機能低下症に対して、家庭で手軽にHSPを増やすことのできるマイルド加温療法としてHSP入浴法を紹介します。

HSP入浴法は、4042度Cの熱めの湯に、ある程度長く浸かる40度Cなら20分、41度Cなら15分、42度Cなら10分が目安)ことと、入浴後の保温(体を冷やさないで温かさを保つ)が特徴です

この特徴を生かして、入浴中、保温中に運動を取り入れた「運動するHSP入浴法」も好評です。(著者紹介に掲載しているホームページを参照)

入浴法-1.jpg

●HSP入浴法の注意点
・大量の汗が出るので水分補給を忘れずに
・決して無理をしない
・高齢者、体力に自信がない、不安な人は「半身浴」がおすすめ
・分割入浴でもよい(15分入浴:5分→休み→8分→休み→3分など)

甲状腺機能障害で起こる症状の緩和に役立つ

HSP入浴法で体を温め、HSPを増加させれば、甲状腺機能低下症の根本原因の改善に加え、甲状腺機能障害で起こる次のような症状の軽減にも役立つと思われます。

❶だるい、疲れやすい、元気が出ない
HSP入浴法でHSPを増加させると、筋肉の中にあり疲労を招く酵素CPKが有意に低下するため、疲労が軽減します。

❷寒がりになる
HSP入浴法を毎日1週間ほど続けると、低体温が改善するとともに、体の芯まで温まるため、冷えが解消されます。また、入浴による静水圧作用(お湯の水圧が体に与える影響のこと)で内臓が活発に働くようになり、血行がよくなり体温も上がります。

❸太りやすくなる
甲状腺機能低下症では、代謝の低下による消費カロリーの低下、脂肪の燃焼の低下により体重が増加します。HSP入浴法でHSPが増えれば代謝が盛んになって過剰な脂肪が燃焼され、中性脂肪が有意に低下します。

❹月経・妊娠などの異常
HSP入浴法で基礎体温を改善することにより、月経・妊娠に対してもよい働きが得られます。

❺顔や手がむくむ
入浴の静水圧作用で、リンパの流れがよくなり、浮腫(むくみ)の改善によい働きが得られます。

こうした甲状腺機能低下症の症状は、基礎体温が36.0度C以下のいわゆる低体温の人に起こりやすいため、体を温めてHSPを増加させるHSP入浴法がおすすめです。

甲状腺機能低下症の症状が認められたら、病医院を受診して医師の指示に従うとともに、自分自身の治癒力アップを期待して、家庭で簡単に自分でできるHSP入浴法を活用してください。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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