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【専門医解説】PCやスマホが「アルツハイマー予防」に役立つ?SNS利用がおすすめ

解説 阿部メディカルクリニック院長
阿部 聡

パソコン(PC)やスマートフォン(スマホ)の活用が、アルツハイマー病など認知症の予防に役立つのではないか??
そうした可能性を示唆する研究結果があります。SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービスのこと。フェイスブックやLINEなど)の活用もアルツハイマー病を予防する可能性を秘めています。

早速、パソコンやスマホの操作、SNSの活用脳へもたらす働きについて、見ていきましょう。
この記事がもしみなさんのお役に立ったなら、SNSで広めていただけるとうれしいです。

もちろん、認知症の心配がある人は、まずは必ず脳神経外科や心療内科、精神科、神経内科などを受診してください。

記憶を担う脳の「海馬」の大きさが、パソコンを使うほど保たれていた

認知症の予防策として、近年、にわかに注目されているのがパソコンの利用です。
パソコンの操作には、注意力・計画力・記憶力が必要とされるほか、キーボードやマウスを使うさいに「第2の脳」といわれる手指をよく動かすため、脳の衰えを防ぐのに役立つと考えられるのです。

最近の研究では、パソコンを使う時間が長い人は、短い人に比べて記憶中枢の「海馬」の容積が大きいと報告されています。
米国のオレゴン健康科学大学の研究グループは、健康な65歳以上の男女151人を対象に、1カ月間、パソコンの使用時間を記録しながら定期的に脳をMRI(磁気共鳴断層撮影装置)で撮影しました。そして、 パソコンの使用時間と海馬や大脳皮質(大脳の表面を覆う層で、前頭葉・前頂葉・後頭葉・側頭葉に分けられる)といった脳の主要部位の状態について分析したそうです。

その結果、パソコンを使う時間が1日1時間長くなるほど、海馬の容積が0.025%大きくなっていたそうです。
アルツハイマー病でまっ先に萎縮(いしゅく)する部位は、脳の海馬といわれています。海馬は、端的にいうと脳内で記憶を担う部位です。
そのことから、海馬の容積が大きく保たれたということは、物忘れやアルツハイマー病の予防に役立つ可能性があるのではないでしょうか。

SNSの利用で記憶力など認知機能の衰えが防げた

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また、SNSを利用する目的でパソコンやスマホを使う人もいるでしょう。
例えばフェイスブックは、自分の日々の出来事や思いを書いて友人に公開したり、友人の文章にコメントをつけたりして、情報交換や会話を楽しむことができます。
こうしたSNSを利用すれば、外出が困難な人でも、人づきあいを増やして脳の衰えを防ぐことにも役立つという利点があります。

米国アリゾナ州立大学の研究グループは、SNSの利用が認知機能に及ぼす作用について検証しています。
認知機能とは、簡単にいうと物事を正しく理解して適切に遂行する機能のこと。記憶力や言語能力、判断力、計算力などを含みます。

60~91歳でパソコン操作をする健康な高齢者14人を「SMSに取り組むグループ」と「パソコンで日記をつけるグループ」に分け、前者にはグループ内でSNSの友人を作って1日1回以上は意見を投稿するよう指示し、後者には主に日記をつけるだけにとどめてもらいました。
そして8週間後に認知機能のテストをしたところ、SMSに取り組んだグループでは認知機能が25%も向上したのです。
 
以上のことから、パソコンを使うことは認知機能の衰えを防ぐのに役立つだけでなく、友達との交流や仲間づくりにも使えます。パソコンを使うことは、認知症の予防策になる可能性があります。
パソコン以上に身近になりつつあるスマホも、SNSは十分に利用できるので、おすすめです。

もちろん、パソコンやスマホを使えばアルツハイマー病などの認知症にならないわけではありません。アルツハイマー病など認知症は規則正しい食生活と運動が不可欠。そのうえで、パソコンやスマホを役立ててみてはいかがでしょうか。
また、パソコンやスマホの使いすぎ、頼りすぎはすすめられません。何事もほどほどが大切です。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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