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【専門医解説】アルツハイマー予防の簡単運動は「速歩」。歩幅60センチ以上が目安

解説 阿部メディカルクリニック院長
阿部聡

普段、健康のためにウォーキングをしている人は多いのではないでしょうか。
実は、最も多い認知症であるアルツハイマー病の予防には運動が大切だそうです。特にウォーキングはとても高い作用があるといいます

とはいえ、ただ歩くだけでは作用を十分には得られないのでご注意を。
この記事では、今すぐに始められる、アルツハイマー病予防にオススメの歩き方を紹介します。阿部メディカルクリニックの阿部聡先生に話を聞きました。

歩きが遅いとアルツハイマー病のリスクが高まる?

アルツハイマー病の危険因子には運動不足が深くかかわっています。そこで、アルツハイマー病をはじめとする認知症の予防のためにはよく歩いてください。とはいえ、ただ歩くだけではアルツハイマー病を防ぐ作用が十分得られないことが研究でわかっています。

実は、「歩く速度が遅い人は、運動機能に関連する脳の領域で、アルツハイマー病の原因とされる異常なシミ(アミロイドβ)が多い」とわかっているのです。
健康な中高年の歩行速度は、おおむね秒速1.3メートルとされます。例えば誰かと話しながらゆっくり歩いていても、秒速1メートル(1秒間に1メートルを進む速さ)を切ることがないといわれます。

反対に、秒速1メートルを切ったら要注意で、仮に歩く距離を延ばしてもアミロイドβが増えて、アルツハイマー病やその前段階である軽度認知障害(MCI)に進みやすくなってしまうと考えられます。

横断歩道チェックで歩幅や速さを調べよう

歩行速度を知るためにおすすめなのが、横断歩道チェックです。
一般的な横断歩道の白線の太さと、白線と白線の間は約45センチ。横断歩道で最も手前の白線の直前をスタートとして、6本めの白線の直前までの歩行時間をストップウォッチなどで調べてみてください。

手前の白線の直前から6本めの白線の手前までの間は、4.5メートル。正確にいえば、4秒半の猶予がありますが、この距離であれば4秒で渡り切らなければ歩行速度が遅いと考えられ、すぐに対処してほしいものです。

速度の調べ方.jpg
歩行速度を速めるには、歩幅を広くしてください。東京都健康長寿医療センターなどの研究なども踏まえて考えると、歩幅を60センチ以上にして歩けば、歩行速度が自然と速まり、ひいては認知症予防作用が十分に得られると考えています。

歩幅もまた、先に述べた横断歩道チェックで調べられます。
歩幅は、一方の足のかかとから、もう一方の足のかかとまでの距離をいいます。つまり、横断歩道の白線をしっかりと越えた距離が65センチと考えられます。だから、できるだけ白線をまたぐような歩幅を心がければ歩幅60センチ以上をキープできるのではないでしょうか。

歩幅の調べ方.jpg

もちろん、速歩だけでアルツハイマー病などの認知症が確実に防げるわけではありません。アルツハイマーの予防には、運動に加え適度な食事も重要であることを忘れないでください。
また、物忘れなど気になる症状がある人は、専門医に必ず診てもらってください。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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