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モヤモヤ血管チェック!あなたの慢性痛はモヤモヤ血管が原因?なぜできる?解消法も全網羅

解説 奥野クリニック院長
奥野祐次

ひざ痛をはじめとした、長引く痛みの重大原因として患部に「モヤモヤ血管(新生血管)」ができている可能性があります。

モヤモヤ血管とは何か?については下記の記事を参照ください。

やはり気になるのは、自分のひざ痛や慢性痛などの痛みにはモヤモヤ血管があるのかどうか?という点でしょう。
モヤモヤ血管とは?の記事から引き続き、モヤモヤ血管の研究をされている奥野クリニック院長の奥野祐次先生に話を聞きました。


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ガンの治療中に、痛みを招くモヤモヤ血管を見つけた

私が、モヤモヤ血管を発見したのは今から約10年前のこと。

当時、私はガン専門医でカテーテルという細長い管を動脈に通して治療するカテーテル治療に携わっていました。
これは、ガン細胞に栄養を送っている血管までカテーテルを到達させ、微小の粒子を流して血管をつまらせる治療法です。この治療はガン細胞を死滅へと導くのが目的です。

ある日、五十肩を併発している乳ガンの患者さんにカテーテル治療を行ったときのこと。
乳房の近くにある肩の血管をレントゲンで映るように造影剤を流してから撮影したところ、まるで糸が絡まったかのようなグチャグチャ、モヤモヤとした血管がたくさん見つかり、そこが炎症を起こしているとわかったのです。

私は直感的に「このモヤモヤした血管の中の血流を止めれば、炎症が消えて肩の痛みが楽になるのではないか」と考えました。
そこで、患者さんの同意を得てカテーテルで血流を止める薬を流しました。その結果、わずか数分で五十肩の痛みが和らいでらくに腕を頭上まで上げられるようになったのです。
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モヤモヤ血管のカテーテル治療を行う奥野祐次先生

その後、こうした改善例が肩だけでなく、ひざやひじ、腰など全身の関節で見られたため、私は母校の大学院に戻ってモヤモヤ血管の研究に打ち込みました。
そして、長引く痛みがある部位にはモヤモヤ血管が作られていて、これによって炎症や痛みが起こる可能性があるとわかってきたのです。

私は、モヤモヤ血管についてまとめた研究論文を世界的にも知られる『ネイチャー・メディスン』をはじめ、国内外の医学・科学雑誌で発表しました。
その後、長引く痛みとモヤモヤ血管の関係については私だけではなく海外でも研究が進みつつあり、くわしくは割愛しますがその成果が次々と発表されはじめています。

今後は研究がさらに進むと予想され、モヤモヤ血管と長引く痛みの関係がより明らかになると私は考えています。

ズキズキ、ジンジン、チクチク痛む人はモヤモヤ血管を疑え

さて、みなさんはご自身の痛みの原因が本当にモヤモヤ血管にあるのか、疑問に思っている方もいるでしょう。

通常、血管はレントゲンには写りませんのでモヤモヤ血管の有無を調べようとすると、前に述べたように造影剤を流してレントゲンを撮る、もしくはPET(ペット。陽電子放射断層撮影)検査をする、といった方法になります。
とはいえ、それはみなさん自身ではできません。

s_モヤモヤチェック.jpgそこで、みなさんの長引く痛みがモヤモヤ血管によるものかは、痛み方を目安にしてください。
病院で治療を受けてもなかなか治らない痛みで、痛み方の特徴が「ズキズキ、ジンジン、チクチクする」という人はモヤモヤ血管が患部にある可能性を疑ってみてください。

もう一つの目安は、指で押すと明らかに痛みが出る場合。押すと痛む部位を痛点と呼びますが、痛点がある人はモヤモヤ血管がそこに隠れていることがよくあります。
もちろん、この2つは目安ですので、確実にモヤモヤ血管があることを証明するわけではないことはご理解ください(表はひざ痛の人の場合。あくまでも目安です)。

痛みがあれば、軽視せずに専門医に診てもらうことが何より肝心

モヤモヤ血管が痛みの原因となっている場合、限られた病院にはなりますが、私も病院で行っているカテーテル治療を受けるのがおすすめです。
モヤモヤ血管を消すカテーテル治療とは、極細のチューブを血管内部に挿入して細かな粒子を投与し、余計な血管を減らす治療です。
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この治療によって、長引く痛みが解消する人が実に多いのです。

病院で治療を受けることは重要ですが、自分でモヤモヤ血管を消すのに役立つとっておきの方法もあります。それは、痛みのある部位に手の指で圧力を加える方法。
これは一般的には指圧といったり、押して圧力をかけることから押圧(おうあつ)といったりもしますが、この方法がよく効く人が多いのも事実です。

なぜなら、モヤモヤ血管が刺激に弱くてもろいという性質があるからです。指で圧迫するのをくり返すと、モヤモヤ血管が減って痛みの和らぐ人がいます。やり方についてはこの記事の最後にある関連記事をご覧ください。

いずれにせよ、痛みがある人は軽視せずにまずは整形外科の専門医に診てもらってください。
関節の変形など一般的によく見られる原因であれば治療を受けたり、改善のための運動を指導してもらったりすることができますし、難しい病気が隠れている場合もあるので自己判断は絶対に禁物です。

モヤモヤ血管はいわば老化の一種

さて、ここまでの記事を読んで「なぜ私たちの体にモヤモヤ血管ができるの?」と疑問を持つ人もいると思いますので解説をします。

モヤモヤ血管とは、病的な新生血管です。実は私たちの体には本来、モヤモヤ血管ができないようにする機能が備わっています。
ただし、ある年齢を過ぎるとその機能が落ちてしまうのです。いわゆる老化の一種と考えてください。

少しくわしくいうと、人の体には「新しく血管を作らないように」と指令を出す物質がたくさんあるのですが、それが枯渇してしまうことがあるのです。その物質を作る細胞が枯渇したり、あるいは作らなくなってしまったりするとモヤモヤ血管ができる確率が増えてしまいます。
この「物質の枯渇」が始まるのは40歳くらいから。「長引く痛み」を抱える人が、中高年になると増えるのはこうした原因があると私は考えています。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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出典:『長引く痛みを治したいなら「モヤモヤ血管」を押しなさい』

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