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白内障予防食はルテインの多い野菜!1日分の摂取量が1杯でとれる[緑黄スムージー]の作り方

解説 回生眼科院長
山口康三

白内障の予防には、ホウレンソウやパセリなどの緑黄色野菜を食べることをおすすめします。なぜなら、緑黄色野菜にはルテインという栄養素が多いといわれているためです。

ルテインとはどのような栄養素で、白内障の人にどう役立つのか、眼科専門医の山口康三先生に話を聞きました。
白内障の疑いがある方は、医師の治療を受けたうえで、記事にあるセルフケアを試してみてください。



ルテインをとると水晶体が濁るのが防げる?

白内障の発症を遅らせたい、進行を防ぎたい、そんなみなさんにぜひ食べていただきたいのが抗酸化作用(攻撃力の強い活性酸素の害を防ぐ働き)が強い食品です。

白内障は、簡単にいうと目の中でレンズの役割を果たしている水晶体が濁る病気。水晶体を構成しているたんぱく質が活性酸素によって変質し、透明の水晶体が黄白色に濁ってしまうことが大きな原因です。
そのために、白内障の予防には抗酸化作用の強い食品をとっていただきたいわけです。

Cataract-prevention nutrition.jpgそこで、ぜひとっていただきたいのがルテインという栄養素。ルテインは、植物の色素成分であるカロテノイドの一種で強力な抗酸化作用を発揮します。

ルテインを多く含む食品には、ホウレンソウやブロッコリー、コマツナ、カボチャなどの緑黄色野菜があげられます。緑黄色野菜をとるとルテインが水晶体や網膜に到達して貯蔵されるというのです。
ところが、その貯蔵量も年を重ねるとともに減りだし、40歳を過ぎると水晶体や網膜に蓄積されているルテインの量は激減します。

また、ルテイン不足は野菜の摂取量が減ったり過剰な飲酒・喫煙でも起こります。したがって、若くても、野菜嫌いの人や酒好きの人などは白内障を招く危険が高まります。

ルテインが白内障の改善に役立つことは、日本や米国で行われた試験でわかっています。
日本のある眼科医が行った試験では、白内障の患者さん50人にルテインの抽出物を3カ月とってもらった結果、50人全員が「目がかすむ」「物が見えにくい」といった白内障の症状が改善し、視力も平均0.4改善したと報告されています。

白内障の予防作用を得るために必要なルテインの量は、1日に約6ミリグラム(ホウレンソウなら3分の1束)。
ただし、白内障が進んでいる人は1日に12〜15ミリグラム(ホウレンソウなら1束)ほど補うのが理想と私は考えています。

ビタミンCの摂取量が多い人ほど白内障になりにくい?

白内障予防のためルテインといっしょにとっていただきたいのがビタミンCです。なぜなら、ビタミンCにも強い抗酸化作用があるからです。

もともと水晶体には大量の抗酸化成分が含まれており、中でもビタミンCは非常に高濃度といいます。その濃度は、血液やリンパ液に含まれるビタミンCの濃度の10〜30倍にも達するといいます。
そして、水晶体の中で発生した活性酸素を減らして、濁りを抑える役割を果たしているのです。

Vitamin C to prevent cataract.jpgビタミンCが白内障の対策に役立つことは、1995(平成7)年に行った厚生労働省(当時は厚生省)の調査でも明らかです。
調査は、岩手県、秋田県、長野県、沖縄県の男女約3万5000人(45〜64歳)を対象に行われました。対象者を1日のビタミンCの摂取量が多い順に5グループに分け、5年間にわたって追跡調査を実施し、白内障の発症率を調べたのです。

その結果、ビタミンC摂取量の最も多いグループ(1日に男性で210ミリグラム、女性で260ミリグラム前後)は、摂取量の最も少ないグループ(1日に男性で50ミリグラム、女性で80ミリグラム前後)と比べて、白内障の発症率が男性で35%、女性で41%も低いことがわかりました。
また、白内障の手術を受ける割合も男性で30%、女性で36%も低くなったのです。

ビタミンCは、パセリやブロッコリー、コマツナ、キウイフルーツ、レモン、イチゴといった野菜や果物に多く含まれています。厚生労働省が定めているビタミンCの成人1日の推奨量は100ミリグラムですが、白内障の予防や改善が目的の場合にはこの量では足りません。
また、ビタミンCは体内では合成できないため継続して補う必要があります。

白内障の改善には、1日に200ミリグラム以上のビタミンCを4〜5回に分けてとるのが理想的です。
食事だけでは不足する場合には、純粋なビタミンCであるアスコルビン酸の粉末を利用してもいいでしょう。ビタミンCは一度にたくさんとっても、過剰な分はすぐに尿としてされてしまうので、こまめにとることがおすすめです。

ルテインとビタミンCの多い食品と緑黄スムージーの作り方

白内障の予防・改善には、ルテインやビタミンCを多く含む緑黄色野菜と果物をとるのが簡単で効率的です。そのとり方としておすすめなのが、「緑黄スムージー」です。

緑黄スムージーとは、ルテインやビタミンCを多く含むホウレンソウやブロッコリーなどを中心に、3〜4種類のの野菜や果物をミキサーにかけて作ります。
水分をほとんど加えないので、少しドロドロした飲み物(スムージー)になります。野菜や果物の組み合わせ方によっては多少苦みがあるかもしれませんが、毎朝コップ1杯程度飲むようにすれば、効率よくルテインやビタミンCを補えます。

ルテインの多い食品とは

ほうれん草、ブロッコリー、コマツナ、ニンジン、グリンピース、ケール、カボチャ、青汁、パセリなど

ビタミンCの多い食品とは

ブロッコリー、コマツナ、レモン、キウイフルーツ、ピーマン、パセリ、イチゴなど

緑黄スムージーの作り方2品

Juice for prevention of cataract.jpg
また、緑黄色野菜にはカリウムが豊富に含まれています。カリウムの働きで体内の余分な塩分が排出されれば、塩分のとりすぎによる活性酸素(攻撃力の強い酸素)の害も抑えられます。実際、私の医院でも白内障の患者さんには適切な治療に加えて、緑黄スムージーをすすめており、満足のいく結果が得られています。

白内障克服の体験談|白内障の視力が緑黄スムージーで改善し、かすみがよくなった

緑黄スムージーを飲んだ体験談を紹介しましょう(以下は、2015年に発刊されたわかさ夢MOOK15『目の濁り取り速攻クリニック]』で紹介されたものをウェブ用に再編集したものです)。

70代の男性は白内障が進行して視力が右目は0.5、左目は0.4にまで落ち、目がかすんだり、光をまぶしく感じたりしていました。そこで、適切な治療に加えて、食生活改善の一環として、朝食でコップ1杯の緑黄スムージを飲むように指導しました。
同時に、食事は腹八分食にして軽い運動も実践してもらいました。すると、しばらくして目のかすみやまぶしさが改善したのです。初診から2年たったころには、視力が両目とも1.0にまで改善しました。その後も緑黄スムージーを続け、白内障とは無縁の生活をしています。

ある70代の女性は軽い白内障が見つかった時点で、緑黄色野菜を中心にした食生活に切り替え、進行を抑えていました。
しかし、その食生活をやめた途端に視力がみるみる低下しはじめたのです。そこで私は、治療に加えて緑黄色野菜をもっと手軽にとれる方法として、緑黄スムージーを毎朝コップ1杯飲むよう指導しました。
それを忠実に守った結果、2カ月後には両目の視力が0.2〜0.3ほど改善し、白内障の進行も止まっています。

なお、ルテインは脂溶性(油に溶けやすい性質)のため、油に吸収されて体内に取り込まれます。ですから、緑黄スムージーにココナツ油やアマニ油などを大さじ1杯程度加えると、ルテインの吸収率がぐんと高まります。

最後に、ルテインさえとれば白内障が改善するわけではありません。上記の体験は、あくまでもその人の話であり誰にも当てはまるわけではありませんが、とても簡単なセルフケアのため、実践してみてはいかがでしょうか。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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