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麹に期待できる働き。高血圧やアトピー、花粉症や胃もたれ対策に役立つ

解説東京農業大学名誉教授
小泉武夫

麹には、なんと100種以上の酵素が含まれています。この酵素パワーには、健康維持に役立つ優れた働きが期待できるそうです。
 
米麹を長年とりつづけている発酵食品の専門家で、「ジュラルミンの胃袋」を持つ東京農業大学名誉教授の小泉武夫先生に話を聞きました。

高血圧やアレルギーを遠ざける

麹は、その小さな1粒1粒の中に100種類以上の酵素を含む稀有な食品です。
酵素とは動物や植物、微生物の体内で作られるたんぱく質の一種で、さまざまな化合物の分解や合成を仲介します。例えば、食べ物から吸収した栄養を体内で利用しやすいように分解するのも、体内で糖や脂肪をエネルギーに換えるのも、すべて酵素の働きです。

麹は、みずから作り出した酵素を使って、ビタミンやアミノ酸(たんぱく質の構成成分)、ペプチド(アミノ酸が数個つながったもの)など、実は400種類の有用成分を産生するといわれます。

近年では、血圧の上昇を抑えるACE阻害ペプチド、腫瘍細胞の増殖を防ぐアスペラチン、アトピー性皮膚炎や花粉症に関与するカテプシンBの阻害物質、骨組織を破壊するカテプシンLの阻害物質なども発見されています。

そして、これらの成分によって健胃整腸作用、滋養強壮作用、免疫強化作用、降圧作用、抗アレルギー作用、リラックス作用などがもたらされると考えられているのです。

豊富な消化酵素で胃を助ける

麹を食生活に取り入れることで、その働きを実感しやすいのが健胃整腸作用です。健胃整腸作用の中心的な役割を果たす成分は「消化酵素」です。
麹の代表的な消化酵素には、でんぷんをブドウ糖に分解するアミラーゼ、たんぱく質をアミノ酸(たんぱく質の構成成分)やペプチド(アミノ酸が数個つながったもの)に分解するプロテアーゼがあります。

これらのほかにも、脂肪を分解するリパーゼ、食物繊維を分解するセルラーゼ、血圧降下作用やリラックス効果のあるギャバ(γ-アミノ酪酸)を作るグルタミン酸デカルボキシラーゼなどの酵素も麹に含まれています。

実は、麹が産生する消化酵素は、医薬品にも用いられています。ご家庭にある胃腸薬の説明書には、アミラーゼやプロテアーゼ、あるいは消化酵素の総称であるジアスターゼなどの成分名が記載されていないでしょうか。

これらの消化酵素は、こうじ菌を液体培養して生じた酵素を抽出して作られます。つまり、胃腸が弱って食べ物を消化吸収する働きが低下したとき、こうじの消化酵素はその働きを補助してくれるのです。

麹コラム【胃に対する働きかけ】
でんぷんをブドウ糖に分解するアミラーゼ、たんぱく質をアミノ酸やペプチドに分解するプロテアーゼ、脂肪を分解するリパーゼ、食物繊維を分解するセルラーゼなどの働きによって、食べ物の消化が促され、胃の負担が軽減される。

腸内環境も整える

胃で消化された栄養を腸でスムーズに吸収するには、腸内環境を整えてその働きを活発にする必要があります。

p9-1.jpg私たちの腸内には、善玉菌(乳酸菌・ビフィズス菌など)や悪玉菌(ブドウ菌・ウェルシュ菌など)が、約100兆個も生息しているといわれます。

健康な人の腸内では、善玉菌が大勢を占めていますが、食生活の乱れや便秘、ストレス、食品添加物のとりすぎなどが原因でバランスがくずれると、形勢は一転して悪玉菌が優勢になってしまうのです。

つまり、腸内環境を整えるには、善玉菌を増やさなければいけません。その場合、こうじはα-グルコシターゼという酵素を生み出し、これが乳酸菌などのエサになるオリゴ糖を作ってくれるのです。

麹コラム【腸への働きかけ】
麹に含まれるα-グルコシターゼという酵素が、腸内の乳酸菌のエサとなるオリゴ糖を作り、腸内環境を整える。腸内環境の改善により、便秘の予防や肌荒れの改善、免疫力の向上、アレルギーなどの予防などが期待できる。

実際に胃もたれ知らずな私

かくいう私は、世界各国を巡って地元の料理や珍味を食す機会が多いのですが、胃の丈夫さには絶対の自信を持ち、「ジュラルミンの胃袋」を自負しています。その秘訣は、乾燥した米麹を常備してどこにでも持ち歩き、食後に何粒かをパラパラと口にほうり込む長年の習慣があってこそと確信しています。
いってみれば、米こうじが胃腸薬代わりになっているわけです。

こうした麹の恩恵で、私はこれまでほとんど胃もたれをしたことがありませんし、どんな料理を食べても便秘や下痢をしないのが自慢です。

そのうえ、麹は必須アミノ酸(体内では合成できないアミノ酸)やペプチド、ビタミンも含んで栄養満点。いくつになっても衰え知らずと周囲から賞賛される私の気力と体力は、麹の滋養強壮作用によるものではないかと考えています。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。


写真/©カラダネ

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