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【歯周病を歯磨きで治したい③】試験では改善率74%!歯のグラつきも回復!

解説 岡山大学名誉教授
渡邊達夫

歯周病対策におすすめの歯磨き法、それが歯間マッサージ歯磨きです。

この歯磨き法のいいところは、歯垢が取れるばかりか歯茎のマッサージ効果もあること。実際に歯周病対策にどのくらい役立つのでしょうか。

岡山大学名誉教授の渡邊達夫先生に話を聞きました。

マッサージで細胞の再生が促される?

歯周病対策には歯磨きが重要です。中でも、歯間マッサージ歯磨き(正式には、つまようじ法という)」は、歯周病を防ぐ最良の歯磨き法であると、私は考えています。というのも、この歯磨き法は、歯間に歯ブラシの毛先を出し入れするため、歯垢を取り除く作用もさることながら、歯ぐきのマッサージ効果にも優れているからです。

歯と歯の間の歯肉(歯間乳頭部)に起こる炎症は歯周病の元凶です。そこで、歯間マッサージ歯磨きで歯間乳頭部を刺激すると、歯肉の細胞分裂が活発になって歯肉組織の再生が促され、さらに炎症が治まっていくことが期待できます。

歯肉の細胞組織の修復力が2倍になった(イヌの試験)

私たちの研究グループが歯肉マッサージでどのような変化が現れるか調べた試験を紹介しましょう。まず、イヌの歯肉に与える影響を調べた試験です。

この試験では、スケーラー(歯垢や歯石を取る器具)を使った歯垢除去と、マッサージ磨きの効果を比較しました。すると、マッサージ磨きのほうが、スケーラーを使った歯垢除去よりも歯肉の炎症が改善され、歯肉の細胞組織の修復力・再生力がおよそ2倍に向上する結果が得られたのです。

ちなみに、マッサージ効果が最も大きかったのは、毛先の硬さがふつうの歯ブラシを使って、200グラム重程度の力(消しゴムで鉛筆の文字を消すときの強めの力と同じくらい)を加えたときでした。
これは動物を対象に行った実験ですが、人間の歯肉で行ってもほぼ同様のデータが得られると考えられます。

たった2週間で歯のグラつきが改善

実際に、歯間マッサージ歯磨きを行った歯周病の患者さんの多くは、歯のグラつきが改善したと答えてくれました。そこで、私たちの研究グループは、歯のグラつき(動揺度)を測定する装置を使って実験をしました。
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具体的には、歯周病で歯のグラつきを訴える20人の患者さんを対象に、歯科医が週一回、歯間マッサージ磨きを行ったのです。すると、2週間で歯のグラつきが74%も改善するという驚きの結果が得られたのです。しかも、その改善率は、4週間後に78%、8週間後に85%と実施期間が延びるほどアップしています。

ほかにも、歯間マッサージ歯磨きを中心に歯周病治療を受けた患者さんと、通常の治療を受けた患者さんを6年にわたって追跡調査した研究データがあります。
その結果、抜歯本数の差は歴然で、通常治療では1人当たりの抜歯本数が1.67本だったのに対し、歯肉再生ブラッシングを中心にした治療では0.75本に抑えられたのです。

このように、抜歯の危険を半分以下に減らせるという結果も出ているのですから、歯間マッサージ歯磨きをやらない手はありません。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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