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【逆流性食道炎のセルフ対策】胃酸の逆流を防ぐ「こぶし呼吸」のやり方。呼吸筋強化がカギ?

解説 誠快醫院院長
鹿島田忠史

医師の鹿島田忠史先生によると、逆流性食道炎の方は、呼吸機能が弱っている可能性があるそうです。特にぜんそくを併発している人は要注意です。
弱った呼吸機能の働きを高め、逆流性食道炎を改善する「こぶし呼吸」の方法を鹿島田先生にお聞きしました。

「こぶし呼吸」は一人でも手軽にできる健康法です。逆流性食道炎に悩んでいる人は、ぜひ胃腸科や消化器科で治療を受けたうえで試してみてください。



逆流性食道炎の改善の秘訣は呼吸筋の強化

呼吸機能は人間の生理機能の中で最も早く老化が進む

胃酸が食道へ逆流する逆流性食道炎や、慢性的に乾いたせきが止まらないぜんそくが続いている人は、呼吸機能が低下している可能性があります。人間が持つ生理機能の中で、最も早く老化現象が進むのが呼吸機能といわれています。例えば、30歳前後の呼吸機能を100とすると、70歳では約45程度まで低下してしまいます。

なぜ呼吸機能の低下で胃酸が逆流するのか?

呼吸機能が低下すると、酸素を大量に消費する肝臓や、脳の機能も必然的に衰えます。とりわけ肝臓の機能が衰えると、体内での食べ物に含まれる栄養素の処理速度が遅くなるため、食べたものが胃の中に留まる時間が長くなります。その状態で横になると、胃酸が食道へ逆流し、逆流性食道炎が起こりやすくなるのです。

逆流性食道炎の人はぜんそくも併発しやすい

逆流性食道炎の人は、ぜんそくを併発しやすくなります。これは、逆流した内容物を器官内に誤嚥(誤って吸い込むこと)したり、胃酸による食道粘膜の刺激が気道を過敏にしたりすることが原因と考えられています。

「気道」「呼吸中枢」「呼吸筋」の3つの働きを高めることが大切

呼吸機能の低下を防いで逆流性食道炎などの病気を改善するためには、「気道」「呼吸中枢」「呼吸筋」の3つの働きを高めておくことが大切です。

気道は鼻と口から始まり、その奥の咽頭(いんとう)・喉頭(こうとう)・気管・気管支へとつながっています。人間の気道は生物の中でも狭く、呼吸をするさいには問題が起こりがちです。
呼吸中枢は、私たちがふだん特に意識しなくても呼吸ができるように働いています。ところが、心身のストレスに長くさらされていると呼吸が浅くなり、低酸素状態に陥ってしまいます。
呼吸筋は、呼吸をするために重要な横隔膜(おうかくまく)や腹横筋(ふうくおうきん)を指します。

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この3つの中で、しっかりとした呼吸をするために最も必要なのが、呼吸筋を強めることです。呼吸筋を強めれば、直接的に呼吸機能を高めて、逆流性食道炎やぜんそくなどの予防に大いに役立つと考えられます。

逆流性食道炎を改善に導く!呼吸筋強化の「こぶし呼吸」のやり方

実は呼吸筋も、ほかの筋肉と同じく、年齢を重ねると筋力がしだいに衰えてきます。呼吸が浅かったり動くとすぐ息切れをしたりする人は、呼吸筋が弱くなっていると考えられます。
しかし、呼吸筋も、ほかの筋肉と同様に、トレーニングをすることで強めることができます。そこで、おすすめしたいのが「こぶし呼吸」という方法です。

最新のスポーツ理論をもとに開発されたトレーニング法

こぶし呼吸は、最新のスポーツ理論をヒントに私が開発した呼吸筋のトレーニング法です。そのスポーツ理論とは、海外でも注目されている、立命館大学スポーツ健康科学部の田畑泉教授が考案した「タバタプロトコル」です。

タバタプロトコルは、アスリート(運動選手)がよく行うトレーニング法で「20秒の高強度な運動+10秒の休息」の組み合わせを6〜8セット行うことにより筋力の増強を図るものです。これを呼吸筋強化に応用したものが、こぶし呼吸というわけです。

こぶし呼吸のやり方は下の図に示したとおりで、息を吐く筋肉(呼気筋。主に腹横筋)を強化するトレーニングと、息を吸う筋肉(吸気筋。主に横隔膜)を強化するトレーニングの2種類があります。とはいえ、違いは息を吸い込むか吐き出すかという点のみです。

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❶ 座った姿勢で軽く息を吸い、丸めた手の親指側にすぼめた口を当てて、1秒に1回くらいのペースで思い切り息を吹き込む。20秒間行ったら10秒休む。

❷ ①と同様に丸めた手に口を当て、1秒に1回くらいのペースで思い切り息を吸い込む。20秒間行ったら10秒休む。

※「20秒間強く息をして、10秒間休む」を1セットとして、慣れないうちは3セット、徐々にセット数を増やし、最終的には6セットを目標に行う。

こぶし呼吸を行うときの注意点

こぶし呼吸を行うときの注意点は、こぶしは小さくしっかり握ること。そして、こぶしを口に密着させること。これは、抵抗を大きくして呼吸筋に負荷をかけるためです。息を吹き込んだり吸い込んだりしたときに大きな音が出るようであれば、こぶしにすきまがあるか密着していないと考えられます。

逆流性食道炎予防に週2〜3回行おう

呼気筋と吸気筋の2種類のトレーニングは、1種類を1日おきに、週2〜3回行います。例えば、呼気筋トレーニングを月・水・金に行い、吸気筋トレーニングを火・木・土に行うわけです。「20秒間強く息をして10秒間休む」を1セットとして、慣れないうちは3セット、力がついてきたら徐々にセット数を増やし、最終的に6セットを目標にしてください。

なお、狭心症や心筋梗塞・肺気腫(はいきしゅ)など循環器系の病気がある人は、必ず主治医と相談してからこぶし呼吸を行うようにしてください。また、指の関節が曲がっていて、うまくこぶしが作れない人は、通りのよいほうの鼻の穴を指で押さえて、反対側の鼻の穴で息を強く吐く、または吸う練習をしてください。

もちろん、この方法で誰にでも変化が現れるわけではありませんが、逆流性食道炎に悩む人は一度試してみてはいかがでしょうか。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© カラダネ © Fotolia

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