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【痔の治し方】お尻の筋肉を鍛える「肛門筋トレ」を習慣にしよう。いぼ痔や脱肛が改善する人も

解説山田クリニック院長
山田紀彦

痔の半数以上を占める痔核(いぼ痔)は、便秘や排便時のいきみなどで肛門に圧力がかかり、肛門の静脈がうっ血してしまうことが原因で引き起こされるそうです。

特に多く見られる内痔核は、自覚症状がほとんどなく、肛門から外に飛び出して気付くケースが多いという厄介な性質のため、痔ではないと思っていた人が実は内痔核を患っていたという話はよくあることだとか。
みなさん、一気に痔が身近な病気だと感じたのではないでしょうか。

そこでこの記事では、痔の自力対策として専門医もおすすめ「肛門筋トレ」をご紹介します。痔の改善だけでなく、便もれや尿もれの人も試す価値のある運動法なので、痔の症状が無い人もお読みください。
専門医の山田先生に解説をいただきました。

肛門の筋肉を動かして血流をよくする運動

現代の日本では、たくさんの人が内痔核(いぼ痔)を長く患っています。そういった人たちの中には、「排便時に内痔核が飛び出してきて、そのたびに押し戻さなければいけない」「軟膏を塗っても変化があるのかよくわからないが手術はしたくない……」と悩んでいる人もおおぜいいることでしょう。

内痔核は、二足歩行によって肛門周囲に腹圧がかかることに加え、便秘で過度にいきむことなどで生じます。肛門にある静脈がうっ血(血液がたまること)し、血流が阻害されて炎症を起こすことで、静脈叢(静脈が網目状に集まっているところ)が腫れて痔となるのです。そして、その痔が大きくなると、排便するときに脱肛したり出血したりするようになります。

痔をよくするには、この静脈のうっ血を改善すればいいのです。指を肛門に入れて痔を直接マッサージすれば血流はよくなりますが、危険なうえ不衛生なので現実的ではありません。

そこで、私が患者さんにおすすめしているのは、肛門を締めたりゆるめたりする「肛門筋トレ(正式には肛門括約筋トレーニング法)」です。
この筋トレを行うと、ミルキングアクション作用でうっ血が改善され、痔の改善に役立ちます。ミルキングアクションとは、筋肉の動きによって、血液をまるで乳搾りのように先へ送る作用のことをいいます。つまり、肛門筋トレは、肛門括約筋を締めたりゆるめたりを繰り返すことで、静脈にたまっていた血液を直接流す運動です。

痔を改善へと導く「肛門筋トレ」のやり方は2つある

では、肛門筋トレはどのように行えばいいのでしょうか。そのやり方は下の図のとおりでとても簡単。2つの方法で肛門を締めるだけです。

肛門筋トレのやり方2.jpg

肛門筋トレのやり方①(頻回法)

肛門をギュッ、ギュッと短くリズミカルに、強く締めつけたりゆるめたりを繰り返します。締めるリズムは、速めで1回1秒くらい、1分間で約60回締めるのを目標にしましょう。これを3分間行います。この運動は、肛門の静脈叢の血流をスムーズにして、痔の腫れを取るマッサージ作用があります。

肛門筋トレのやり方②(ゆっくり法)

次に、便意を催したときに便がもれないよう我慢している状態をイメージして、肛門の筋肉をギューッとゆっくり強く締めてください。この状態を5~10秒保ったら、力をヒュッと抜いて肛門をゆるめます。この動きを5分間ほど繰り返します。肛門をゆっくり長く締めることで、肛門括約筋がしっかり収縮して、静脈の血の流れが一旦せき止められます。そして、ゆるめたときに、血が勢いよく流れて痔のうっ血が取れるのです。

肛門筋トレの作用を得るには、やり方❶と❷の両方を根気よく、せめて3カ月、できれば約半年間以上続けてみてください。痔核が縮んで脱肛も減ってくることでしょう。さらに、できれば3年間、毎日続けると必ず作用が出てきます。
どうしても両方行うのが難しい人は、どちらか一方でも大丈夫です。何よりもあきらめずに継続して行うことが重要です。

痔の痛みがある人は控えよ。便漏れの人にもおすすめ

肛門筋トレを行うに当たり、注意点があります。
内痔核が脱出している状態で肛門筋トレを行うと、かえって痛みが出ます。脱肛状態を戻してから行ってください。
また、痛みがある人は痔の状態が落ち着いてから行いましょう。

なお、女性は出産などにより、子宮や膀胱などが下垂して腟から出てくる骨盤臓器脱になりやすくなります。肛門筋トレは、骨盤底筋群を強化して骨盤臓器脱のほか、便漏れや尿漏れの予防・改善作用も期待できます。

ぜひ、快適な排泄機能を維持するために、痔がある人、痔がない人も肛門筋トレを習慣にすることをおすすめします。
もちろん、痔の人は病院に行って肛門内科の専門医に診てもらうことが何より肝心です。そのうえで、自力対策の一つとして実践してみてください。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/©カラダネ © Fotolia

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