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泌尿器科医が解説【尿漏れの薬】腹圧性ならβ刺激薬、切迫性なら抗コリン薬

解説女性医療クリニックLUNAグループ理事長
関口由紀

尿漏れや頻尿の改善のためには、骨盤底筋群を強化する体操が重要です。
とはいえ、なかには毎日実践していても、思うようによくならないという人もいるでしょう。

そうしたときは、専門医から薬を処方されることもあるはずです。
いったい、尿漏れや頻尿にはどんな薬がすすめられるのでしょうか。専門医の関口由紀先生にお話を聞きました。

ただし、薬には少なからず副作用の現れる場合もあるため、医師の指導を守って正しく服用することが重要です。骨盤底筋体操についてはいくつかのやり方があり、本記事下部の関連記事から、体操方法がわかります。医師にも相談しつつ、ぜひ実践してみてください。

尿漏れのタイプによって薬を使い分ける

尿漏れや頻尿の治療では、骨盤底筋群を強化する体操がすすめられます。
ところが、それだけでは不十分で、薬を併用したほうが早く改善が見込めると医師が判断した場合には薬が処方されます。尿漏れの改善に有効な薬がいくつかあり、尿漏れのタイプに応じて使い分けます。

β2刺激薬の働きは「膀胱をゆるめる。尿道括約筋を締める」

まず、セキやクシャミをしたり、重い物を持ったりしたときなどに腹圧がかかって尿が漏れる「腹圧性尿失禁」に効くのは、「β2刺激薬」(正式には交感神経β2受容体作動薬)です。

膀胱や、排尿をコントロールする尿道括約筋にはβ2アドレナリン受容体という器官があり、これが活性化すると膀胱がゆるみ、尿道括約筋が引き締まるという働きがあります。β2刺激薬は、β2アドレナリン受容体の働きを高めることによって膀胱がゆるんで尿をためる余裕が広がり、尿道括約筋がしっかり締まるので、腹圧がかかっても尿が漏れにくくなるのです。

抗コリン薬に加えてβ3刺激薬も登場

次に、膀胱が急激に縮む過活動膀胱が原因で強い尿意が起こって尿が漏れる「切迫性尿失禁」の場合は、主に「抗コリン薬」が処方されます。

抗コリン薬の働きは「膀胱をゆるめて尿意が我慢できなくなるのを防ぐ」

この抗コリン薬は、自律神経(意志とは無関係に血管や内臓の働きを支配する神経)から膀胱に「収縮せよ」と命令を伝える、アセチルコリンという物質の活動を抑える薬です。その作用で膀胱がゆるみ、尿意が我慢できないほど強くなるのを防げます。

抗コリン薬は、切迫性尿失禁の治療薬として開発されましたが、腹圧性尿失禁に対する効果も認められています。ただし、抗コリン薬には、排尿困難などの副作用があるため、尿が出にくいという感覚がある人は服用することができません。

そこで、切迫性尿失禁の新たな治療薬としては、5年前に「β3刺激薬」(正式にはβ3アドレナリン受容体作動薬)が登場しました。

β3刺激薬の働きは「過活動膀胱を抑える」

β3刺激薬は、β3アドレナリン受容体を活性化して膀胱をゆるめて過活動膀胱を抑えます。副作用の排尿障害が起こりにくいので、最近は切迫性尿失禁の治療薬として広く利用されています。
とはいえ、β3刺激薬も万能ではなく、子作りができる年齢の患者さんには処方できないことになっています。そのため、抗コリン薬を使うか、β3刺激薬を使うかは、患者さんに応じて適切に判断する必要があるのです。

いずれにせよ、尿漏れの治療薬には少なからず副作用の心配があるため、医師の診断と適切な処方が必要になります。また、薬だけに頼らずに骨盤底筋群を強化する体操を積極的に行うことも肝心です。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/©カラダネ © Fotolia

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