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【胆石の予防法】まず食事から。低脂質の腹八分目がおすすめで食事抜きは逆効果

解説 かなまち慈優クリニック院長
高山哲朗

胆石症を防ぐ最もおすすめな方法は、食生活を見直すことです。
乱れた食生活は胆石をできやすくしたり、大きくする重大な要因とされています。

この記事は、かなまち慈優クリニック院長の高山哲朗先生に、胆石予防のための決め手としての、食事のルールの話をお聞きしました。
もちろん、食事だけで確実に予防できるわけではないので、胆石の人は必ず専門医に診てもらうことが重要です。



脂質は少なめがよく、とらないのは逆効果

胆石症を防ぐのに特に重要なのは、食事です。特に、脂質を減らすことです。
ところが、胆石症を防ぐことだけを考えて、脂質を含む食材を一切とらないのは大間違いです。なぜなら、脂質を含む食品群は健康を維持するために必要なたんぱく質の補給源でもあるからです。

肉類・魚類を代表とした動物性たんぱく質や大豆製品に多く含まれる植物性たんぱく質などをすべて制限してしまうと、たんぱく質不足から、ほかの病気を招いてしまいかねません。

コレステロールの不足は、かえって胆石の原因に

また、コレステロールは、胆汁酸を作り出す材料となります。コレステロールが不足しすぎると、胆汁の胆汁酸の濃度が低下してしまい、コレステロールの排出がうまくいかなくなり、かえって胆石の原因となるので、ある程度のコレステロールも必要なのです。

特に、40代以降、さらに高齢になると筋肉量が減少して代謝も落ち、サルコペニア(筋肉減少症)肥満なども懸念されるので、安易に肉・魚類などをとらなくするのも問題です。

胆石予防に役立つ「脂質の少ない食材」の選び方

そこで、十分なたんぱく質を確保しながら脂質やコレステロールを適度にカットする工夫が必要になるのです。最も手軽に脂質をカットする方法は、脂質の少ない部位や食材を選ぶことです。s_低脂質.jpg

まず、牛肉なら、モモ・肩・ヒレなどの脂質が少ない部位を選びましょう。霜降りの国産牛は脂質が多く、輸入牛は脂質が少ない傾向にあります。豚肉の場合も同じくモモ・ヒレが脂質の少ない部位です。

鶏肉は、ササミとムネがおすすめです。皮に大量の脂質を含む鶏肉は、必ず皮を取り除いて食べるようにしましょう。

魚介類についても、脂質の少ない白身魚を中心にとるのが基本です。特に、部位によって脂質の多いマグロは、赤身を選ぶといいでしょう。

乳製品は、チーズや生クリームなど脂質の多い食材が多いですが、一方で尿路結石を防いだり、骨粗鬆症の予防にも重要なカルシウムが豊富に含まれていま す。低脂肪・無脂肪の牛乳であれば脂質を抑えられます。

食事を抜くと胆石ができやすくなる理由

高脂質の食生活だけでなく、不規則な食生活も胆石をできやすくする要因です。

食事時間が不規則になったり、食事と食事の間があいたりしてしまうと、胆のう内で胆汁の濃縮が進みます。過度に胆汁が濃縮されると、コレステロールが溶け切れなくなり、胆石ができる要因となるのです。

特に、ダイエットなどで食事を抜くのは、食事の時間がずれる以上によくありません。なぜなら、食事をしないと、胆汁を使い切れずに、胆のう内で胆汁が濃縮されることになるからです。

また、食べ方を見直すことで、胆石ができやすくなる肥満の防止や、胆のう自体の負担の軽減にもなります。

胆石予防のための食事のルール

❶初めに野菜を食べる
野菜を先に食べると、満腹感が得られ食べすぎを防ぐほか、血糖値の急上昇を抑えるなど、胆石以外の病気も防げる。

❷腹8分目に抑える
胆石の原因となる肥満を防ぐのはもちろん、消化器官の負担も抑えられる。

❸途中で汁物や飲み物を飲む
食事は一気に食べずに、必ず汁物やお茶を挟んで胃の負担を減らす。満腹感を感じるのが早くなるため、肥満防止にもよい。

❹ゆっくりよく噛んで食べる
短時間で一気に食べると消化に悪く、胆のうに負担がかかる。あたりまえなことだが、忘れがちなのできちんと意識することが肝心。

❺たまには好きなものを食べる
ストレスは胆のうの働きを悪くするので、たまには好きなものをとって無理はしない。

体の健康を考えればごくあたりまえのことですが、ファストフードなどに慣れてしまっている現代人にとっては、改めて見直すべき食習慣です。みなさんも一度確認してみてください。s_Fotolia_104560775_Subscription_Monthly_M.jpg

胆石の予防にはストレスや過労の対策も必要

胆石は、体内のバランスがくずれたり、胆のうに負担がかかったりするとできやすくなります。

そのため、ストレスなども胆石ができやすくなる一つの要因です。ストレスが大きくなると自律神経(意志とは無関係に血管や内臓の働きを支配する神経)が乱れて、内臓の機能が低下します。ストレスが大きい状態が続くと、胆汁の機能も低下して、胆のうの収縮が悪くなり、胆汁の流れが減少したり、停止しやすくなったりして、胆石を作る原因となるのです。

ほかにも、無理なダイエットは禁物です。確かに、肥満は胆石の原因になりますが、ダイエットを目的に食事を抜いたり、バランスの悪い食事内容になったりすると、胆汁が使用されずに濃縮され、胆石ができやすい状態になってしまいます。

ダイエットで食事制限を行って、必要な栄養素が不足することも、胆汁の成分のバランスがくずれ、胆石が作られる原因になります。

ダイエットだけではなく、過労や睡眠不足など、ふだんの生活リズムの乱れも胆石を作りやすくする要因です。疲労は、体内バランスの変調を招き、睡眠不足は胆のうが休まらず正常な働きの妨げになります。

胆石ができやすくなる生活習慣

  • 脂質過多な食生活
  • 無理なダイエット
  • 不規則な生活
  • 疲労・睡眠不足
  • 過度のストレス

胆石ができやすい原因は、ほとんど生活習慣病の原因と一致します。そのため、食生活の改善だけでなく、生活習慣を全体的に見直すことが肝心。日々の積み重ねが、胆石も生活習慣病も防ぐことにつながります。

胆石を防ぐアルコールのとり方

胆石予防には、アルコールの摂取にも気をつけなければいけません。

大前提として、胆石が見つかったらアルコールは控えましょう。アルコール自体は胆石症を悪化させる直接の原因にはなりませんが、過度のアルコール摂取は胆のうをはじめ、消化器官に負担をかけます。また、アルコール自体が高エネルギーなので、肥満の原因ともなります。

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疝痛発作があり、胆のう炎と診断された場合には、アルコールは厳禁です。アルコールで胃酸が増したり、すい臓に刺激が与えられたりすると、発作時の痛みが増すことがあるからです。症状が安定した場合でも自分で判断せず、必ず主治医の指示に従いましょう。

胆石の人はとにかく自己判断をしないで、専門医に診てもらってください。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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