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【急な尿漏れを予防】肛門と腟のグッパー体操とは?(クリニック院長が解説)

解説 女性医療クリニックLUNA心斎橋 院長
二宮典子

みなさんは、近くにトイレが無い状況で突然の尿意に襲われた時、どのように対処していますか?トイレに行くまでは我慢するしかありませんが、気にしだすと尿意は増す一方であせってしまいますよね。

そこで泌尿器科の専門医に、急な尿意を抑える緊急回避法を聞きました。
頻尿や尿漏れに悩んでいる人におすすめなので、ぜひ試してみてください。

もちろん、頻尿や尿漏れで悩んでいる方は必ず泌尿器科の専門医に一度診てもらうことを忘れずにお願いします。



急な尿漏れを防ぐ!骨盤底筋が重要

事前にトイレに行ったはずなのに、急に襲ってくる尿意。近くにトイレがない、車で渋滞中、バスでソワソワなど、突然の尿意で困った経験は誰にでもあるでしょう。

そんな突然の尿意を抑えるいい方法があります。それが「尿道グッパー」です。
尿道グッパーは、肛門と腟の開け閉めをくり返すだけ。肛門と腟をグッと締めてパッと緩める動きによって、尿道が締まり突然の尿意がおさまるのです。男性は、肛門あたりを意識しながら力を入れて緩める動きをくり返すと改善が期待できます。

同時に、尿意=尿をしたいという意識をまぎらわすために、音楽を聴くなど、別のことに意識を向けるのもおすすめです。急な尿意が起こったら、この二つを併せて行うことをおすすめします。

尿道グッパーのやり方.jpgではなぜ、尿道グッパーで突然の尿意がおさまるのでしょうか。
排尿は、尿をためておく膀胱の排尿筋と、尿道括約筋などの骨盤底筋群(下の図では快尿筋と示されています)が、互いに連動して行われます。
このうち膀胱排尿筋は自律神経(意志とは無関係に血管や内臓の働きを支配する神経)の命令で働く不随意筋であるのに対して、骨盤底筋群は自分の意志で動かすことが可能な随意筋です。

快尿筋.jpgここで重要なのは、骨盤底筋群で尿道を意識的に締めると、それに連動するように膀胱が自然に緩み、膀胱の異常収縮が抑えられること。これを専門的には、「会陰排尿筋抑制反射」といいます。つまり、尿道グッパーで尿の出口である尿道をしっかりと締めると、膀胱が緩んで貯めておける尿量が増えるため、突発的な尿意を抑えられるのです。

ただし、この作用はあくまで一時的で緊急避難的なものです。突然の尿意を根本から改善するには「骨盤底筋体操」を毎日行いましょう。
骨盤底筋体操は、快尿筋を鍛える体操です。骨盤の底でハンモックのように膀胱、子宮、直腸などが下がらないように骨盤から支えている快尿筋が緩むと、膀胱や尿道が下に落ちてしまい、尿道を意識的に締めたり、膀胱を緩めたりする排尿コントロールが十分にできなくなり、尿がもれてしまうのです。

特に閉経(月経の停止)後の女性は、女性ホルモンの分泌量が減り、骨盤内部の血流量も低下するため、快尿筋の動きが悪くなってしまいます。骨盤底筋体操で快尿筋を意識的に動かせば、細胞の新陳代謝(古いものと新しいものの入れ替わり)が進み、強い筋肉に変わり、強化されるのです。

尿漏れに悩む人は、お茶やコーヒーは要注意。前かがみ姿勢もさけよ

骨盤底筋体操には2つのパターンあり、どちらも、あおむけ寝で両ひざを立て、ヘソの下に両手を当てて、おなかの力を抜いた状態で行います。
1パターンめは、肛門と腟を「締める=グッ」と「ゆるめる=パー」のグッパーを10〜30往復くり返します。まずは、10往復から始めて、慣れてきたら徐々に数を増やすといいでしょう。2パターンめは、肛門と腟をギュッと強く締め(=グッ)、5秒間その状態をキープしたら一気に脱力(=パー)して10秒間休みます。
この2パターンを1セットとして、1度に3セット行ってください。1日2度、朝・夜にやるといいでしょう。
 
骨盤底筋をうまく意識できない人は、床に置いた座布団やクッションにひじをかけて、四つんばいの姿勢で試してみましょう。骨盤底筋をきちんと動かせるようになれば、早ければ1週間で突然の尿意を抑えられるようになってくるようです。ただし、中高年や高齢者は改善を感じることができるまで、1〜3カ月はかかると考えたほうがいいでしょう。最初はうまくできなくても、根気強く続けることが大切です。

なお、突然の尿意を防ぐには、水分の取りすぎに注意。特にカフェインを含んだお茶やコーヒー、アルコールはもちろんですが、オレンジなどの柑橘系のジュース、炭酸飲料は尿意をもよおします。これらの飲み物は、外出前などは控えたほうがいいでしょう。
腹圧が膀胱にかかると、尿意をもよおしやすくなるので、前かがみの姿勢はさけるようにしましょう。もちろん、体が冷えると尿意が出てきますので、足元を冷やさないように気をつけることも大切です。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/©カラダネ © Fotolia

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