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【便秘で下腹太りもある人】脂肪による腸の圧迫が重大原因!? 下腹ヤセが便秘解消の近道

解説 川村内科診療所所長
川村昌嗣

年齢を重ねるにつれおなかに脂肪がつき、下腹がポッコリ出てくる人は多いと思いますが、下腹太りに加えて便秘にも悩んでいる、そうした人はいませんか?

実はその便秘は、下腹太りが原因かもしれません。便秘と下腹太りは少なからず関係があるといいます。内臓脂肪が腸に悪影響を及ぼすというのです。医師の川村昌嗣先生に解説をいただきました。

便秘の原因はいろいろです。便秘は決して軽視せずに医師に診てもらうことも重要です。

おなかはなぜ太るのか

おなか太りで悩む人、たくさんいらっしゃると思います。
そして、その中には便秘を抱えている人も少なくないでしょう。下腹太りと便秘は一見、無関係のようですが実は深い関係があるのです。

体脂肪は、大きく分けて皮膚のすぐ下にたまる皮下脂肪と、内臓の周囲にたまる内臓脂肪があります。特に、男性は内臓脂肪がたまりやすく、女性でも50歳前後から、内臓脂肪のたまる量が増えてきます(若い女性は皮下脂肪のほうがたまりやすい)。

内臓脂肪がたまりやすいのは、肝臓と「腸間膜」という腸をひとまとめにつり下げている薄い膜です。つまり、腸に近い下腹がポッコリ出るのは、こうした部位に内臓脂肪がたまりつづけるためです。

もともと、外部からの衝撃や、さまざまな動作による圧迫から臓器を守るため、下腹は脂肪をためやすいしくみになっています。そのうえ、胸のように骨で囲まれておらず、内臓脂肪が増えると内側に蓄えられる構造のために外側にふくらみやすいのです。

おなか太りで腸が圧迫される

さらに、中高年は加齢(年を重ねること)の影響で、おなかがせり出すのを防ぐ腹筋も衰えるため、脂肪のたまるスペースが広がります。そのため、偏食や運動不足などをきっかけとして、内臓脂肪がたまってしまうのです。はいているズボンやスカートのサイズが変わらないと、増えた内臓脂肪によって腸は間接的に圧迫され、便が通りにくくなります。腸の内部が十分に広がらず、便が停滞しやすくなるのです。

そのうえ、きつくなった衣服が腸の蠕動運動(内容物を先送りする運動)を妨げて、便秘を引き起こしてしまうわけです。このような状態は、「狭まり腸」と呼ぶことができるでしょう。

狭まり腸とは.jpg狭まり腸に陥ると、腹痛が起こり、便も出にくくなります。さらに、カフェインやアルコールなどの利尿作用があるものを摂取すると、腸の中の便からも水分が奪われて硬くなり、ますます便通が悪くなるのです。狭まり腸を放置すれば、このような悪循環によって、便秘が慢性化します。

腹筋をよく動かせばお腹太りも便秘も同時に改善!?

下腹が出ていて、同時に便秘もあれば狭まり腸があると考えていいでしょう。実をいうと、この狭まり腸は簡単に改善できます。腸を圧迫している内臓脂肪を減らせばいいのです。
内臓脂肪はたまりやすい反面、運動すれば燃えやすいという特徴があります。特に、腸に近い腹筋を動かす運動を習慣づければ、らくに減らせます。
 
腹筋はよく知られている筋肉ですが、実は、ふだんの生活ではほとんど使われていません。腹筋を積極的に動かさない生活を続ければ、腸などのまわりに内臓脂肪がどんどんたまっていきます。逆に、ふだんから腹筋をよく動かすことができれば、内臓脂肪は減っていきます。

その理由は、強度の弱い運動で筋肉を動かしつづけると、動かした筋肉のそばにある脂肪から優先的に消費されるため。腹筋を動かし続ければ、腹筋のそばにある脂肪が真っ先にエネルギー源として燃えることになります。

とはいえ、従来の腹筋運動は、中高年にはつらくて続けにくいはず。そこで、私がおすすめするのが、「おなかインアウト」です。
おなかインアウトは、おなかをへこませたり出したりするだけの簡単な動作ですが、実際におなかインアウトを行って、便秘を改善した人はおおぜいいます。

おなかインアウトの大きな特徴は、自分でおなかを動かそうと意識することさえできれば、運動する時間を別に作る必要がなく、歩いているときや家事の間、仕事の休憩中、入浴時などに行えることです。これにより内臓脂肪がどんどん燃えて、下腹太りの改善につながります。狭まり腸を引き起こしていた腸の圧迫も取れるので、腸が動きやすくなります。

さらに、おなかインアウトを行うと腸を動かす腹筋が鍛えられるとともに、腸が大きくゆすられる利点もあります。こうすると、低下していた蠕動運動が活発になるのです。便秘の人が、おなかインアウトを行って最初に実感するのは、おならがよく出ることでしょう。腸がゆすられて便通が改善すると、便よりもガスのほうが速く移動するため、たまっていたガスがおならとして出るのです。

おなかインアウトのやり方について、また別の記事で解説します。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/©カラダネ © Fotolia

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