【夜の耳鳴り】を防いでグッスリ眠れる!耳鼻科医3人の体質改善法[白湯飲み][耳栓ウォーク][座禅]|カラダネ

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【夜の耳鳴り】を防いでグッスリ眠れる!耳鼻科医3人の体質改善法[白湯飲み][耳栓ウォーク][座禅]

解説 カラダネ編集部

夜に眠ろうと布団に入ると耳元でジージー…キーン…うるさくて眠れない!!
そんな耳鳴りに悩んでいる人が多いといいます。言わずもがなですが、夜の耳鳴りは放置すると不眠の原因になります。

ここでは、夜の耳鳴りを防ぐ生活習慣について、3人の耳鼻科専門医に話を聞きました。

ショウガ白湯なら耳鳴り体質改善にさらに役立つ

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中高年に多い夜の耳鳴りなどの耳のトラブルは、内耳の血流不足を改善させることでかなり軽減できるそうです。
竹腰耳鼻咽喉科院長の竹腰昌明院長に話を聞きました。
「内耳には、音を感知する「蝸牛」と、体の傾きをとらえる「三半規管」「耳石器」という器官があり、血流が不足すると、それぞれの働きに異常が生じ、耳鳴りなどを起こしやすくなります。

血流を悪くしているのは、疲労やストレス、気候の変化など。特に、寒暖差が大きい季節の変わりめは、自律神経(意志とは無関係に血管や内臓を支配する神経のこと)のバランスがくずれて血流が悪くなり、症状が悪化しやすい傾向があります。冬の寒い時期も、室内の暖気と室外の冷気に交互にさらされることで、同様に自律神経を乱しやすいといえるでしょう」

ではいったい、どうすればいいのでしょうか。竹腰先生は続けます。
「ぜひ実践していただきたいのが、朝起きてすぐにコップ1(150〜200ミリリットル)の白湯を飲むという習慣です。白湯とは、いったん沸かしたお湯をだいたい50度℃前後の飲みやすい温度まで冷ましたお湯のこと。

意識していないかもしれませんが、寝ている間は多量の汗をかくので、朝は体がカラカラに乾いて血液もドロドロしています。そこで白湯を飲むと染みわたるように浸透していき、血液がサラサラになります。さらに、内臓からジワジワと温まって代謝が促進されるので、全身の血流が改善し、ひいては内耳の血流にも好影響を与えます」

耳鳴り体質を根本から変えることが重要というわけです。竹腰先生からは、さらに白湯以上におすすめの方法も教えていただきました。
「白湯にすりおろしたショウガを入れた、ショウガ白湯にするのがおすすめです。
ショウガには、辛み成分のジンゲロールやショウガオール、香り成分のガラノラクトンが含まれており、これらが全身の血管を広げ、血流を強力に促します。
一般に、耳鳴りやめまいの治療には血管拡張薬が用いられるので、それと同様の作用を持つショウガをとることは、理にかなっています。夜のジージー耳鳴りを防ぐのにおすすめですよ」
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●ショウガ白湯の作り方
ショウガ白湯は、コップ1杯の白湯に、皮ごとすりおろしたショウガを小さじ1杯程度加えてまぜて作ります。朝起きた直後は消化機能が低下しているので、これを5〜10分かけてゆっくりと飲むようにしてください。

なお、ショウガの辛味が好きではない人はハチミツなどを加えて甘くしたり、白湯ではなく紅茶にショウガを加えるショウガ紅茶にしたりと工夫するのもOKとのこと。ショウガ白湯を夜に飲むと、手足の冷えが防げよく眠れるようになります。耳鳴りを根本から改善し、不眠も防ぐショウガ白湯をぜひ試してみてください。

耳栓をすると耳の筋肉がほぐれる

さて、寒くなると外に出ることがおっくうになり、運動不足になりがちです。しかし、体を動かさない生活を続けていると、筋肉が衰え全身の血液循環の悪化を招いてしまいます。

国際医療福祉大学病院の耳鼻咽喉科教授、中川雅文先生は次のように話します。
「全身の血液循環が悪くなると、耳の血流も滞って内耳の有毛細胞の働きが低下します。また、リンパ液の流れも悪くなるので、内耳を満たすリンパ液の質が低下したり、蝸牛そのものがむくみやすくなったりして、内耳のさまざまな機能に悪影響を及ぼしかねません。

実は、電車や地下鉄を日常的に利用する都会より、車を常用しがちな地方で耳鳴りや難聴者が増えているというデータがあります。これは、日常の移動を車に依存し、運動不足になっていることが原因の一つと考えられています。

夜に耳鳴りがして眠れないという方には、運動不足の解消も重要です。
運動といっても、必要なのは筋力トレーニングのようなハードな無酸素運動ではなく、ウォーキングやジョギングのような有酸素運動です。特にウォーキングなら体にかかる負担が少ないので、どなたでも気軽に始めることができるでしょう」
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中川先生は歩くときに耳栓を使うことをおすすめしています。
耳栓ウォークはおすすめです。なぜなら、耳栓ウォークを行うと、中耳のアブミ骨筋が鍛えられるため。

アブミ骨筋とは、アブミ骨と内耳をつなぐ筋肉で、アブミ骨に過剰な音の振動が伝わってきたさいにキュッキュッと収縮してアブミ骨の振動を抑えるブレーキとしての働きを担っています。ところが、冷えや運動不足で血流が悪くなると、アブミ骨筋の柔軟性が損なわれ、ブレーキの役割を果たせなくなります。

つまり、そうしたこり固まったアブミ骨筋をほぐすには、耳栓ウォークが最適なのです。耳栓をつけて歩くと、普段は意識することのない自分自身のズッズッという足音が骨伝導で伝わってきます。すると、脳から「足音を無視しろ」という指令が出て、アブミ骨筋がキュッキュッとリズミカルに動きだすからです」

アブミ骨筋のこりをほぐすには、1日最低10分以上の耳栓ウォークを行ってください。毎日コツコツ続けていけば、アブミ骨筋の動きがよくなって、聞こえがクリアになり、難聴や耳鳴りの改善に役立つと考えられます。

耳鼻科医の耳鳴り体質も改善

最後に、耳鼻科医自身が耳鳴りに悩み、その自身の悩み対策のために見つけたやり方を紹介しましょう。
耳鳴りに悩んだ医師とは、新中野耳鼻咽喉科クリニック院長の陣内賢先生です。
「私は25年以上、耳鼻科医として診療を続けてきました。その経験の中で実感したのは、耳鳴りや難聴は現代医学をもってしても治療の難しいやっかいな症状であること、そして、西洋医学の標準治療にはどうしても限界があるという事実でした。おそらく、臨床に携わる多くの耳鼻科医が、私と同じようなことを日々感じているのではないかと思います。

私は15年前から、東洋医学を学びはじめ、耳鳴りや難聴を訴える患者さんに体質に応じて漢方薬を処方するとともに、坐禅などの簡便なやり方(イス坐禅)を指導することがあります。
すると、以前なら悪化を待つしかなかったような患者さんでも、耳鳴りや難聴の進行が抑えられ、少しずつではあるものの症状の改善が認められる例が出てきました。耳鳴りも難聴も、やり方しだいでは十分に改善が見込めることを知ったのです」

これは、陣内先生ご自身の体験からもきているそうです。
「実は、私自身も、たびたび耳鳴りに悩まされている一人です。数ヵ月に一度、疲労が重なると、耳閉感と難聴を伴うキーンという、とても不快なストレス性の高音の耳鳴りが現れるのです。そんなときの私の対処法は、ふつうとは変わっているかもしれません。

耳鳴りに悩む人なら、耳鳴りをほうっておいて、できるだけ気にせず、忘れるようにするでしょう。しかし、私の場合は、違います。坐禅を組み、「耳鳴りに耳を澄ます」のです。

東洋医学では、耳鳴りや難聴は、気(生命エネルギー)の乱れが関係すると考えられています。特に耳鳴りは、気が乱れている注意信号で、「これ以上無理をするな」と私たちに訴えかけている面があります。そこで、古来行われている坐禅を行って気を養い、整えるわけです(やり方は以下の写真を参考にしてください)。
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目をつぶり、意識を音に集中させているうちに、音が全方向から聞こえてくる感じがしてきます。そうなると乱れた気が整っているようで、イス坐禅を終えると心身ともにスッキリします。

私は、週に五日は、寝る前に坐禅と気功の体操を15分ずつ行っています。また、必要な栄養を十分にとる食生活を心がけており、早寝早起きです。こうした生活を送ることで最近は、カゼをほとんど引かなくなりました」

ぜひ、耳鳴りで眠れないという方は以上の方法を参考にして、根本から改善させてください。もちろん、耳鳴りを放置せずに専門医に診てもらい、治療をすることも忘れないでください。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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