自律神経を整える食べ物はトマトがおすすめ!血圧低下や疲労軽減、更年期障害も予防に!|カラダネ

カラダネ(わかさ出版)
医師や専門家とあなたをつなぐ、
健康・食・くらしのセルフケアが見つかる情報サイト

自律神経を整える食べ物はトマトがおすすめ!血圧低下や疲労軽減、更年期障害も予防に!

解説 実践女子大学名誉教授
田島 眞

季節の変わり目は自律神経が乱れやすいといわれます。そんな自律神経の乱れに悩む人にはトマトがおすすめです。
トマトには自律神経の調節に役立つ成分が、豊富に含まれるとわかってきているのです。

トマトに含まれる、どのような成分に期待できるのか、どのように食べると効率的か、詳しいお話を実践女子大学名誉教授の田島眞先生に聞きしました。

なお、自律神経が乱れている可能性がある方は、心療内科や神経科、内科、精神科などの病院で専門医に診てもらうことが重要です。そのうえでトマトを食事に取り入れるなどの対策を行ってください。



自律神経の乱れを整える注目成分はギャバ(GABA)

早速ですが、トマトには健康維持に役立つ成分がたくさん含まれています。ご存じの人も多いかと思いますが、簡単にご説明しましょう。

●ビタミンC
●ビタミンB群
●カロテン(体内でビタミンAに変わる)
→これらのビタミン類は免疫力(病気から体を守る力)の向上や、細胞の老化抑制に不可欠とされ、トマトはそれらの含有量が野菜の中でもトップクラスです。

●カリウム
→カリウムには血圧の降下作用があるとされます。1日の摂取目安量が男性で2500ミリグラム、 女性で2000ミリグラムです。
中玉のトマト1個(約200グラム)に400~500ミリグラムのカリウムが含まれているので、摂取基準の約6分の1〜4分の1の量を補えます。

●ケルセチン
→ケルセチンはトマトの皮に多い色素成分。血管や肌の柔軟性を高める働きが認められています。

●ペクチン
→食物繊維の一種で、悪玉コレステロールを減らすのに役立ちます。

●ピラジン
→トマトの香り成分で、脳や心筋梗塞の原因になる血栓(血液の塊)を生じにくくする働きがあります。

●リコピン
→トマト特有の赤い色素成分であるリコピンは、生活習慣病や老化の原因になる活性酸素(体内に生じる攻撃力の強い酸素)を除去する抗酸化作用が強く、βカロテンの2倍以上、ビタミンEの100倍以上の抗酸化作用があるといわれています。

そして、こうした成分のほかに、トマトに含まれる成分で最近特に注目されているのがアミノ酸(たんぱく質の構成成分)の一種であるギャバ(GABA、正式名はγ-アミノ酪酸)です。
ギャバは、私たちの脳や脊髄にも含まれており、脳のさまざまな機能を調整する神経伝達物質として働きます。

ところが、脳内に含まれているギャバの量は40代から急激に減りはじめ、10代のころに比べると含有量は半分以下になると考えられています。
ギャバが不足すると、自律神経(意志とは無関係に血管や内臓の働きを支配する神経)のうち、心身を緊張状態に導く交感神経が優位になります。

s_ギャバの働き (1).jpg

すると、イライラしてストレスを感じやすくなり、その状態が続けば不眠やウツ、高血圧、自律神経失調症、それに認知症を発症するリスクを高める場合もあるのです。

トマトなら中玉1個で1日分のギャバが補える

そこで、ふだんからギャバの多い食品を積極的にとってください。
ギャバを含む主な食品には、発芽玄米・緑茶・緑黄色野菜・果物・発酵食品(納豆・みそ・ぬか漬け)などがありますが、必要量のギャバを毎日とるならトマトがおすすめです。

これまで世界各国で行われた研究によれば、健康維持のためにギャバをとる場合、1日に必要な摂取量は10~20ミリグラムです。
高血圧や慢性疲労といった不調の改善を期待するなら、50ミリグラム以上の摂取が望ましいと考えられます。

中玉のトマト1個には40~60ミリグラムのギャバが含まれています。つまり、1個とれば1日分が補えると考えられます。

大学や病院でトマトの作用が認められている

実際にトマトに含まれている成分が、さまざまな症状を改善に導いたと推測される試験を紹介しましょう。

まず、高知県立大学で行われた試験では、血圧が高めの男女46人(40~60代)を2グループに分けて、一方のグループにだけトマトジュース(150ミリリツトル)を1日おきに約半年にわたって飲んでもらったそうです。

その結果、トマトジュースを飲んでいたグループでは、約6割の人に降圧作用が認められ、最大血圧の平均値も154ミリ(正常は130ミリ未満)から144ミリに低下したとのこと。仙台市立病院でも似た試験が行われ、降圧作用と疲労感の軽減が認められています。

更年期障害を緩和するトマトの働きについては、東京医科歯科大学の研究で明らかにされています。

この研究では、のぼせやほてり、不眠、めまい、イライラなど、更年期障害の症状が1つでも認められる女性95人(40~60代)に、200ミリリツトルのトマトジュースを1日2回、8週間にわたって飲んでもらいました。

そして試験終了後に、更年期症状スケール(MSS)、不安と尺度(HADS)、不眠尺度(AIS)、血圧、心拍数といった複数の調査項目で総合的に評価した結果、ほとんどの項目に改善が見られ、トマトジュースの摂取は更年期障害に役立つことが認められたそうです。

こうした結果からも、トマトには自律神経の乱れを整えて交感神経と副交感神経をバランスよく働かせる作用が期待できるとおわかりいただけるでしょう。

トマトを黒酢につけて作る【酢トマト】がおすすめ

トマトはどんな食べ方でもおいしいのですが、ぜひおすすめしたいのがトマトを黒酢で発酵させて作る「酢トマト」です。

酢トマトの材料は、トマトのほかに、砂糖・塩・コショウなどの調味料(バジルやクローブなどのハーブを加えてもいい)、それに黒酢です。
黒酢は、玄米から作った酢を長期間熟成させた米酢の一種で、通常の穀物酢よりも乳酸菌やアミノ酸(たんぱく質の構成成分)、クエン酸(有機酸の一種)などの成分を多く含んでいます。

そのため、トマトのグルタミン酸を発酵させる乳酸菌の働きとともに、アミノ酸の血流促進作用やクエン酸の疲労回復作用など、黒酢の健康作用が期待できるのです。

酢トマトの作り方は、とても簡単です。

s_酢トマトの作り方 (1).jpg
トマトは一般的な中玉のトマトでもミニトマトでもかまいませんが、赤く熟したものを選びましょう。色が濃いトマトほどグルタミン酸など有用な成分も多くなります。

酢トマトは冷蔵庫で保管して夏場は翌日まで、それ以外の季節も2〜3日以内に食べきるようにします。

日ごろからストレスや疲労感が抜けない人、血圧が高めの人は、酢トマトを毎食とり、中玉のトマトなら1個半〜2個が目安です。

自律神経の乱れについてまとめて理解するなら下記の記事をご覧ください。


以下、カラダネ編集部よりレシピの紹介です。
記事で田島先生にご解説をいただきました酢トマトを使ったレシピが「カラダネレシピ」の中にあります。
酸味・うま味が凝縮!黒酢漬けトマトの冷製パスタ

トマトを使ったレシピはほかにもあります。

新食感の美味おつまみ!冷凍トマトとチーズの前菜
おいしすぎる冷凍トマトのゼリー寄せ
冷凍トマト丸ごとピラフを作ろう!

カラダネではほかにもたくさんの健康レシピがあります。ぜひ、試してみてください。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

関連記事

この記事が気に入ったらいいね!しよう