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尿漏れ・頻尿を防ぐ食事や服装など(女性医療クリニック理事長が解説)
関口由紀
尿漏れ(尿失禁)や頻尿を徹底的に防ぐには、病院治療や自力療法だけでなく、膀胱(ぼうこう)を刺激しすぎない生活を送ることも肝心です。
実は、食事や水分のとり方、服装などの生活習慣をほんの少し変えるだけで、膀胱への刺激を軽減し、尿漏れなどが改善する人も多いといいます。
具体的に、膀胱への刺激を少なくする生活を、泌尿器科専門医で女性医療クリニックLUNAグループ理事長の関口由紀先生にお話をお聞きしました。
もちろん、尿漏れ・頻尿を自覚したら泌尿器科で診てもらうことが重要です。
そのうえで、記事を参考にして膀胱を刺激しない生活を心がけてください。
辛い、すっぱい食べ物は過活動膀胱を招くかも!?食べる場合は注意が必要
尿漏れや頻尿の重大原因には、過活動膀胱があります。
過活動膀胱は、ストレスや冷えでも起こりますが、食事の影響もあるといわれます(くわしくは『尿漏れの原因と対策② 突然の強い尿意は「過活動膀胱」の疑い濃厚。体操とおしっこ我慢の練習で改善(切迫性尿失禁)へ』)。食べ物の中には膀胱の粘膜に刺激を与えるものがあり、尿漏れや頻尿の引き金になるというのです。
刺激しやすい代表的な食べ物は、トウガラシやワサビなどの辛味の強い香辛料、ミカンやグレープフルーツ、酢の物などの酸味が強い食品です。
ほかにも、チラミンというアミノ酸が含まれているチーズやチョコレート、チロシンというアミノ酸が含まれている納豆、グルタミン酸を含むうま味調味料も膀胱を刺激しやすいことがわかっています。
ただし、膀胱を刺激する食べ物といっても、個人差はあるようです。ある人にとっては刺激物になっても、自分にとっては刺激物ではない、という場合があるのです。
実際に食べてみて、急に強い尿意が現れなければ控える必要はありません。
とはいえ、辛い食品やしょっぱい食品は、のどが渇いて水を飲む量が増えるため、食べる量には注意してください。
(編集部注/表の食品は個人差があります。一般的には刺激しにくいものでも、人によっては強い刺激と感じるものもありますのでその点は気をつけてください)
水分のとりすぎは厳禁だが、減らしすぎても膀胱が刺激される
尿漏れや頻尿のある人は、水分をとる量を減らしがちです。もちろんとりすぎはよくありませんが、減らしたほうがいいのかといえば、そう単純な話ではありません。
通常、人間の体が1日に必要とする水分摂取量は、朝昼晩の食事のほかに1~2リットル程度。つまり、2リットル以上だと尿トラブルが起こりやすくなると考えられます。
しかし、1リットル以下に減らすのは問題です。水分をとる量が極端に少ないと、尿が濃くなって膀胱が刺激され、尿意が強くなる場合もあるのです。
また、脱水症状で体調が悪くなったり、膀胱炎を引き起こしたりする場合もあります。
食事からも水分は摂取できていますから、食事以外からの水分摂取量が1リットルよりも少なくなっていると考えられる人は十分に気をつけてください。
ビールやワインは膀胱への刺激が大きく、日本酒や焼酎、ウイスキーは刺激が少ない
さて、水分のとり方では、どのような飲み物を選ぶかも重要です。
実は、飲み物の中には膀胱を刺激する成分が入っているために、飲み過ぎない方がいいものもあります。
例えば、緑茶やコーヒー、ココアやコーラなどは、カフェインが入っているために、膀胱が刺激されて尿意が起こりやすくなるとされます。
お酒についてですが、もともとアルコールを飲み過ぎないことが尿漏れや頻尿の対策に必須なのはいうまでもないでしょう。
特にビールやワイン、紹興酒はアルコールに加えて、利尿作用が大きいカリウムが含まれているため要注意です。
カリウムが少ないお酒は、日本酒や焼酎、ウイスキー、ブランデーです。特に日本酒に含まれるカリウム量は、赤ワインの約20分の1といいます。
尿トラブルをさけるには、熱燗などの温かいお酒を適量飲むのもおすすめです。
おなかを締め付けない、下腹部を冷やさない服装で尿もれや頻尿を予防
尿漏れや頻尿の対策には服装も重要です。
まず気をつけるべきことは、おなかを締め付けるものは極力身につけないこと。
きついサイズの下着は厳禁です。ガードル、タイツなどは、おなかが締め付けられるために尿漏れや頻尿を招きやすくなります。
ウエスト部分がきついスカートやズボンも着るのを控えてください。
セーターやトレーナーなど上半身に着る服も、体のラインがピッタリ出るものよりは、大きめのダボダボしたゆったりタイプがおすすめです。
寒い冬に着るコートも重い革製よりはダウンなどの軽いものなら体への負担が少なくなるため、膀胱への刺激を少なくできると考えられます。
尿漏れや頻尿を防ぐため、下腹やお尻の4つのツボを温めて刺激しよう
みなさんの中には、急に尿意に悩まされて困った経験のある人もいらっしゃるでしょう。
根本的に改善するには、やはり快尿筋(正式には骨盤底筋群)の強化などが肝心ですが、手軽に今すぐできる方法として、ツボ刺激もあります。
下腹やお尻には泌尿器の悩みを改善する「関元」「中極」「中髎(ちゅうりょう)」「次髎(じりょう)」のツボがあります。これらのツボの上に使い捨てカイロを貼ってください。貼るさいは、低温やけどを起こさないように、下着の上から貼るのがおすすめです。
ただし、糖尿病や血流障害のある人は、ツボにカイロを貼る前に必ず主治医に相談してからにしましょう。
記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。
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※記事の執筆ドクターが特定商品の購入等を推薦するものではありません。
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