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認知症予防の主食は「自然とよく噛む」「腸内細菌も整う」玄米食を。あずき入りがベスト

解説 あしかりクリニック院長
芦刈伊世子

みなさんは食事の際、かむことをどれくらい意識していますか?
忙しくて時間をかけられずすぐ飲み込んでしまう、麺やパンなど軟らかいものばかりという人は多いのではないでしょうか。
実は「よくかんで食べること」は、胃腸へはもちろん脳の健康維持にとっても役立つとされ、認知症予防に繋がる可能性があります。

この記事では、よくかむことがもたらす作用と、おすすめ食材の「玄米」について、医師の芦刈先生にお聞きしました。

認知症の心配がある人は、必ず専門医の治療を受けてください。予防や健康維持を目的にこの記事のセルフケアを試してみてください。

よく噛むと脳の血流がアップ!?

現代人は、白米や白パン、 麺類、菓子類などの軟らかい物を好み、よくかまない「軟食」の傾向にあります。実は、これは脳にとってはあまりいいことではありません。
よくかむと、食べ物の消化・吸収が促進されるだけでなく、口のまわりの筋肉が使われて脳の血流がアップすると考えられるからです。

また、ゆっくりよくかむことで、脳内の神経伝達物質の1つである「幸せホルモン」とも呼ぶべきセロトニンの分泌(ぶんぴつ)が促進され脳が活性化します。
さらに、かむことで「若返りホルモン」とも呼ばれるパロチンも増えます。パロチンは、軟骨組織を増やしたり、カルシウムの定着を促して骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を防いだり、毛髪の発育を進めたりしますが、毛細血管の新生も促進するので、脳の老化予防に役立つとされます。

玄米は、外皮や胚芽(はいが)が含まれていて硬いので、よくかまないとのどを通りません。それに、しっかりかんで食べないと消化不良を起こす可能性もあります。
「30回かむといい」とよくいわれますが、 回数よりも、「唾液とまざってドロドロの状態になるまでかむ」のを目安にするといいでしょう。

認知症を防ぐには腸内フローラを整えることも重要

よくかめば、食べ物が細かく砕かれるうえに、消化酵素(酵素とは体内の化学反応を助ける物質)の分泌がよくなるため、消化吸収がスムーズになって胃腸の負担も減ります。

最近よく話題になっていますが、腸の健康を保つことは、脳の健康にも非常に重要となります。脳が必要とするアミノ酸や脂肪、ビタミン、ミネラルは、腸から脳へと血管を通して移行します。特に、腸内細菌によって産生されるビタミン類(ビタミンKやビオチン、葉酸、パントテン酸、ビタミンB2 、ビタミンB6 、ビタミンB12)は、脳内の神経伝達物質を作る代謝(体内で行われる化学反応)のさいになくてはならないものです。

ところが、腸内環境が悪化して悪玉菌が増えると、これらの産生が減少してしまいます。脳に必要な栄養が行き渡らなければ、脳の萎縮(いしゅく)を招いたり、脳内物質のドーパミンやノルアドレナリン、セロトニン、ギャバなどが減少したりして、ウツの引き金ともなります。
ウツが続くとアルツハイマー病を発症するリスクが高まるので、腸内環境を整えることは脳にとっても非常に重要なのです。
 
また、小腸の一部の細胞や大腸の細胞は、末梢(まっしょう)神経から脊髄(せきずい)を通り、大脳の神経と結びついて、双方が影響し合っているといわれています。腸と脳が影響し合うことを「腸脳相関」といいますが、 腸の調子が悪いと脳の働きも悪くなり、脳の神経細胞内の代謝も悪化し、神経細胞に病的変化が起こりかねないのです。
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そこで、腸の健康を維持するためにも、「アズキ玄米ご飯」をおすすめします。
玄米に豊富に含まれている不溶性食物繊維は水分を含むと膨らむので、便のカサを増やし、腸壁を刺激して蠕動(ぜんどう)運動(内容物を先送りする働き)を促進するとされます。そして、下痢や便秘を改善して便通を整えると考えられます。

また、腸の善玉菌を増やして活性酸素(攻撃力の強い酸素)を抑え、免疫力を高めたり、体に有害なダイオキシンや重金属などを吸着して体外に排泄したりするデトックス作用もあります。
アズキ玄米ご飯を食べつづければ、腸の善玉菌が増えて悪玉菌が減り、腸内フローラも整って腸内環境が改善されていきます。その結果、脳に必要な栄養がスムーズに送られて、働きもよくなるというわけです。     

アズキ玄米ご飯を、毎日食べたら飽きるのではないかと心配な人は、アズキの代わりに、黒豆やピーナッツ、モチキビ、モチアワ、グリンピースなどを玄米といっしょに炊いて、バリエーションを持たせるのもいいでしょう。

ただし、アズキ玄米ご飯は、不溶性食物繊維(水に溶けにくい性質の食物繊維)が多いので、水分を多くとらないと便秘になることもまれにあるので水分を意識してとるようにしてください。どんな健康法もとりすぎや、やりすぎは禁物です。
適度な量、適度な回数を守って毎日の生活の中で取り入れましょう。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真カラダネ © Fotolia

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