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「笑いや咳」で尿漏れする原因は骨盤底筋の衰え(腹圧性尿失禁の改善体操も泌尿器科専門医が解説)

解説 永弘クリニック院長
楠山弘之

ご存知でしょうか。尿漏れにはいくつかのタイプがあります。
それらの中で、最も患者数が多いのですが腹圧性尿失禁と呼ばれるもので、最も改善しやすい尿漏れのタイプになります。

腹圧性尿失禁は、排尿をコントロールしている、骨盤底筋の衰えが原因と言われています。
つまり、骨盤底筋を強化すれば、腹圧性尿失禁が改善します。

骨盤底筋の強化で快尿になれることから、カラダネでは骨盤底筋のことを「快尿筋」と呼ばせて頂きます!快尿筋(骨盤底筋)はいったいどう強化すればいいのでしょうか。
専門医の楠山弘之先生に解説をしていただきました。
体操も紹介しています。ぜひお試しください。

もちろん、尿漏れを自覚したら泌尿器科で診てもらうことが重要です。専門医の治療方針に従ったうえで、記事で紹介する体操も無理のない範囲で試してみてください。



尿漏れの原因はおなかに力が入って漏れる「腹圧性尿失禁」が最も多い

大笑いやクシャミ、咳をしたとき、重い物を持ったときなど、おなかに力(腹圧)が入った拍子に尿が漏れてしまう人はおおぜいいます。
この腹圧によって起こる尿漏れ(尿失禁)は腹圧性尿失禁といい、患者数が最も多く、尿漏れの人の半数以上を占めているとされます。

腹圧性尿失禁は、大笑いをしたときに尿が少しだけ漏れる程度なら初期段階。
重症化すると、イスから立ち上がったり歩き出したりするなど、体をほんの少し動かしただけでも尿が漏れるようになります。

腹筋と「快尿筋」の衰えが尿漏れの原因に

では、腹圧がかかるとなぜ尿漏れするのでしょうか。

膀胱にたまった尿は、尿道を通って体の外に排出されます。このときに尿を出したり止めたりしているのは、尿道括約筋や快尿筋(正式には骨盤底筋群という)です。
これらの筋肉が縮んだり緩んだりすることで、排尿はコントロールされています。

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快尿筋はいわば水道の蛇口のような存在で、正常に働いていれば、尿道がきちんと締められるので、尿が漏れることはほとんどありません。

ところが、年を重ねると手足の筋肉が衰えるように、快尿筋などの体の奥深くにある筋肉も衰えていきます。
すると尿道を締める力が弱くなり、腹圧が少しかかっただけで尿が漏れてしまうのです。

また、尿を出す働きには腹筋も深く関係しています。運動不足や肥満などによって腹筋が衰えると、腹圧が直接、快尿筋を刺激して尿漏れしやすくなるのです。
特に女性は、男性と比べてもともと腹筋が弱いといえます。そのため、40代以上の女性は、腹圧性尿失禁になりやすいのです。

出産やタバコも腹圧性尿失禁の原因に

そのほかにも、腹圧性尿失禁は
●出産経験がある人
●便秘ぎみの人
●喫煙している人
に、多いという特徴があります。

まず、出産時に快尿筋を傷めやすいことが、出産経験のある女性に腹圧性尿失禁が多い原因とされます。
また、太って内臓周囲に脂肪がついていると、快尿筋に加えて腹筋も弱くなり、尿漏れが悪化します。

さらに、便秘でよくいきむ人も、快尿筋に負荷がかかるために衰えを進める原因になります。

腹圧性の尿漏れを防ぐには「骨盤底筋体操」と「腹筋強化体操」がおすすめ

腹圧性尿失禁を改善させる方法は、実は難しくありません。
快尿筋を鍛える体操、一般的には骨盤底筋体操と呼ばれますが、この体操がとても有効であるとされています

体操と聞くと、「大変そう」と思う人もいるかもしれませんが、決して大変ではありませんので安心してください。最も一般的とされる骨盤底筋体操のやり方は以下のとおりです。
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そして、これらの体操に加え、ぜひ実践していただきたいのが腹筋を強化する体操です。このタイプの尿漏れで悩んでいる人は、腹筋が衰えている人も多いからです。

腹筋を強化することで、快尿筋も刺激されるため尿漏れの改善に役立ちます。私がすすめている腹筋強化体操は以下のとおりです。

①床の上に、あおむけに寝て足を床から少し上げます。
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②その状態からひざを曲げたり伸ばしたりします。
 このとき、尿道や膣、肛門を意識して締めるといいでしょう。
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①と②を10~20回くり返してください。

この体操は、腰への負担も軽いために腰痛の人でも無理なくできるのではないでしょうか。尿漏れの改善のためには、とにかく自分で改善させようとする気持ちが大切です。

その気持ちを強く持って、これらの体操にチャレンジしてみてください。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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※記事の執筆ドクターが特定商品の購入等を推薦するものではありません。

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