ウポポイって知ってる?いま学びたいアイヌの文化と健康的生活|カラダネ

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ウポポイって知ってる?いま学びたいアイヌの文化と健康的生活

解説 asatan編集部
カラダネ編集部

アイヌ文化の復興と発展を願う民族共生象徴空間、「ウポポイ」が2020年7月にオープンしました。北海道白老町ポロト湖付近に位置しています。「ウポポイ」は「(大勢で)歌うこと」を意味するアイヌ語で、アイヌの音楽に合わせてう歌うプログラムなどが開催されています。

「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(略:「アイヌ民族支援法」)が2019年4月19日に国会で成立し、同年5月24日に施行されました。
この、「アイヌ民族支援法」は、アイヌ民族を初めて先住民族と明記し、従来の文化振興や福祉政策に加えて、地域や産業の振興などを含めたさまざまな課題を解決することを目的とした法律です。この法律の施行のもと、いまアイヌ文化に多くの注目が集まっています。

アイヌ民族は北海道各地、樺太やサハリンなど広範囲で居住していたと多くの研究資料で明らかになっていますが、今回は膨大な情報量を持つ、旭川の観光・グルメ・ニュースをまとめているキュレーションサイト、【asatan】から、アイヌの文化と生活を探っていきましょう。旭川にもアイヌを知ることができる場所がいくつかあり、アイヌの痕跡を辿ることができます。

GoToトラベルキャンペーンが実施されているいま、冬の北海道には魅力的なスポットがさらに増えています。アイヌの歴史を学びながら、旅行を楽しんではいかがでしょうか。

旭川で知る、アイヌの文化と生活

国立アイヌ民族博物館などからなる『ウポポイ』のオープンが迫るなか、アイヌへの関心が高まっています。旭川にも【アイヌを知ることができる場所】がいくつかあり、文化や生活を知ることができます。今回は身近な場所に残るアイヌの痕跡を探ってみました。

旭川周辺にも、もちろんアイヌの人たちは住んでいました。
彼らは、地名から『上川アイヌ』と呼ばれていたんだとか。

『上川アイヌ』に限らず、アイヌの人たちにとって、生き物・自然すべてが神であり、あらゆることに感謝をしながら生活していたそうです。

アイヌの人たちは神をカムイと言っていました。
そして神の世界では、神は人間の姿をしており、人間の世界に来る時に動物などの姿になると考えられていました。

旭川には、神居・神居古潭と『カムイ』と付くエリアが存在します。
『上川アイヌ』にとって、現在の旭川周辺は豊かな自然や生き物との繋がりなど、生活していく上で欠かせないもの土地だったのかもしれません。

そんなアイヌの人たちの文化や生活を知り、感じることができる場所をいくつかご紹介していきます。

【自然との繋がり】アイヌ文化の森・伝承のコタン

嵐山に『アイヌ文化の森・伝承のコタン』と呼ばれるエリアがあるのをご存じですか?
自然豊かな嵐山にある『アイヌ文化の森・伝承のコタン』は、『上川アイヌ』の人々と自然との関係を知ることができる場所。

アイヌ文化の森・伝承のコタン』には嵐山公園センター(アイヌ資料館)や住居のチセなどを見ることができますが、車を停め、資料館へ向かう道のりでも、自然を体感することができます。

▲施設までの道に架かる『チノミシリルイカ橋』/出典:asatan

山一面の木々を眺めながら橋を渡ります。
冬の時期に行くと、視界に広がる真っ白な世界がとても幻想的です。

橋を渡り終えると嵐山公園センターが見えてきます。

中にはアイヌと自然・植物との繋がりを示す、貴重な資料がたくさん!

▲アッシとよばれる衣服/出典:asatan

お祭りやお祈りなど儀式の時に着るこの衣服。
実は『オヒョウ』という木の皮からできているんだとか。

▲オヒョウの樹皮/出典:asatan

皮を細く裂いて織具を使い生地にしているのですが、とても時間のかかる作業で、1着作るのに2~3か月かかるんだとか。

オヒョウのほかにも、様々な樹木の皮や草木を使って生地にしていたそうです。

また、樹木は交通の手段として使用していた船にも活用されています。

▲丈夫な樹木を厳選して作られた船/出典:asatan

嵐山付近の川を渡るのに必須である船。

バランスを考慮し、重い部分が下になるように造るなど知恵を活かして造っていたそうです。

樹木を上手に取り入れた生活をしていたことがわかりますね。
また、嵐山で採れる自然の木の実や花々は食料として貴重な資源だったようです。

▲オオウバユリを発酵させ保存食にしたもの/出典:asatan

デンプンを取り出して薬にしたり、繊維を発酵させて保存食として少しづつ食べたり。
植物をいろんな面で活用していたといいます。

嵐山は自然が豊かで、食用の木の実がたくさん採れるため、アイヌの人々にとってとても大事な場所であったと想像できます。

施設から外に出て少し山を登ると、『チセ』と呼ばれるアイヌの住居が再現されています。

▲集会などに利用されていた広さのチセ/出典:asatan

アイヌの人たちは、その場所に多くある植物を使ってチセを建てていたそうです。
ここのチセは、この土地に多く茂る『ササ』を使って建てられていて、いくつものササが織られた壁はとても頑丈です!

一歩外へ出ると雪景色で、昔の時代にタイムスリップしたような感覚に♪

このチセを含め、ここ嵐山一帯は日本遺産に認定されています。

▲資料館を案内してくれた堀江さん/出典:asatan

案内してくれた農学博士の堀江さんは「ここでは上川アイヌならではの生活の様子を垣間見ることができます。さらに、雪が解けるとアイヌの人が活用していた草花が、実際に咲いている様子も見ることができます。アイヌと自然との繋がりを感じられる、ほかにはあまりない施設なので是非多くの人に来てほしいです」と話します。

〜施設情報〜


店名:アイヌ文化の森・伝承のコタン
住所:北海道上川郡鷹栖町9線
電話:0166-55-9779
営業時間:9:00~17:00
定休日:第2・第4月曜日
駐車場:あり

【アイヌの生活と神との関係】旭川市博物館

旭川市博物館では、アイヌの人々の暮らしや、生き物、神との関係を知ることができます。

広い館内には、人形を用いたジオラマや、全道にわたって収集された民具など様々な資料が並びます。

▲復元されたチセの外観/出典:asatan

こちらに展示されているチセもやっぱりササを使って復元されたものです。

当時、冬はチセの周囲に雪が積もったままの状態にしたり、炉の火を絶やさないことで、熱を逃がさないようにしていたんだとか。

そのほか生活に必要な鉄製品や漆器などは、交易で手に入れていたんだとか。
ちなみに、アイヌの人たちが交易品としていたのは、サケやクマの毛皮、オオワシの羽などなど!

▲今にも動き出しそうな人形のジオラマ/出典:asatan

上川地区には川が多く、1戸あたり数千のサケを捕獲していたといい、そのサケを交易品にしていました。

アイヌの人たちにとって多くの生き物は神からの恵みです。

そのため、恵みを与えてくれた神に感謝し、神の魂を神の世界へ送り返す儀式を行ないます。

▲熊の頭骨を使用した儀式の品/出典:asatan

魂を神の国に送り返す儀式は生活の道具などに対しても行ないます。
旭川で発見された現代の儀式の跡には、赤ちゃんのおもちゃも置かれていました。

ボヤ~っとした見た目のケースが、なんだか神秘的な雰囲気。

生き物は生活に欠かせない衣服にも利用されています。

▲生き物の皮や植物を使用した靴/出典:asatan

厚いサケの皮を用いた靴、滑り止めにヒレが靴の底面にくるようにするなど、知恵を活かし、用途に合わせて様々な生き物を活用していました。

▲儀式の時に使用していた冠/出典:asatan

先に、熊の頭を模した飾りが付いた冠。

諸説ありますがある有名な民芸品の元になったとも言われているんです。

▲初期の頃の木彫りの熊/出典:asatan

それは!!
今や北海道の定番土産として有名な木彫りの熊です。
初期の頃の作品は今とだいぶ形が違いますよね。

自身もアイヌである作者、松井梅太郎は狩りで捕り逃がした熊のことが忘れられず、木彫りの熊を彫り始めたと言われています。
なんとも意外な理由。

それがどんどん進化してリアルな熊の木彫りとなり、交易品や土産物としてアイヌの人たちの生活を支える物になっていったようです。

▲館内を案内してくれている様子/出典:asatan

案内してくれた旭川市博物館の方は「ここでは【上川の自然と歴史】【アイヌの歴史と文化】にしっかりエリア分けされていてとても見やすくなっています。修学旅行で訪れる学生さんや、高齢の方まで、いろんな人に分かりやすくアイヌの魅力を知ってもらえたら」と話します。

当時の情景をリアルに体感できる旭川市博物館。
アイヌの生活の一片を覗いているような錯覚に陥る空間です。

〜施設情報〜


店名:旭川市博物館
住所:北海道旭川市神楽3条7丁目1 旭川市大雪クリスタルホール内
電話:0166-69-2004
営業時間:9:00~17:00(16:30最終入館)※3月25日(水)まで休館
観覧料:大人300円/高校生200円/中学生以下無料※4月1日より料金改定のため詳しくはHPで
定休日:第2・第4月曜日(祝日の場合翌日休み)※6月~9月は無休
駐車場:あり
HPhttps://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/hakubutukan/

この記事の続きは【asatan】でお読みください。
《旭川で知るアイヌの文化と生活》

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