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ぬか床と暮らそう|ぬか床は栄養の宝庫!?

解説 医師・料理研究家 河埜玲子

米ぬかを発酵させたぬか床は、野菜に含まれている乳酸菌や、ビタミン・ミネラルも増やすため、「栄養の打ち出の小槌」とも言えるかもしれません。

本記事ではなぜ、ぬか床に漬けると栄養価が増えるのかを解説します。
読めば早速、自前のぬか床を作りたくなるかもしれません。

解説:医師・料理研究家 河埜玲子

ぬか床に漬けると栄養価が大幅アップ!?

ぬか床の原材料になるのが、米ぬか。米ぬかとは、玄米から白米(胚乳)に精米したときに出る茶色い粉末のことで、この中には白米を覆っている胚芽とぬか層が含まれています。米ぬかは、玄米の栄養そのものといってよく、主な有効成分として、次のようなものがあげられます。
●たんぱく質
●脂質
●炭水化物
●ビタミンB群
●ビタミンE
●ミネラル(マグネシウム・カルシウム・鉄・リン・カリウム・亜鉛など)
●食物繊維

そのほか、動脈硬化を予防するイノシトール(ビタミン様物質)、細胞の酸化を防ぐフェルラ酸、血圧を安定させるギャバ(γ−アミノ酪酸)なども豊富に含まれています。

この米ぬかに塩と水、野菜くずなどを加えてよく混ぜ、発酵させたものが「ぬか床」です。発酵が始まったぬか床では、乳酸菌や酪酸菌、酵母などが盛んに繁殖します。そこに野菜を漬け込むと、微生物が野菜に含まれているたんぱく質をアミノ酸に、炭水化物を糖質に分解し、ぬか漬け特有の風味やうま味、酸味が生まれます。

また、ぬか床の各種栄養や、発酵の過程で微生物が合成したさまざまなビタミンも野菜に吸収された結果、もとの野菜よりも栄養価が大幅に高いぬか漬けができあがるのです。たとえば、大根を漬けた場合、ビタミンB1が16倍、ビタミンB2が4倍、ビタミンB6が5倍、カルシウムが2倍に増えるという報告もあります(7訂増補食品成分表より)

日本人の食生活の貧しさを考える

現代は飽食の時代といわれていますが、実はビタミン全般、カルシウムや鉄分などのミネラル、それに食物繊維の摂取量が不足しています。これはインスタント食品や加工食品の多食、無理なダイエット、朝食抜きの習慣などが蔓延しているせいでしょう。

昭和、平成、令和と時代を経るごとに、私たちの食生活は豊かになったかのように思えますが、栄養面から見れば、むしろ日本人の食生活は貧しくなっていると言えるかもしれません。

例えば食物繊維。摂取量は戦前の4分の1程度まで減っています。食物繊維が体内に入ると、腸を通過するときに余計なコレステロールや老廃物、毒素を吸収し、便として排泄されるほか、腸内の善玉菌を増やす働きもあるのです。しかし、食物繊維の摂取量が減れば、腸内環境も悪化してさまざまな不調が表れやすくなるでしょう。

多くの研究者が指摘するように、近年、日本人に高血圧や糖尿病、脂質異常症(血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪が異常に増えた状態)が急増しているのも、食物繊維の摂取不足がかかわっていると考えられます。(日本人の食事摂取基準2015年版)

また、ビタミンやミネラルの摂取不足も、さまざまな病気や体調不良の原因になっていると考えられることから、私たち一人ひとりが食生活を全般的に見直す時期がきているのはないでしょうか。

旬の野菜を漬ければ効率的に栄養を補える

その手始めとして、ぬか漬けを作ることほど簡単で効果的な食事の改善はないと思います。ぬか漬けのように多様な栄養素や体にいい微生物を補える食品はそう多くはなく、同じ野菜から食物繊維をとる場合も、ぬか漬けなら生野菜の1/4から1/3の量で足りてしまうのです。

年間を通してぬか漬けを作るようになれば、旬の野菜に興味を持つようになるでしょう。旬の野菜は味がいいだけでなく、栄養価も高いので、ビタミンやミネラルなどをより効率的に摂取できます。

「夏のきゅうりはみずみずしい」「冬の大根は甘味が強い」など、ぬか漬けを通して、初めて味の違いに気づかされる人もいるでしょうし、それをきっかけにして、ふだんの食事を見直すことにもつながります。

近ごろ自分の健康が気になっていたり、いい食生活を送れていないと思っていたりする人は、まさに今が「ぬか床生活」の始めどきです!
次回の記事では、実際にぬか床を作り方を紹介します。

引用/出典

わかさ夢MOOK106|ぬか床をを育てて健康になる!

出典名:ぬか床を育てて健康になる!キレイになる!最高のぬか漬けレシピ
発行:株式会社わかさ出版
発売日:2019年7月1日
定価:900円+税
本書をお求めの場合は、お近くの書店でのご注文、または、Amazon楽天ブックスでも購入できます。

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