日本ではまだ一般的になっていないハトムギの使い方があります。それが、ハトムギをたっぷりのお湯でゆでて作る「ハトムギ水」。

ハトムギ水は、台湾では 「薏仁(イーレン) 水 」、シンガポールやマレーシアなどでは「バーリーウォーター」と呼ばれ、日常的に飲まれている国民的な飲み物です。

ハトムギは、鉄やカルシウム、マグネシウムなどのミネラル（無機栄養素）、アミノ酸（たんぱく質の構成成分）も豊富。栄養価の高さから高温多湿の東南アジアでは、夏季の熱中症や夏バテ対策に冷やしたハトムギ水を飲む習慣があり、温めたハトムギ水をカゼ薬の代わりとしても役立てているのです。

また、多くの女性がハトムギ水の入ったボトルを携行し、外出先や職場で飲んでいますが、 これは紫外線からくる肌トラブルを防ぐためでもあります。

ハトムギには新陳代謝を活性化して肌の保湿力や透明度を高める働きがあり、ハトムギ水を飲むことは、体の内側からスキンケアをすることと考えられているのです。

ほんのりとした甘みのハトムギ水には、たんぱく質やでんぷん、食物繊維も溶け込んでいるので、重湯のようにトロッとしています。小腹が空いたときに、コップ1杯ほど飲むと腹持ちがよく、間食も省けてダイエットに役立つでしょう。

漢方の原材料である生薬として、ヨクイニン（ハトムギの子実）はむくみや下痢、関節痛、尿量の減少といった症状に効果的とされています。

このほか、最近の研究でも動脈硬化や高血糖、高コレステロールの抑制、肝機能の改善に役立つ可能性を示唆する報告もあります。

こうした体調不良や生活習慣病を予防するためにも、ハトムギを日々の食習慣に加えたいところですが、ご飯やおかずとして毎日とるのは少し手間がかかるかもしれません。そんなときは、ハトムギ水を作り置きして自宅や外出先で飲むようにすれば、その1杯がみなさんにとっての薬水になってくれます。

私のまわりでも、ハトムギ水を試した人の多くがいろいろな体調の改善を実感しています。

比較的変化が現れやすいのは、むくみやだるさ、軟便などです。知人の女性は夕方になっても足に疲れやむくみが出なくなったと話していました。また、便の調子を整える働きもあり、軟便や下痢が治まったという人もいます。

さらに数週間から数ヵ月にわたってハトムギ水を続けると、 肌質や体重、体型、体調にも変化が現れてくるでしょう。同時にめまいや関節痛といった不快症状、それに健康診断の検査値も改善した人も少なくありません。

まずは、のどが渇いたときにハトムギ水を1杯飲む習慣から始めてください。

ハトムギ水の作り方はとても簡単で、よく洗ったハトムギをお湯でゆでるだけ。余ったハトムギ粒は、おかゆや料理の材料になるので、余さずに使いきることができます。

ハトムギ水は、温かいまま飲めば、ほのかに甘い香りとコク、トロリとした口当たりが楽しめます。夏は冷やしたハトムギ水を保冷水筒に入れて持ち歩けば、どこでものどの渇きを癒やせて、ハトムギの栄養も補給できるでしょう。

風味に変化をつけたいときは、ハチミツやショウガ、レモングラスなどのハーブを加えてもいいかもしれません。

まろやかな味わいのハトムギ水に、ワンポイントの味と香りが加わると、毎日飲んでも飽きることがなく、ノンカフェインなので子供も喜んでゴクゴク飲んでくれます。

ハトムギ水のくわしい作り方は、下の出典にあるわかさ夢MOOK『手作りハトムギ水でシミ・イボが消え美白肌！やせる！病気が逃げる！』をご覧ください。

キメの細かい美白肌をめざす人向けのハトムギ美容水や、血圧・血糖値を気にする人に役立つとされるハトムギ酢も紹介しています。