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【黒酢のすべて】原料や製法、含有成分と期待できる効果、活用法を食の専門家が解説

解説実践女子大学名誉教授
田島 眞

みなさん、黒酢については存在を知っている人は多いものの、意外に使ったことがない人も多いと思います。

黒酢ってなに?そもそもなんで黒いの?味はどんな感じ?期待できる効果は?……

疑問に感じたことを、食品学の専門家である田島眞先生に話を聞きました。

黒酢とは。なぜ黒いの?どうやって作られるの?

テレビや雑誌などを通じて、すでに健康食として多くの人に知られている黒酢。米酢よりも酸味がまろやかで、コクがあるおいしい酢として人気になっています。

この黒酢がなぜ黒いのかをご存じでしょうか?

黒酢は、基本は精米をしていない玄米や精米度の低いお米が主原料です。
アミノ酸が豊富に含まれているのですが、醸造段階でこのアミノ酸が糖と反応して色が変化することで、黒酢独特の濃い色が生まれます。

つまり、黒酢が濃い色をしているのはアミノ酸が豊富な証拠であり、このアミノ酸によってさまざまな健康効果が期待できるというわけです。
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黒酢の作り方や産地

黒酢の産地で有名なのは鹿児島県の福山地方です。この地域では、主に薩摩焼のアマン壺(つぼ。アマンとは地元の言葉で酢のこと)を使って、壺の中でお酢を発酵・熟成させるそうです。

作り方を簡単に説明すると、玄米(もしくは精米度の低い米)で米麹を作ります。この米麹と蒸し米を壺の中に入れ、水を足して仕込みます。
すると太陽熱、地熱、さらには日中と夜間の寒暖差によって壺の中で発酵が進みます。その間、撹拌したり見回ったりといった手をかけつつ、約半年後には酢が出来上がるそうですが、そこから1〜2年かけて熟成させることで黒酢ができあがります。

こうして長い時間をかけて自然に発酵熟成させた黒酢は、大事の恵みよって作られる醸造酢で、健康維持に役立つ成分がたっぷり含まれています。ちなみに、福山地方にある黒酢の醸造所には広大な敷地の中にアマン壺がたくさん並んでおり、まさに黒酢畑とも呼べる光景が広がっています。

黒酢コラム 香醋(こうず)とは?
中国の家庭で一般的に使われる黒いお酢で、福山地方の黒酢と違って原料はもち米です。鎮江香醋が有名ですね。作り方は似ていて、もち米を発酵させたあとで酢酸菌を加えて酢化させたのち、熟成させます。熟成するためアミノ酸の濃厚な風味があり、酸味はまろやかなのが特徴です。

黒酢に期待できる健康効果①血液サラサラ

黒酢は薬ではないので、とって病気を治ることはありません。とはいえ、栄養素がとても多く含まれており、健康維持に役立つ可能性があると複数の専門家が指摘しています。

まず第一に、血液サラサラ効果が期待できます。

血液中の赤血球には、「変形能
(自在に形を変える能力)」が備わっており、その能力で全身の毛細血管に酸素を運ぶことができます。この変形能が血中脂質や血糖が増えすぎて衰えると、血液がネバついて流れが悪くなり動脈硬化が進行します。
動脈硬化は、脳梗塞や心筋梗塞などさまざまな病気の原因になるため、予防には赤血球の変形能を高めて血液をサラサラにすることが重要なのです。

ほかの酢と同様、黒酢の主成分は酢酸です。
もともと酢酸には、赤血球の変形能を高めて、血液をサラサラにする働きがありますが、黒酢にはそれに加えてアミノ酸の一種「アルギニン」がたっぷり含まれています。アルギニンは、体内で一酸化窒素を作り出し、血管を拡張させて血液の流れをスムーズにします。

つまり、アミノ酸が豊富な黒酢は、ほかの酢よりも強力な血液サラサラ作用が期待できるのです。それはさまざまな試験で確認されています。

黒酢の血液サラサラを調べた試験結果

黒酢の血液サラサラ作用を裏づけた試験もあります。
独立行政法人食品総合研究所(現農研機構食品研究所)のグループは、脳卒中と糖尿病の2人に大さじ1杯分(15ml)の黒酢を水で10倍に薄めて飲んでもらい、2時間後の血流の変化を調べています。

その結果、MC-FAN(血液流動性測定装置)で測った血液通過時間は、1人が黒酢の摂取前に53.4秒だったのが、摂取後は37.2秒に短縮。もう1人も、摂取前に43.2秒だったのが摂取後は33.2秒に短縮しました。これは、黒酢が血液をサラサラにして血流をよくしていると考えられます。

また、黒酢の血液サラサラ効果は、栗原クリニック東京・日本橋の栗原毅院長が行った別の試験でも確認されています。
この試験でも、大さじ1杯分の黒酢を水で薄めて被験者に飲んでもらいました。すると黒酢を飲んだ2時間後には、被験者の3分の2に血流促進作用が確認できたそうです。

さらに、栗原院長はMC-FANを使って、黒酢のほかにも、数十種類の食品や成分の血流促進作用を調べています。その結果、1位は黒酢で、以下は梅肉、黒豆、羅漢果(中国特産の果物)、イソフラボン(大豆などに含まれる成分)、魚油、イチョウ葉エキス、ビール、麦茶、紅茶などが続きました。

黒酢に期待できる健康効果②抗酸化作用

黒酢に期待できる健康効果として、もう一つ特筆すべきは強い抗酸化作用です。

抗酸化作用とは、体内で過剰に発生した活性酸素を消去する働きのこと。活性酸素は本来、ウイルスや病原菌から体を守る大切なものですが、過剰に増えると動脈硬化が進んで、高血圧や脂質異常症(高脂血症)などを引き起こすほか、シミ・シワなどを増やし、肌を老化させる悪影響もあります。

黒酢の抗酸化作用は、黒酢の濃い褐色を生み出す成分「メラノイジン」によるものとされます。

食品メーカーと大学との共同研究では黒酢と米酢、果実酢などの抗酸化力を比べ他ところ、黒酢が最も高い抗酸化力を示しました。毎日黒酢をとることを習慣にすれば、みなさんの体のサビつきを防いで健康を維持し、若々しい肌を保つのに大いに役立つことが期待できます。

黒酢に多い成分とは

これほどまでに効果が期待できる理由には、黒酢が高栄養な点があげられます。

黒酢には酢酸に加え、乳酸やクエン酸、リンゴ酸、コハク酸などの有機酸(酸の性質を持つ有機物)が含まれ、酸っぱい味のもとになっています。
また、ビタミンB1・B2・B6・B12などのビタミン、マグネシウム、カルシウム、鉄などのミネラル、それにたんぱく質を構成するアミノ酸が豊富に含まれています。

アミノ酸は黒酢の風味とおいしさのもとになり、その含有量は市販の米酢の10〜20倍にも及びます。しかも、バリン、スレオニン、リジン、メチオニン、ロイシンといった人間の体内では合成できない必須アミノ酸が多く含まれているのが黒酢の特徴です。

黒酢のとり方。どんな料理に合う?

基本的に、黒酢はどんな料理に使っても合わないことはありません。とはいえ、黒い色がついているので、色がつくことで見栄えを損なう料理には向きません。

黒酢の特徴は、なんといってもアミノ酸たっぷりのうまみ。
そのため、特にコクを出したい料理にはおすすめ。例えば、酢豚やあんかけなどの中華料理に使うと、黒酢の特徴が最大限に生かせます。
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もちろん、餃子やシュウマイのつけだれ、バンバンジーやチャーハン、あんかけ焼きそばなどにも抜群の相性です。

最後に、黒酢は料理に使うだけでなく毎日飲んでいるという人もおおぜいいます。大さじ1杯の黒酢を約150mlの水で割って飲む方法などは一般的。
ぜひ、試してみてください。

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この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/©カラダネ

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