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サトウキビから作る【キビ酢】どんな味?期待できる効果から製法・活用法まで全部まとめ

解説実践女子大学名誉教授
田島 眞

一説によると世界にはお酢が4000種以上あるとされ、5000年も前から活用されてきたといわれます。数あるお酢の中でも、日本でブームになり今や定着した感のあるお酢といえば「キビ酢」ではないでしょうか。

テレビや雑誌などでもたくさん取り上げられたせいで、全国のデパートやスーパー、通信販売などでも手に入るようになり、買って飲んでいる人もいると思います。


食品学の専門家である田島眞先生に話を聞きました。

長寿の島ではキビ酢が利用されていた

キビ酢は鹿児島県と沖縄県の間にある、奄美地方に400年前(江戸時代)から伝わる天然酢です。キビ酢はもともとは加計呂麻島という小さな島でしか作られておらず、以前は有名なお酢ではありませんでした。

ところが、奄美の人々は長寿であることが統計学的にもわかり、島の人の生活が注目されるようになったのです。特にサトウキビから作られる食品がよく食べられており、その中でもサトウキビと水だけで作られるキビ酢が脚光を浴びたというわけです。
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キビ酢コラム 奄美の人はどのくらい長寿か
人口10万人当たりの100歳以上の長寿者を見ると、全国平均が18.05人であるのに対し、奄美では64.86人に達しています。この数は、沖縄の約1.5倍に相当するそうです。実際、奄美の人は若々しく、80代90代でも現役で農作業に従事している人が多いそうです。

キビ酢の味や香り、色、製法など

キビ酢の色

茶色っぽい色。サトウキビから作る黒糖をご存じだと思いますが、黒糖とはいえ砕くとかなり茶色っぽい色をしているのがおわかりいただけると思います。まさに、あの色です。

キビ酢の味と香り

サトウキビが原料のため、まずは甘い香りがします。お酢特有のツーンとした匂いは感じないと思います。口に含むと、やわらかい酸味(酸っぱさ)を舌が感じますが、続いてほのかな甘みが現れます。料理はもちろんのこと、ふつうに飲んでもツンとしないおいしいお酢としておすすめです。

とにかく、まろやかで料理や飲むなど何にでも使いやすいという感想が多く聞かれます。

キビ酢ができるまで

キビ酢は、サトウキビと水だけが原料。サトウキビは、毎年1~3月に収穫し圧搾機にかけて糖水(しぼり汁)を取り出します。
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糖水を200度Cの高温で4時間以上炊き上げることを2度くり返し、一定の糖度になるまで煮詰めたあと、煮汁を天然水で薄めてタンクに写し、酢酸菌の力だけで1〜2年発酵させる。発酵が止まったら割水をして貯蔵庫で1〜数年熟成させれば完成。ちなみに、キビ酢1ℓ作るのにはサトウキビは3kg必要とされます。

キビ酢には降圧ミネラルがたっぷり

キビ酢は、一般的によく使われる米酢とは異なり、ミネラル(無機栄養素)が豊富に含まれているのが特徴。それによって健康効果(健康維持に役立つ働き)が期待できます。

キビ酢に多く含まれるミネラルで特徴的なのは、カルシウム・マグネシウム・鉄・カリウムの4種類の栄養素です。
カルシウムの含有量を比較してみると、100ml当たり米酢が2mg、リンゴ酢では4mgしか含まれていないのに対し、キビ酢の含有量は29.5mgと7〜15倍にも上るのです。マグネシウム・鉄・カリウムについても3〜10倍の含有量を誇っています(くわしくは上のグラフ参照)。

これらカルシウム・マグネシウム・鉄・カリウムの4つのミネラルは、いずれも高血圧の予防効果が期待できるとされ、「降圧ミネラル」と呼ばれることもあります。また、キビ酢には血圧の上昇を招くナトリウムは、わずかしか含まれていないという利点もあります。

ダイエットや美肌を気にする人にもおすすめ

もちろんこれらのミネラルは、高血圧予防以外にも健康維持の手助けをしてくれます。カルシウムはみなさんもご存じのとおり、骨や歯の主要な成分であり骨粗鬆症(こつそしょうそう。骨がスカスカになる病気)の予防につながります。さらに、カルシウムは血圧の上昇や動脈硬化の進行を防ぎ、イライラを抑える作用もあることがわかっています。

マグネシウムは、脂肪の燃焼に欠かせないミネラルで、ダイエットしたい人にはおすすめ。また、血管壁へのコレステロールの沈着を抑えて動脈硬化を予防します。さらにマグネシウムは、皮膚の保湿成分を増やし、肌に潤いをもたらす働きもあります。

鉄は赤血球の材料となり、不足すると貧血が起こります。そのほかにもカリウムには、尿酸の排出を助けて痛風を予防する効果が期待できたり、高血圧の原因となるナトリウムを抑える働きもあったりします。

ポリフェノールが多いので老化予防全般に役立つ

ミネラルだけではなく、ポリフェノール(光合成によって生じる植物の色素成分)も豊富です。

ポリフェノールといえば、緑茶のカテキンや赤ワインのアントシアニンの総称。健康維持にやはり欠かせない成分です。そのポリフェノールがキビ酢には1ml当たり約1.2mgも含まれています。約0.1mgの米酢とはケタ違いで、比較的多い約0.6mgの玄米酢と比べてもとても豊富です。

ポリフェノールにはさまざまな働きが期待できますが、やはり老化の原因になる活性酸素を撃退する点が大きいのではないでしょうか。これを抗酸化作用といったりしますが、ポリフェノールは抗酸化作用が大きいといわれています。

つまりは、見た目を若々しく保ちたい人や、病気を予防し体調を維持したい人にはとてもおすすめです。

キビ酢のとり方と活用法

キビ酢は、とにかくまろやかで使いやすいのが特徴。
例えば、高血圧の予防にはふだんの食事で減塩を心がける必要があります。確かに、酢は減塩に効果的な調味料ですが、そのにおいや酸味が苦手な人は、酢を使った減塩食を続けるのは難しいと思います。いくら酢が体にいいとはいえ、続けなければ意味がありませんよね。

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キビ酢は島の人が愛情を込めて手作りしている

そんな人にこそ、酢特有の酸っぱいにおいが少なく、味もほのかな甘みが感じられるキビ酢がおすすめ。実際、薄めてドリンクにしてもクセがないのでおいしく飲めたり、煮物や焼き魚、漬物に使うなど広く利用できます。生産地の加計呂麻島で、毎日の食事に欠かせないものとなっているのも大いにうなずけます。

以下、地元でのキビ酢のとり方をご紹介します。
❶キビ酢ウォーター
コップ1杯の水(約200ml)に大さじ1のキビ酢を加え、1日2杯を目安に飲む。それだけでおいしく飲めるが甘みが欲しいときは黒糖を加えるといい。

❷きみ酢ドレッシング
卵黄6個を溶いて、卵黄と同じ分量のキビ酢をまぜ合わせる。水溶き片栗粉大さじ1を加え、湯せんしながらかき混ぜる。とろみが出たらしょうゆ大さじ1を加え、混ぜ合わせる。

❸つけ汁
刺身をキビ酢の酢じょうゆで食べたり、ぎょうざやしゅうまい、鍋物のつけ汁に使う。

❹キビ酢漬け
ダイコンやカブ、らっきょう、カボチャ、リンゴ、パパイヤなどを酢漬けにしてもおいしい。

いかがでしたでしょうか。キビ酢をまだとったことのない人は、ぜひ一度試してみていただきたいと思います。

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この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/©カラダネ

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