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魚をよく食べる人は心臓病や脳卒中の割合が低いことが判明(大学教授が解説)

解説早稲田大学研究院教授
矢澤一良

「魚は健康にいい」
よくいわれますよね。でも、具体的にどう体にいいかご存じですか?なんと、魚を多く食べている人は、心臓病や脳卒中などの血管病にかかる割合が低いとわかっているのです。早稲田大学研究院教授の矢澤一良先生にくわしいお話を聞きました。

生活習慣病を予防するには、魚介類を積極的に食べることに加え、バランスのいい食事や適度な運動、十分な睡眠など、基本的な生活習慣を整えることが大切です。


魚を食べる量が少ない人ほど生活習慣病などでの死亡率が高い

四方を海で囲まれた日本では、古くから魚がよく食べられてきました。ところが近年、食事の欧米化が進んで、以前ほど魚を食べなくなりました。そうした食習慣の変化に伴って、さまざまな生活習慣病やその予備群が猛烈な勢いで増えているのです。

下の表は、元予防がん学研究所所長の平山雄氏が行った調査をまとめたものです。この調査では、魚を毎日食べる人の死亡率を1とすると、魚を食べない人は、脳血管疾患(脳卒中など)や心臓病、高血圧、ガンなどの生活習慣病で、1を上回る数値になっています。つまり、魚を食べる量が少ない人ほど、生活習慣病などでの死亡率が高いという結果が出ているのです。

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血管病による死亡者数はガンと同等

厚生労働省のまとめによると、現在、日本人の死因の1位はガン、2位は心臓病、3位は肺炎、4位は脳血管疾患です。


このうち、心臓病と脳血管疾患は、どちらも動脈硬化が原因で起こる血管病です。そして、心臓病と脳血管疾患による死亡者数を合わせると、1位のガンによる死亡者数と同じくらいになります。

動脈とは、血液が全身に酸素や栄養を運ぶための血管です。この動脈の血管壁が厚くなったり硬くなったりして老化し、血液の流れが悪くなった状態を動脈硬化といいます。

この動脈硬化が心臓の冠状動脈(心臓の筋肉に酸素や栄養を補給する血管)に起こると、心臓の働きが低下します。その結果、不整脈(脈の乱れ)が起こりやすくなり、狭心症や心筋梗塞といった命にかかわる心臓病を招くこともあります。

一方、脳の血管に動脈硬化が起こると、血管がつまって血液が流れにくくなります。すると、血管がつまった先の脳細胞は、酸素や栄養が不足して壊死を起こし、正常に働かなくなります。これが脳梗塞です。

また、動脈硬化で脳の血管が破れて出血し、周囲の脳細胞が破壊されてしまうのが脳出血です。こうした、脳梗塞や脳出血をまとめて脳卒中と呼びます。

魚油は血管と血液を若返らせて血管病の死亡率を下げる

心臓病や脳卒中を防ぐには、その原因となる動脈硬化を退けることが重要です。血管の老化は、年齢とともに誰にでも起こりますが、食生活などを見直すことで遅らせることができるのです。そのカギとなるのが、魚を積極的に食べて魚油を十分にとることなのです。

油は、含まれる脂肪酸の性質によって、大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。私たちが健康を保つには、不飽和脂肪酸の摂取が特に重要と考えられています。

さらに、不飽和脂肪酸は性質の違いから、n-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸に分けられます。以前は、n-6系のリノール酸が豊富な植物油は、動脈硬化の危険を下げると考えられてきました。しかし、現在ではリノール酸を長期間とり続けると、反対に動脈硬化の危険が増すことがわかっています。

そこで、今注目を浴びているのがn-3系脂肪酸。n-3系脂肪酸の代表的なものが、魚油のDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)です。

これらの脂肪酸には、血栓(血の塊)ができるのを防いだり、赤血球の柔軟性を高めたりする働きがあります。さらに、悪玉(LDL)コレステロールを減らして善玉(HDL)コレステロールを増やすなど、血管や血液を若々しく保つ働きのあることがわかっています。

最後に、農村と漁村に住む人たちを対象に行われた食事と血管病についての調査も紹介しましょう。

その調査では、1日に食べる魚の量は、農村が約90グラム、漁村が約256グラムでした。そして、調査の対象となった人の血液を調べた結果、漁村に住む人のほうが、血液粘度が低くサラサラしていて血流も速く、心臓病や脳卒中で死亡する人が明らかに少なかったのです。

魚を積極的に食べて魚油をとることが、動脈硬化が原因の生活習慣病を防ぐうえでいかに重要か、おわかりいただけたと思います。もちろん、生活習慣病を防ぐには、魚を食べることに加え、バランスのいい食事や十分な睡眠が重要なことを忘れないでください。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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