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便がカチカチで硬い弛緩性便秘には塩ヨーグルトがおすすめ。乳酸菌が活性化する?

解説 日本獣医生命科学大学名誉教授
寺田厚

腸の蠕動運動(ぜんどううんどう。内容物を先送りする運動)が鈍って、便が腸内に停滞してカチカチに硬くなる人は弛緩性便秘の可能性があります。
改善するには、乳酸菌や水溶性食物繊維をとることがおすすめだということは下記の記事で紹介しました。

それでは、具体的にどのような食品をとればいいのでしょうか。日本獣医生命科学大学名誉教授の寺田厚先生にお話を聞きました。

重い便秘で悩んでいる人は、消化器内科や胃腸科で専門医の治療を受けることが大切です。

食前の塩ヨーグルトジュースがおすすめ

このタイプの便秘の人は、腸内環境を整えて、腸の蠕動運動をもとの活発な状態に戻す必要があります。

加齢、運動不足、および偏った食生活によって腸の蠕動運動が弱くなると、腸内では便が停滞して健康を害する悪玉菌が増殖し、健康にいい影響を及ぼす善玉菌が非常に少ない状態になってしまうと私は考えます。すると、たまった便が腐敗して毒素を発生させ、蠕動運動がますます弱くなる悪循環に陥ってしまうのです。

こうした状態を改善するには、善玉菌を優勢な状態にすることが重要です。そこで摂取してほしいのが、善玉菌の代表ともいうべき乳酸菌がたくさん含まれているうえ、腸内の善玉菌を増やす働きがあるといわれるヨーグルトです。

さらに、ヨーグルトに塩を加えた「塩ヨーグルト」にすることによって、腸内環境の改善作用をさらに高めることができると考えられます。

腸内の善玉菌を増やすのにおすすめの飲み方は、プレーンヨーグルト100グラムにミネラルウォーター100ミリリットル、塩1グラムを溶かして作った塩ヨーグルトジュースです。1日3回、食前に1杯飲むことで改善する作用が期待できます。料理の材料として使うのもおすすめです。

塩ヨーグルトは、実はトルコで日常的に食べられているもので、ナトリウムは大腸粘膜を刺激して大腸を動かし、健康維持にも優れた作用を発揮すると私は考えています。

ナトリウムが乳酸菌の働きをより活発にして便の水分量も増やす

塩ヨーグルトジュースがおすすめの理由は、ヨーグルトと塩の相乗作用にあります。

まず、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、ブドウ糖や乳糖(牛乳などに含まれる糖)を分解して、乳酸を作り出す作用があります。また、乳酸菌の一種であるビフィズス菌は、乳酸のみならず酢酸も作り出します。乳酸や酢酸には、腸を刺激して蠕動運動を活発にする働きがあります。乳酸菌を多くとれば、腸の動きが活発になり、便秘が改善することが期待できるのです。

次に、塩の成分であるナトリウムは、ヨーグルトがつくりだした乳酸菌の働きをよりいっそう活発にする働きが期待できます。乳酸菌が最も活発に活動するのは、塩分濃度が血液や体液などの濃度に近い0.85%程度のときということがわかっています。塩ヨーグルトジュースの塩分濃度は、ヨーグルトに含まれる塩分を含めると約0.5%と少し薄めですが、塩分過多の傾向がある現代人にはこの程度が適当なのではないでしょうか。

また、塩ヨーグルトジュースは血液や体液に近く、飲むことで腸内の浸透圧が適度に調整され、保水性が高まる作用も期待できます。体内の水分が腸内に十分に取り込まれるようになって、便が軟らかくなると考えられるのです。さらに、便の体積も増えて排出されやすくなる可能性もあります。

便が腸内に停滞すると、便の水分はどんどん吸収されてしまうといいます。水分が吸収されると、便がさらに硬くなって排便が困難になり、便秘を悪化させてしまうと考えられます。塩ヨーグルトジュースを飲めば、こうした硬い便が軟らかくなり、慢性の便秘にも作用することが期待できます。

最後に、塩ヨーグルトジュースの作用には個人差があり、すぐに変化が現れる人もいますが、数週間かかる人もいます。また、弛緩性便秘を改善するためには、便秘がよくなったあとも3ヵ月から半年ほど継続するように心がけてください。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© カラダネ © Fotolia

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