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【不眠のセルフ改善法】眠りのスイッチを入れる「夕方肩回し」のやり方(熟睡に導く夜の過ごし方アドバイス付き)
夕方に深部体温(体の内部の体温)を上げて夜の不眠を改善する「夕方肩回し」。
この記事ではくわしいやり方をRESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック院長の白濱龍太郎先生にお聞きしました。
もちろん、不眠で苦しんでいる人は一度専門医に診てもらうことが大切です。その上で、記事のセルフケアも試してみてください。
「夕方肩回し」のやり方
それでは、「眠りのスイッチ」を入れるためのとっておきの方法、「夕方肩回し」のやり方を紹介しましょう。
この運動は、就寝の3時間以上前に行ってください。ただし、人によっては夕食の時間とぶつかるかもしれません。そのときは、消化不良を起こさないためにも、できれば、食事の前に行ったほうがいいでしょう。
運動を行う姿勢は、立ったままでもイスに腰かけてでもどちらでもかまいません。ただし、柔らかいソファなどに座って行うと姿勢が不安定になるので、さけたほうがいいでしょう。
運動の手順は、次の通りです。
①胸を張った状態で、左腕のひじより上を右腕で抱え、左ひじを伸ばす。
②一肩甲骨まわりの筋肉が伸びていくのを意識しながら、上半身をゆっくり前に倒していく。
③前かがみの状態のまま、上体を右向きにねじって肩甲骨まわりの筋肉をさらに伸ばす。このとき、一肩を前に出すようにする。この状態を30秒間維持する。
①~③が終わったら、左右を逆にして同様に行う。この動作を右で5回、左で5回、計10回(約5分)ほど行う。
夕方肩回しを行うさいは、決して無理をしないようにしてください。がんばりすぎると交感神経(心身の働きを活発にする神経)が優位になって目がさえてしまい、かえって眠れなくなることもあります。
わずか5分程度しかかからない運動ですが、あわてずにゆったりした気持ちで取り組めば、副交感神経(心身をリラックスさせる神経)が優位になるので、心も体も落ち着いて、安眠へと導きやすくなります。
夕方から就寝までの過ごし方にも注意
快適な眠りにつくには、夕方から就寝までの過ごし方も重要です。夕方肩回しに加えて、以下のような点に注意すれば、夕方肩回しの作用がさらに高まるでしょう。
風呂は就寝の一時間前までに入り、湯温は39度C程度がベスト
入浴は、深部体温を上げるのにとてもおすすめの方法です。しかし、熱いお湯では体温が上がりすぎてしまうし、交感神経を刺激して逆効果です。
39度C程度のぬるめのお湯であれば、徐々に血液循環がよくなって体温が適度に上昇します。副交感神経が優位になって、精神的にもリラックスできます。風呂から上がれば、およそ15分で汗が引き、その後、徐々に体温が下がっていくため、就寝の一時間前までに入浴しておくことをおすすめします。
夕食や飲酒は就寝の4時間前までにすます
食事の直後は、胃腸が活発に働いているので、スムーズに眠りにつけません。たんぱく質や脂肪の多い食品をとった場合、消化には4時間ほどかかるので、就寝の4時間前には食事をすませておくようにしましょう。
また、飲酒は眠りを誘ってくれそうな気がしますが、アルコールは数時間たつとアルデヒドという毒性物質に変化して交感神経を刺激し、覚醒作用を及ぼします。また、アルコールには強い利尿作用があるため、トイレに立つ回数を増やしてしまいます。飲むなら就寝の3~4時間前までに、量はほどほどにしておきましょう。
就寝の1~2時間前にはテレビやパソコンの画面は見ない
寝る前には、できるだけ部屋を暗くするのが快眠を得るコツです。就寝の1~2時間前には部屋の電気を暗くして、テレビやパソコンなどの明るい画面を見ないようにしましょう。
このように、夕方からの生活習慣を改め、夕方肩回しを実行すれば、その日からでも不眠の改善が期待できます。一日の深部体温の変化のリズムが狂って、夕方に深部体温が上がらなかった人も、夕方肩回しを毎日続けていれば、しだいに深部体温の変化のリズムが正されて、寝つきがよくなり、朝まで熟睡できるようになるでしょう。
記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。
写真/© カラダネ © Fotolia
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