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【不眠症は治せる】専門医が夕方の「肩回し」を推奨。夜に深部体温が下がり入眠へと導く

解説 RESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック院長
白濱龍太郎

不眠で悩んでいる人は、夕方に深部体温(体の内部の温度)を上げることが大切だとRESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック院長の白濱龍太郎先生は話します。効率的に体温を上げるにはどうすればいいのでしょうか。くわしくお聞きしました。

もちろん、不眠で悩んでいる人は、一度専門医に診てもらうことを忘れないでください。

深部体温を上昇させるには就寝の3時間以上前に軽い有酸素運動をするのがおすすめ

不眠を改善するには、夕方に深部体温を1度C上げておくことが大切です。

ちなみに、ここでいう夕方というのは、寝る3時間以上前の時間を指します。例えば、9時に就寝する人なら、6時よりも前の時間に深部体温を上げておく必要があります。というのも、寝る前(3時間以内)に運動を行うと、眠りたいときに体温が上がって逆に眠くなくなってしまうからです。

体温を1度C上げるには、軽く汗ばむ程度の軽い有酸素運動がおすすめです。筋肉痛が起こるような強度の高い運動を行うと、体温が下がるまでに時間がかかりすぎて、眠りのスイッチが入りにくくなります。そのうえ、交感神経(心身の働きを活発にする神経)も刺激されてしまい、安眠には逆効果です。

具体的には、ウォーキングなどを30~40分行えば、深部体温を1度C上げることができます。しかし、夕方以降に30分以上のウォーキングというのは、なかなか続けられるものではありません。そこで、もっと効率よく深部体温が上げられる方法として私がおすすめしたいのが「夕方肩回し」です。

「夕方肩回し」ならわずか5分の運動で深部体温が上昇する

夕方肩回しは、背中にある肩甲骨を意識して行います。数10秒ですむ運動を10回ほどくり返すだけと、とても簡単です。わずか5分間の運動ですが、それだけで深部体温は確実に上昇します。

というのも、肩甲骨まわりには、褐色脂肪細胞という体温を上げる細胞が密集しており、夕方肩回しは、この細胞を刺激するからです。

脂肪細胞というと、おなかやお尻にたまった脂肪を思い浮かべるかもしれませんが、これは白色脂肪細胞と呼ばれるものです。白色脂肪細胞は、体内に入った余分なエネルギーを中性脂肪として体内に蓄積します。いっぽう、褐色脂肪細胞は褐色(茶色)をしており、熱を作りだして体温を維持し、余分なエネルギーを燃やしていく働きがあります。つまり、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞は正反対の働きをするといえます。

褐色脂肪細胞は、脂肪細胞のうち、わずか1%程度しかありません。成長期になると少しずつ減少して、成人になると激減してしまいます。

この褐色脂肪細胞を刺激して、深部体温を上昇させようというのが夕方肩回しです。

夕方肩回しは、短時間で深部体温を上げ、交感神経を活性化しすぎることもありません。また、室内でできるので、外が暗くなる夕方以降でも安心して行えます。まさに、眠りのスイッチを入れるために最適な運動なので、不眠で悩んでいる人はぜひ試してみてください。くわしいやり方は関連記事で紹介しています。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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