シミ対策には【冷凍トマト】を。美肌成分の吸収が高まる⁉︎|カラダネ

カラダネ(わかさ出版)
医師や専門家とあなたをつなぐ、
健康・食・くらしのセルフケアが見つかる情報サイト

シミ対策には【冷凍トマト】を。美肌成分の吸収が高まる⁉︎

解説 横浜創英短大名誉教授
則岡孝子

トマトに含まれるリコピンはシミの予防や改善に役立つ可能性があるといいます。
そのリコピンをふつうに生で食べるよりも体内にたくさん吸収できる可能性がある食べ方、みなさんはご存知ですか?
横浜創英短大名誉教授の則岡孝子先生にお話を聞きました。

もちろん、トマトだけを食べていれば全員が美肌になれるわけでは決してありません。美肌をめざすなら紫外線対策をはじめ洗顔などの基本的なスキンケア、さらにバランスのいい食事と適度な運動が不可欠です。

リコピンにはメラニンの生成を抑えてシミを改善する作用がある

トマトには、美肌作りやカゼ予防に役立つとされるビタミンC、老化予防が期待されるビタミンE、体内の余分な塩分を排出するカリウム、腸内環境を整える食物繊維などが豊富に含まれており、まさに健康野菜の代表といえます。

そうしたトマトの健康成分の中でも、特に注目されているのが、赤い色素のリコピン。リコピンは、植物が持つ赤、黄色、オレンジ色といった色素「カロテノイド」の一種です。

リコピンには、メラニンの生成を抑えてシミの改善に役立つ、いわば美肌栄養としての働きのあることが知られています。

トマトの食べ方を工夫することによってリコピンの吸収量は4倍に増える?

トマトのシミ改善作用を最大限に得るには、調理法や食べ方に工夫が必要です。
というのも、トマトを生で食べただけでは、トマトに含まれるリコピンの一部しか摂取できないからです。

トマトのリコピンは、トマトの細胞の中にあり、細胞を囲む細胞壁にしっかりと閉じ込められた状態になっています。そして、細胞壁を構成する食物繊維は、私たち人間の持っている消化酵素では分解できないとされます。
そのため、そのまま食べても、かんでつぶされたときに放出されたほんの少しのリコピンしか吸収することができず、それもほとんどが胃腸を通過してしまうのです。

リコピンをたっぷり摂取するには、食べる前にあらかじめトマトの細胞を壊すような調理がおすすめ。具体的には、加熱してジューサーやミキサーで細かくつぶすといった方法です。加熱することで細胞壁を軟らかくして、そのうえでつぶすのです。

この条件を満たすのがトマトペーストやジュース。これらの加工品は加熱して粉砕しているため、リコピンをスムーズにとることができます。

実際、生のトマトとトマトペーストを摂取した場合、どちらのほうがリコピンを多く吸収できるかという試験を行ったところ、生のトマトの吸収量が28.4nmol(ナノモル)だったのに対し、トマトペーストでは109nmolと、なんと約4倍も吸収率が高かったそうです(血中リコピンの数値で比較。下の表参照)。
s_トマト2.jpg

しかし、トマトを加熱する過程で、ビタミンCや酵素など、他の栄養素が壊れてしまうことが難点です。

冷凍トマトはビタミンCや酵素を破壊せずにリコピンをたっぷりとれる

トマトを加熱してつぶすと、リコピンの吸収率が高まります。しかし、こうした加工品でなくても、市販の生のトマトを使って、同様の作用を得る方法があります。

それが、トマトを冷凍する「冷凍トマト」です。

種類にもよりますが、野菜は冷凍保存したほうが栄養価が高まったり、消化・吸収がよくなったりすることがわかっており、最近では、お年寄りの食事に活用している施設なども多くなっています。

冷凍保存した野菜は、短時間で軟らかく調理できるものが多いのですが、これは、凍らせることによって、野菜の細胞壁が壊れるためです。

野菜の成分の約9割は水でできていますが、ご存じのように、水が凍ると体積が増えます。野菜を冷凍すると細胞内の水分が凍って膨張し、細胞壁が自然に壊れてしまいます。すると、細胞壁に囲まれていた栄養分が流れだして、容易に吸収できるようになるというわけです。

冷凍することで栄養価が高まる食材の代表は、キノコです。キノコは、細胞壁が硬いので、冷凍して細胞壁が壊れると栄養分が流れでて、吸収されやすくなるのです。

同じように、トマトのリコピンも頑丈な細胞壁に守られているので、冷凍で細胞壁を壊すことができれば、たくさん摂取することができるはずです。

s_トマト1.jpg

なお、トマトのリコピンは加熱すると吸収されやすいといわれていますが、これは加熱することで細胞壁が壊れるためで、その点でいえば冷凍するのと同じ考えともいえます。
冷凍トマトはリコピンが豊富に摂取できるうえ、加熱しなくてもいいので、熱に弱いといわれるビタミンCや酵素などもいっしょにとれるという利点もあります。

また、冷凍トマトは、生のトマトと違って使わない分は長期間保存できます。安売りのときなどにたくさん買いこんで冷凍保存できるというのも、利点の一つといえるでしょう。

冷凍トマトの作り方は、密封できる袋にトマトを数個ずつ詰めて、冷凍室に入れておくだけと簡単です。水洗いをしてからヘタをくりぬいた状態で冷凍すれば、冷凍庫から出してそのまま調理できるので便利です。

このほかにも、冷凍トマトにすることで皮がむきやすくなる、うまみがアップする、味がしみ込みやすくスープや煮込みに使いやすいといった調理の利点も生まれます。
冷凍トマトについては、別の記事もありますのでぜひ参考にしてみてください。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

この記事が気に入ったらいいね!しよう