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心不全予防や高血圧対策に【手作りコンブ水】を。おいしくて減塩もできると医師推奨

解説 千代田漢方内科クリニック院長
信川益明

心不全の人は減塩対策が重要です。しかし減塩の食事は味気ないと、続けることに苦労し、断念する人がおおぜいいます。
減塩でもおいしく食事をするにはダシが重要です。ダシのうまみ成分によって、塩分が少なくても味わい深くなり、減塩による物足りなさを補うことができます。

そこで、減塩効果が期待できて味もいい、手軽に実践できる「コンブ水」を利用してみませんか?

心不全の人は、循環器内科などで治療を受けることが重要です。病院では、専門医などによる食事の指導もあるかと思いますが、その指導に従ったうえで記事も参考にしてください。

減塩の食事をおいしくするだけでなく、アルギン酸が塩分を排出してくれる

コンブ水とは、乾燥コンブを水に一晩水に漬けておくだけでできるダシ汁です。わざわざ湯を沸かすなどしてダシを取る必要がないので、手間がなく簡単です。
さらにコンブ水には、塩分(ナトリウム)を排出する作用もあるので、心不全や高血圧の人に適しているのです。その作用は、コンブなどの海藻独特のヌルヌルとした成分であるアルギン酸という食物繊維にあります。

そもそも塩分が心不全や高血圧によくないのは、塩分をとりすぎると、血液中の塩分濃度を薄めようと水分が増えて血液量が増加し、血液を送っている心臓の負担が大きくなってしまうからです。

アルギン酸は、腸内で塩分と結びつき、便としていっしょに体外へ排出してくれる働きが期待できるのです。

コンブ水にはカリウムも多く含まれています。カリウムには腎臓での塩分の再吸収を抑制する働きがあり、塩分の体外への排泄を促してくれます。
このように、コンブ水は減塩した食事をおいしくするだけでなく、塩分の排出にも役立つのです。

また、コンブに含まれるフコダインという食物繊維は、心不全のリスクである糖尿病や肥満の改善にも役立ちます。フコダインは食事中の糖の吸収を遅らせる働きがあるとされるため、血糖値の上昇を抑えます。また、余分な脂質を絡めとって体外に排出する作用もあるのです。

高血圧や心不全を予防するコンブの成分は、どれも水溶性なので、コンブを水に一晩漬けるだけで溶け出します。

コンブ水の作り方は?

では、コンブ水の作り方を説明しましょう。作り方はとても簡単で、ダシ用コンブ10グラムをキッチンバサミでできるだけ細く切ります。そして、ポットに入れて水1リットルを注ぎ、冷蔵庫で一晩以上漬けたらできあがりです(下の図参照)。

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このコンブ水をみそ汁や煮物はもちろん、料理に水を加えるさまざまな場面で、水の代わりに使ってください。また、料理だけでなく、日常の水分補給にコンブ水を飲むとより作用が高いです。「炭酸やレモン汁で割るとおいしい」と患者さんにも評判です。

160mmHgの血圧が正常値まで下がった人も

では、実際にコンブ水を試した患者さんを紹介しましょう。

福田義雄さん(仮名・66歳)の血圧は、降圧剤を服用しても、常に最大血圧は150〜160mmHg(正常値は130mmHg未満)、最小血圧は約100mmHg(正常値は85mmHg未満)ありました。会社役員だったため仕事のストレスも多く、あまり数値がよくならない状況が続いていたのです。

そんな福田さんから、薬を飲みつづけるのが心配なので、降圧剤はやめたいと相談を受けました。そこで、私はコンブ水をすすめたのです。福田さんは家族の協力も得て、料理にコンブ水を使い、また毎朝コンブ水を飲むようにしたといいます。

すると半年後には最大血圧が110〜120mmHg、最小血圧が70〜80mmHgまで下がったのです。福田さんの血圧は正常値になりましたが、寒い季節は血圧が上がりやすいので、冬には降圧剤を1日1錠だけ飲んでいますが、暖かい季節は飲まない日が増えています。

福田さんの高血圧が改善されたのは、コンブ水のうまみによって摂取する塩分量が少なくなり、さらにアルギン酸によって塩分が排出されたのだと考えられます。

食べたものが病気を防ぐという意識を持とう

私は西洋医学に漢方医学も取り入れた治療を行っていて、漢方の「医食同源」という言葉を大切にしています。食べ物は薬と同じであり、口から食べた物が病気を防ぐのです。特に生活習慣病や慢性疾患は、そうした傾向がみられるので、コンブ水を取り入れて生活を見直すきっかけにしてもらいたいものです。

ただし、コンブ水はヨウ素が多く含まれていますから、甲状腺の病気や甲状腺の腫れがある人は、コンブ水は料理に使うだけにとどめ、飲用は避けてください。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。
体験談は、2018年に健康情報誌『夢21』で紹介されたものをウェブ用に再編集したものです。

写真/©カラダネ © Fotolia

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